さよなら。でも大好きだからね…

「おまえも早く男みつけな」


あの言葉は短いけれど、あたしに確かなダメージを与えた


悔しいけど、悲しいけれど

もう入江くんはあたしの近くにはかえってこないんだ

痛感してしまった現実―――

それでもあたしはまだバカみたいに入江くんを想っている



体育祭で怪我したあたしをおぶってくれたこと

心臓がバクバクした初めての2ショット写真

ザマアミロといわれた初めてのKiss

テニス部の試合でペアを組んで勝ったこと

1つのベッドで寝たバレンタインの夜

二十歳の誕生日プレゼントに勉強をみてくれたこと

思いがけず過ごせた2人きりのクリスマスイブ


そしてばーか という声と呆れた顔・・・


どれも忘れることなんてできない

どれも捨てることなんでできない


泣かないで、泣いてはだめだよ

そう決心しても 涙はどんどん溢れてくる

あたしってこんなに弱かったの?

自分で自分がイヤになる・・・


入江くんの心は離れていくのに

あたしの大好きはぜんぜんなくならない

・・・ばかみたい 失恋決定なのにね


世界中の失恋から立ち直った人に聞いてみたい

ねえ、どうすれば大好きな人を忘れることができるの?

ねえ、どうすれば切なくて苦しい想いは淡い思い出に変わるの?



あたしはいまだにこの苦しすぎる恋心を忘れる方法がわからない



そして今日…お父さんがあたしに言った

「琴子、この家でなきゃな・・・」


うん…わかってる、わかってたよ…お父さん

そうだね、あきらめなきゃ、だよね

でもね入江くんと繋がりが1つまた1つ消えていって

これで最後の1つもなくなっちゃった・・・


そう思ったら本当に最後なんだって実感わいてきちゃって

あたしは堪えきれずに泣いた

お父さんもそんなあたしの肩をそっと抱き…泣いていた



もうすぐお別れなんだね、入江くん

さよなら・・・入江くん



でもずっと大好きだからね



ずっとずっと大好きだからね―――
藤夏
2009年08月03日(月) 18時15分24秒 公開
■この作品の著作権は藤夏さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
設定は沙穂子さんと大泉会長が入江家にきた日の夜ですね。
一人でこれまでを思い出し、これからを考える琴子・・・という状況で。

多くの方がこの時期(単行本9巻〜10巻)の素敵な二次小説をかかれているのに
自分のこんな拙いものをだしてしまいまして・・・よかったのかどうか(汗)
というか眠れぬ〜の番外編をほったらかしで何してるんだろう…私(TT)
自分で言い出しておいて本当にすみません。

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ナツさん、コメントありがとうございます!
短編、大歓迎との言葉、胸に染み渡りました^^*)
例によってある歌をききながら作り上げました
(というか短編書くときはそういう傾向のようです、私…)
藤夏 ■2009-08-04 12:30:33 122.103.107.194
藤夏さん、こんばんは!
琴子の心情が痛いほど伝わってきます〜(><)
直樹の事を諦めようとしても、その方法が解らないジレンマ・・・
不器用で一途な琴子が直ぐに気持ちを切り替えるなんて出来るわけがない
この悲痛な悲しみがあるからこそ、雨の中の直樹の告白が皆の胸を捉えるのではと思います
長編を始めると煮詰まる時が多々ある私は短編に逃げる事もしばしば(笑)
でもそれで気づく事もあったりするで短編、大歓迎で〜す♪
ナツ ■2009-08-03 20:05:29 119.105.226.21
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