MY DEAR KOTOKO 5 
直樹が千穂と話を終え、琴子のところへ戻ってこようとしたときは
もう彼女の姿はなかった。
また、つまらない誤解を・・・?
直樹はふっとため息をつく。
その日も残りの作業を終え、家に帰ったのは10時すぎだった。
寝室に上がるとすでに琴子は眠っていた。
ベッドの一番端で背中を向け丸くなる。それは直樹に示されたささやかな拒否。
だからといって無理やり起こして言い訳するほど器用ではないし、
疑われるようなことをした覚えもない。
「おやすみ・・・」そうつぶやいてベッドに入る。
それに答えるように琴子の口から寝言が漏れる・・・。
「入江くんのバカ・・・」
直樹はそっとつぶやく。
「バカはおまえだろ・・・」

次の日直樹がリビングにおりるとすでに琴子は大学に行ってしまっていた。
「あら、お兄ちゃんおはよう。琴子ちゃん、
今日は自主トレに行くってもう出ちゃったのよ・・・。」
何も知らない紀子が直樹に話しかける。
「ふ〜ん」
「ふ〜んって お兄ちゃん。今日のことはちゃんと分かってるんでしょうね」
・・・結婚記念日だろっ
「・・・そのために遅くまで大学に残ってたんだろうが。」
直樹はぼそっとつぶやき、朝食を済ませ 出かける準備をする。
直樹が玄関で靴をはいていると紀子が思い出したようにまた話しかけてきた。
「そうそう、今日は私たちみんなで出かけるからお兄ちゃん、琴子ちゃんと
二人でお留守番お願いね。」
「はあ!?」
また余計な企みを考えているのが見え見えで直樹は思わず声をあげた。
「そういうことだから。よろしくね」そう言って彼女はまたリビングに戻って行った。
「ったく・・・」
方眉を引きつらせ直樹は大学に向かう。
その途中の道で昨日オープンしたばかりのカフェが目に入る。
昨日も帰りが遅くなったため気にも留められずにいたが
メニューもいろいろあってここへ琴子を連れてくれば間違いなく喜ぶだろうと思われるような店だった。
まだ準備中だが外にはガラスケースに入ったメニューの数々が並べてある。
そのメニューを見ていて直樹は何かを思いついた。

大学に着くと直行で看護科に足を運ぶ。
ドアを開くと琴子は実習中でいつものように悪戦苦闘していた。
おもむろに口を開く直樹。
「琴子」
琴子を始め、他の学生たちが一斉に直樹に振り向く。
「い、入江さん〜」一瞬で女学生たちを色めき立たせるのはさすがというべきか。
「琴子、今日先に帰るから。お前はゆっくり帰って来い。じゃあな」
そういって直樹はドアを閉めた。

直樹が去ったあと、琴子はうつむいたままもくもくと実習に取り組む。
「琴子・・・」桔梗たちが心配そうに琴子の顔を覗きこむ・・・。
「・・・・・」

・・・家に帰ったら決定的なことを言われるの?でも・・・。
心の中で葛藤しながら琴子はその日の授業を終えた。































みーたん
2008年08月14日(木) 22時41分38秒 公開
■この作品の著作権はみーたんさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
引き続き書きますのであともう少しお付き合いくださいね^^

この作品の感想をお寄せください。
carpathians derriere I've Edxmglfu ■2013-10-03 20:19:29 91.207.116.206
gmO38H pnocvfbfzwkr, [url=Click!! [link=Click!! Click!! ymyqjihvn ■2013-09-22 05:53:54 178.94.95.173
どうなるんだろうこの二人は…。 しげたん ■2008-08-14 22:53:06 203.168.106.134
直樹の不器用すぎる愛情表現も大好きです・・ さあや ■2008-08-14 22:51:11 122.29.153.63
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ


<<戻る
感想記事削除PASSWORD
PASSWORD 編集 削除