子どもが、
学校へ行きたくないと言い出したら
子どもが、学校へ行きたくないと言い出したら、まず、それが単なる一過性のものか不登校につながるものかを吟味しなくてはなりません。なかなか難しいことです。
学校にはさまざまに楽しいことや愉快なこと、素敵なことがあります。また同時に嫌なこと退屈なこと苦しいこともあります。それらは日々刻々と変化しますし、全体としていい日があったり嫌な時期があったりもします。ですからウキウキと学校に行く日もあれば気の重い時だってあります。
学校へ行きたくないと言い出しても、最初のうちはそうした気の重い時期かもしれないと考えて、少し無理をさせましょう。一過性のものだったら数日で問題は終わってしまいます。それでも様子がおかしいようなら、担任の先生に相談し、様子を見てもらいます。
それが小学校の1・2年生だったら、親や教師がお膳立てしてやるのも可能です。何人かの子に声をかけて、遊びの輪に加えてもらったりします。しかし3年生以上の子で、特にカンの優れた子の場合はそういうわけには行きません。それは余計なお節介で、かえって子どもを傷つけてしまいます。しかしそうした子は自分のありようを言葉で伝えられますから、学校に行きたくない理由をきちんと聞いてやればいいのです。
この段階で、子どもはさまざまなことを言い出します。お腹が痛い、頭が痛い、体全体がだるくて動けない・・・
生活全般の様子から、これは不登校の入口だなと思うこともあれば、単なる怠けだと感じるときもありますが、「ウソだろう」とか「怠けたいんだろう」と極めつけても、反発され、親子を会話のできない関係にして行くだけで何の益もありません。また実際に重大な病気を見逃すことにもなりかねませんので、一応は言葉通りに信じて医者通いをします。何度か通院するうちに、医者の方から「不定愁訴」だとか「心因性のものだ」といった言い方で、暗に不登校を示唆してくる場合があります。
あるいはまた「イジメ」や「担任の暴力」とかいったことが学校に行かない理由に上げられることがあります。
この場合もとりあえず信じるところからスタートします。本人の話をできるだけ具体的に聞き、頭の中に映像がありありと浮かぶまで聞き取りをしてから、学校に行き、担任の先生と話をして事実を確認してもらいます(「担任の暴力」といった担任との関係が訴えられる場合は、担任教師と話しても埒の明かないことが多いので、学年主任や教頭といった人も加わって話をした方がいいでしょう)。
いじめや担任のせいで学校に行かないということだって実際にあるわけですから、ここへの対応を怠ると禍根を残すことになりかねません。
そうやって、子どもの訴えを一つひとつ消して行くのです。
この段階で、「腹痛」や「頭痛」あるいはいじめや担任の言動といった問題が解決されてしまうと、引きこもっていることができず、それを機に学校に来るようになるというのも多くあることです。
しかしそれでも学校に来れないとなると、これが本格的な不登校です。ただしすでに体の問題やいじめ問題、担任教師の問題などは解決済みですので、そうした面で混乱することはありません。
迷いがないという点では、ある意味悪いことではありません。