最初に教えることは三つしかない
1・2歳児がやっていることは三つしかない。
遊ぶ、食べる、寝る。
それがすべてである。
だとしたらこの時期に教えることは三つしかない。
よく遊び、よく食べ、よく眠ること。
それだけだ。
ところがこの三つが信じられないほど大変なのだ。
そのことをあなたは知らない。
子の一人遊びに果てしなく付き合うこと、
好き嫌いなく必要な栄養が摂取できるように十分時間をかけ食べさせること、
寝つきの悪い子を時間通り寝せつけること、
その三つのために妻はどれほどの時間とエネルギーを注いできたか。
遊ぶこと
遊ぶこと、特に外遊びをすることは体をつくることに他ならない。
手を汚しその手を口に含んで無害な雑菌を大量に摂取すること。
それによって培われる抵抗力。
飛び石をバランスよく飛び回る力。
高いところを恐れないこと、
体が回転することへの恐怖感をなくすこと、
よく走ること。
そうしたことは遊びの中でしか身につかない。
にもかかわらず、あなたは自分の面倒を先に置いて、子にはテレビとゲームを与えることにした。
眠ること
夜の繁華街を夫婦連れ立って出かける光景。
それだけなら微笑ましいが、二人の間に子がいるとき私は恐怖する。
人間が動物である限り、夜寝ない子は結局ダメなのだ。
十分で正確な睡眠は単なる休養のためではない。
夜は成長のゴールデンタイムなのだ。
脳を脳単独で解析できると考える大脳生理学者はいない。
脳とは全身に広がる神経すべてを含んだひとつのものなのだ。
体を休めずに脳だけが単独に発達することなどない。
なのにあなたは子どもの脳の成長よりも、友だちの一緒に飲む楽しみを優先させた。
子を眠らせる努力を、妻だけに押しつけている。
好き嫌いなく良く食べること
これも単なる栄養摂取ではない。
必要なものを必要な分食べさせながら教えることのひとつは、
『必要なことは耐えて行わなければならない』
という教育のテーマそのものなのだ。
見るがいい。
好き嫌いの多い子たちは一様にわがままで耐性に欠ける。
彼らは勉強などというシンドイことに、絶対に耐え続けることはできない。
人間関係の複雑さに我慢し続けることもできない。
怒りを抑えられない。暴力を抑えられない。
欲しいものには何にでも手を出す。
欲望のままに脅す、盗む、殺す。
人をいじめる子の食事を見よ。
それだけですべてが知れるというものである。