「それじゃお願いします」

お兄ちゃんは今日から１週間のテニス合宿。
善は急げ。当初から決定していた建て増し計画始動よ！

お兄ちゃんと琴子ちゃんが帰って来た。

「２人が帰って来るの待ってたのよー」
「な…何なんだ？この建て増しって」
「もちろん琴子ちゃんちを建てるためよ。
行く末は３世帯住宅になるように造っているの」
「なっ…なんだとぉぉーっ！？」

お兄ちゃんの罵声も今のあたしには心地よく聞こえる。
…だって

「キスしたくせに」

親の陰謀なんて失礼な。２人で、あたしを嵌めたくせに。
でも、このあたしが知らないとでも？甘いわ
お兄ちゃんが何と言ってもあたしには絶対の予感がある。
お兄ちゃんと琴子ちゃんは結婚するって。
だから、この三世帯住宅計画は必然なのよ。
さぁ！ふぐ吉で祝賀会よ！！


今日は増築祝い。
相変わらず、お兄ちゃんは琴子ちゃんに冷たいけど昔ほどじゃない気がする。
今だって琴子ちゃんとじゃれあって…いいわぁ


チビがやって来て余計な奴もやって来た。

松本裕子

いかにも『女の敵』って感じを振りまいている。
しかも相原さんまでかパパにまで媚び売って…
あたしを怒らせた事を後悔させてあげるわ！

松本さんに振り回され、お兄ちゃんの先輩とやらに振り回され…
今日は散々だったけど、お兄ちゃんがチビの散歩に
琴子ちゃんを誘ったから良しとしましょう。


大学祭も間近と云う頃、パパがＴ大再受験の話を持ち出した。
琴子ちゃんと、うまくいってるのに何で水を差す様な事するのかしら！？
お兄ちゃんには好きな事させてやればいいのに。
そんなに会社を継がせるのが大切なのかしら？
お兄ちゃんには、したい事はないのかしら？


そんなお兄ちゃんの爆弾発言があったのは、大学祭も大盛況に終わって
家族旅行の熱海から帰って来てからの事だった。