She is his sister G



琴子さんたちがディナークルージングに行った日から2日経った朝。
翌日は琴子さんがお休みだったため確認することができなかったが、今日は琴子さんが出勤する日。
今日は何があっても、いろいろと教えてもらうからねぇ・・・
などと思っていると、早速琴子さんがナースステーションに顔を出した。と思ったら、私が質問するよりも早く、そこにいた看護師全員に取り囲まれていた。

「琴子さん、この間はあんなにドレスアップして入江先生とどこに行ってきたんですか?」
「入江家ではいつもあんな服装をして食事をするんですか?」
「琴子さんって、入江先生のこと『入江くん』って呼んでましたよね?」

突然の質問に、琴子さんは入口に立ち止まったまま、一歩も動けなかった。
目を大きく見開いて、何が起こっているのか理解できない雰囲気で、それでもみんなの質問にたどたどしく一生懸命答えた。

「こ、、この間は、結婚記念日だったから、、、家族でディナークルージングに行ってきたの・・・おかあさんたちが神戸に来て、家族みんなで祝おうっていってくれたから・・・記念日なんだからお洒落してきなさいって言うから、ドレスアップしてたけど・・・変だったかな?・・・」
「えぇっ?結婚記念日を家族で祝うの?夫婦だけでなく?」
「うん、、、せっかく神戸まで来て家族みんなで祝おうって言ってくれているし、、、変かな?・・・」
「それじゃあ、この間はたまたま記念日だからあんな恰好をしていたのね?」
「うん、、、いつもはあそこまでドレスアップしないけど・・・」
「わざわざご両親が神戸に来たのもそのためなの?」
「う、うん、、、記念日だからもあるけど、でも何もなくても、おかあさんは一度は神戸に様子を見に来たと思うよ・・・」
琴子さんの答えにナースステーション内で繰り広げられた入江家の会話を思い出した麗美が納得した様子で頷いた。
「そうだ!お母様、琴子さんのことよろしくって、わざわざチョコの差し入れを持ってきてたわ!ものすごく溺愛してたもの。あのお母様ならありえるわ!」

今までの話で、その場にいた看護師全員は入江家の琴子さんに対する過保護ぶりを確信した。
――本物のお嬢様だ――

「それじゃあ、入江先生を『入江くん』って呼んでいたのはどうして?」
「あっ・・・それは・・・高校からの癖で・・・」

そんな説明では納得できない面々がさらに突っ込んだ質問をしようと思った時、主任が入ってきた。
「いつまでおしゃべりしているんですか!もう朝の申し送りの時間ですよ。」

その質問はそこで終わってしまった。
まぁ、呼び方なんていろいろだし、それほど気にしてもしょうがないと思ったのか、その後も何事もなく午前中が終わった。
波平
2009年08月01日(土) 23時52分45秒 公開
■この作品の著作権は波平さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
あと2話で終わります。あと少し、あと少し。

この作品の感想をお寄せください。
 初めまして、波平さん、この作品凄く面白いです。
思い込みは、恐いですね。最初に二人は上手くいっていないとの噂で何を聞いても夫婦に繋げない・・・じつに面白いです。
あと2話、楽しみに待っています。
■2009-08-02 20:12:00 114.17.223.56
いいかんじですね・・。二人が夫婦というのがばれるのは、今か今かという感じなのに、うまい具合に話が進んでいますね。面白いです。 ■2009-08-02 14:27:36 123.218.230.42
波平さん、おはようございます。
更新ありがとうございます。
琴子に先日のドレスアップの話を聞こうと看護師の皆さんがお集まりの
ようです。質問攻めに合っている琴子です。
結婚記念日だという事も話していますが。
未だ気がつかない看護師の面々です。(><)
又聞きましたよ。何故入江君なのかと?
後残り2話ですね。お待ちしています。
ドキドキワクワクです。
tiem ■2009-08-02 05:15:15 123.227.17.100
波平さん、こんばんは〜
皆、疑問を持ちながらもまだまだ気づかない様子ですね(笑)
思い込みって怖いですよね〜
あと二話で完結ですか!もう少しですね、頑張って下さい(^^)v
ナツ ■2009-08-02 00:45:56 119.105.226.21
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ


<<戻る
感想記事削除PASSWORD
PASSWORD 編集 削除