すのものの「『南総里見八犬伝』を読む --- 筋書き(第五分冊)」

第 83 回

村人らの主は氷垣残三夏行(ひがきざんざうなつゆき)。 重戸(おもと)は娘。 三年ほど前、落鮎余之七有種(おちあゆよのしちありたね)を婿にした。 小才二(こさいじ)、世智介(せちすけ)に言われるまま夏行のやしきに行き、 落とし穴にはまる。 夏行は二犬士を斬ろうとするが重戸が止める。

(22 ページ -7 行目、23 ページ 2 行目の一文字分の空白は、 旧文庫本でもそうなっている。)

第 84 回

二犬士を見張っていた夢介(ゆめすけ)・壁蔵(かべざう)に、 重戸は夕飯を食べに行くよう言いつける。 その間に重戸は二犬士を逃がす。

現八が無人だと思った船にとび乗ると、中にいた二人と格闘になる。 しかし、二人は信乃と道節だった。

(39 ページ -2 行目の「犬山生(いぬむらうぢ)」 は旧文庫本でもそうなっている。)

信乃・道節は、尻肛玉河太郎(しりこだまかはたらう)、 無宿猫野良平(むしゅくねこのらへい)という悪者を捕えたところだった。

(46 ページ -5 行目「喃」の前に《「》が必要。旧文庫本でも落ちている。)

夏行・有種らがやってくるが、現八・大角に組み伏せられる。

第 85 回

唯一の目撃者 得手吉(えてきち)、賊を確認。 和解する。 有種は豊嶋刑部左衛門尉信盛(としまぎゃうぶさゑもんのぜうのぶもり) に仕えていた。 有種の父 落鮎岩水員種(おちあゆがんすいかずたね)も豊嶋の家臣。 残三の妻が伯母。

(ということはいとこ婚である。)

残三は持氏に仕えていた。結城では大塚匠作三戍と共に戦う。 妻は「旧地頭穂北氏の従弟女」。最近死去。

河太郎・野良平はそれぞれ有種・夏行に首をはねられる。

(29 ページで重戸がきょうは母の忌日だから人を殺すな、 と言ったのはどこへ行ってしまったのだろうか?)

翌日、宴会の席で、重戸は二日前のあけがた、神女を見たことを話す。

(道節は指月院に泊ったのを「去歳(こぞ)」と言っているが、 それは文明 13 年(1481 年)にあたる。 第四分冊 188 ページでは丶大が去年(文明 12 年)の夏と言っている。 もしも文明 13 年だとすると、 道節は今年は犬川が旅に出る番で二月ごろ出かけた、 と言っているが、 それが最初であって道節は一度も指月院から旅に出たことはなかった、 ということになりそうだ。でも、 それではそこの「二犬士交代して今日に至れるなり」と合わないような気がする。)

(72 ページ -2 行目には「この日」とあるが、 第四分冊 229 ページによれば奈四郎を殺した翌日に墨田河にきている。)

(74 ページでは大角の痣は 「左のかたなる乳の下より、腋の辺に及びたる」とあるが、 第四分冊 99 ページでは「臀」である。)

第 86 回

四犬士は夏行のもとにとどまる。 十月中旬、現八・大角は指月院に向かう。 道節、定正を撃つ計画を有種・信乃に話す。 十一月中旬。指月院からの使いが、現八・大角からの手紙を持ってくる。 荘介・小文吾は六月下旬に指月院に着いたが、また出発した。 春までには戻るというので現八・大角は指月院に残る。 使いはそのまま安房へ。

(78 ページで有種は「当時俺身は年もなほ、二十に足らぬ程にして」 と道節と自分を比較しているが、道節は二十ちょうどであった。

2002-07-06 (6) 22:40:06 +0900)

(現八・大角は、指月院で丶大から毛野のこと --- それを丶大に話したのは小文吾である --- を聞いたはずである。 そこで籠山逸東太が毛野のかたきであることを知り、 逃がしてしまったことを悔しく思ったに違いない。 第四分冊 96 ページに述べられているのはこのときのことだろうか。 しかし、ここでは何も記されていない。 また、そのことを手紙で知った信乃・道節がどう思ったかも記されていない。

2002-07-06 (6) 02:38:45 +0900 )

年は明けて文明 15 年。 一月 10 日ごろ、荘介・小文吾が指月院に帰ってくる。 丶大は、結城で里見大炊介季基(さとみおほいのすけすゑもと)・ 大塚匠作三戍・井丹三直秀らの供養を計画。 四犬士は 20 日ごろに帰ると言って蓑生(みのぶ)などへ出かける。 ところが急に後任の僧がきたので丶大は四犬士の帰りを待たずに穂北へ出発。

丶大、武蔵国豊嶋郡麻生の郷近くの葵岡というところへ。 泊ろうとするがどこも泊めてくれない。 知雨老師(ちうろうし)が供物と称して米などを村人からだまし取っているらしい。 丶大は村長 磐井右衛門二(いはゐゑもんじ)のもとへ行き、 知雨老師の徒弟 知風道人(ちふうどうじん)と名乗る。 夜中、狩人 種平(たねへい)・嶋平(しまへい) に荷を持ち去ろうとする五人のくせものを撃たせる。 一月 15 日のことである。

第 87 回

負傷してとらえられた破吹革風九郎(やれふいごかざくらう)の自白で、 死んだ頭領は長坂山(または長阪山)の鵞〓坊(がぜんぼう) (「〓」は魚へんに單)とわかる。 他に死んだのは四畳半(よぢゃうはん)というあだなを持つ獏七(ばくしち)、 逃げたのは賽保輔(まがひやすすけ)、金山魔夫太(かなやままぶた)。

鵞〓坊の隠れ家へ行くと、 まみの老夫婦が現れる。 賽保輔・魔夫太は彼らに殺されていた。 いつのまにか風九郎も殺される。

第 92 回

「〓」は火へんにΨ。

第 100 回

麻墓愚助


すのもの Sunomono