カズンズ!! no.4


朝、理加が目が覚めるといつもと違う部屋に違和感を感じた。


あぁ、そうか。ここは入江家。



起き上がって服を着替えて髪をとかす。
ピンで髪をとめて、鏡をのぞきこむ。


映っているのは自分で言うのもなんだけど、かわいい私。
どこが琴子さんに負けてるって言うの?

ふと思う理加。
昨日の出来事を思い出す。


昨日の玄関で見てしまったものを。


この家に着く前まで、私は複雑だった。だって、大好きな直樹の奥さんに会ってしまうから。

直樹が結婚したことを知ったときはすごくショックだった。
この世界が闇に沈んでしまうんじゃないかってくらい、がっかりした。
それでも、それでも直樹が選んだ人ならって。

美しい人ばかりを想像していた。
だってあの直樹を落とした人なんだから。

でも半分あきらめでいざ会ってみると私の心情は豹変した。

美しくもなく
スタイルがいいわけでもなく
知性なんて感じられない人ーーー。


私の気持ちにあった、あきらめ”はなぜか一気に消え去って、怒りに変わる。



私の直樹の隣を取らないで。




私はこの人には負けないと思った。
強く、強く、強くーーー



直樹に抱きつくと、ショックを受けている琴子さん。
あたしは気持ちがよかった。
それなのに、・・・・・・



私は見てしまった。
玄関先で二人がキスしている場面を。
恋人同士の証・・・


身体が凍る。
動けない・・・・・

「あら、どうしたの?ふたりとも」

その言葉で、ふとわれに返った。隣には冷たい顔で、固まっている、先ほど紹介された琴子さんのいとこ・・


この人は琴子さんがすきなのね。
直感ですぐに分かった。
あたしだって・・・・


夜の歓迎会では琴子さんに見せ付けるように直樹にくっついた。

琴子さんになんか、負けないんだから。ーーーーただひたすらこの思いをとおして。

************


キッチンへ降りる理加。
朝早く、誰もいないと思っていたが紀子はもう起きていた。
一緒になって朝ごはんの支度をする。
たわいもない会話をしていると、直樹がおりてきた。



すごく早い時間。



もう着替えていて、新聞を読んでいる。

その姿は、ほんとに・・・・カッコいい・・・・

思わず見とれていた理加に紀子が話しかける。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん、変わったと思わない??」
「ん〜〜そうかな?・・たしかに、何か変わった気はしますけど・・」

その言葉をきいて、紀子はでしょ〜!?といって、身を乗り出す。
「これも全て、琴子ちゃんのおかげなのよ〜!!」
うれしそうに叫ぶ紀子。
直樹はなれているので無視。
理加は、そうなんですか?と明るく答えたものの、琴子が改めて、入江家と打ち解けていることを知って、不愉快だった。


ふと時計を見ると、先ほどからかなり時間がたっていた。
直樹はまだ新聞を読んでいる。


昔の直樹なら、15分もあれば全面に目を通してたのに。

1時間すぎても立ち上がろうとしない直樹にすこし疑問をいだいていた。が、すぐに解消される。


ばたばたばた!!突然のすごい音。
紀子は来たわね、とうれしそうにつぶやいた。


琴子さんだ・・・


予想はあたり、髪はぼさぼさ、今起きましたって感じで荒ただしく入ってきた。
そしてあたしは気がついた。
口元を軽く緩ませながらやっと新聞をとじている直樹に・・・




琴子さんを待ってたのね。





理解した瞬間、なにも気づかず、まって!なんていっている琴子さんに怒りがわく。
こんなこと、好きな人じゃないと直樹は絶対にしない・・・
直樹なら絶対において行ってるもの。
それが十分に分かっているからこそきた、琴子への嫉妬の怒り。



そして、結局、どたばたしながらも二人で家を出た。


「ふふ、なんだかんだいってあの二人、仲いいのよね〜♪」
鼻歌交じりにつぶやく紀子。

理加は冷たく立ち尽くしたままだった。



だだだだ!!

二人が出かけたのとほぼ同時にまたしても荒い音がひびいた。

「お、おはようございます!!!」

紀子は先ほど見た琴子の光景とあまりにも一緒で思わず笑う。

「よく眠れた?」
「はい。」

竜は少し照れながら髪をくしゃっと整える。
そして辺りを見回した。

「琴子さんならもういったわよ。」

えっ!!とはじめは驚くも、いきなり理加に頭で考えていたことにか答えられ、すこし赤くなる竜。

改めてみると、かわいい顔をしているなぁ、と理加は思った。
昨日は冷たい感じにしか思わなかったんだけど。
それと、これはおばさんだら聞いたんだけど同じ高校らしい。そして、今日、新入生代表であいさつをする。
横に並ぶと身長が結構あった。
裕樹なんか、比じゃないわね・・・
となりで朝食をとる裕樹を横目で見ながら少し笑った。



のんびりとしていた3人を紀子がせかして、みな急いで家をでる。

玄関を通るとき、またあのことを思い出してまた湧きだつ悔しさ・・
急いで玄関をかけぬけた。

隣をみると、同じような顔をさせて
また、昨日の冷たさを出している竜・・・


この子も私のような気持ちをしてるんだろうか・・




竜と理加は同じ道なので一緒に登校する事になった。
二人の間には会話はなかったが、二人の間には明らかに似たような感情が渦巻いていた。
そしてついに、意を決したように理加が重たい沈黙を破った。



「ねぇ、私たち組まない?」

















maro
2009年09月28日(月) 02時23分14秒 公開
■この作品の著作権はmaroさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
2話続けてアップです。
いつのまにやら理加目線へ・・・
ほんと、読みづらくてスミマセンっ

ついに、皆様が考えていたであろう(?)ことになりましたね!!組んじゃいます♪

この作品の感想をお寄せください。
NCLmBk Click!! Bradley ■2015-08-11 02:57:02 188.143.232.26
<tiemさま
いつもありがとうございます。そして3話めにもご感想をいただきまして、ほんとに感激です。
対抗意識メラメラの理加ちゃん。。。
たしかに、先が怖いですよね・・
私も恐ろしいです←
特に、琴子。気をつけないとっ

<藤夏さま
めちゃ理にかなってますもんね、そういってもらえてうれしいです。
個人的に取り乱してあせる直樹は大好物なんで、(おい)多分冷静さはいつか失われると思います(笑)
楽しみって言う言葉が胸にしみます(><)じ〜ん+++
ありがとうございました。
maro ■2009-09-29 01:49:27 125.194.5.17
こんにちは、maroさん

きゃーvv理加&竜で同盟組むんですね!これは楽しみvv
利害関係が一致すれば、そりゃ組むにこしたことはないですもん!

琴子は単純だからすぐ巻き込まれそうだし、
直樹も今回に関してはおそらく冷静ではいられないような気がしますね^^;)
藤夏 ■2009-09-28 12:47:49 122.103.107.194
maroさん
理加ちゃん、琴子と直樹が結婚した事に不満を持っていますね。
自分よりも落ちる琴子にすごい違和感を。
対抗意識メラメラのようですね。
朝でも琴子が起きてくると表情がコロリト笑顔に。
ましてや紀子ママまでが琴子ちゃんだから。
だから益々イライラして来て直樹を取リ返そうと言う気持ちに。
直樹の家に着いたときに見た二人のキスの場面は強烈過ぎたようです。
竜君も同じ気持ちみたいです。
だからこの二人が仲良しの二人を邪魔する企てを。
何という怖い考えを。
先が怖いですね。直樹、琴子気をつけなさよ」
tiem ■2009-09-28 09:46:01 114.153.181.186
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