子どもはテレビから学ぶ
子どもは一日に何時間テレビを見てすごすのだろう?
答えは「平均2時間10分」である(学研調査:1994)。
小学校1年生で1時間49分。6年生だと2時間31分。
その計算からすると。6年生の場合、年間で918時間ほどになる。
これは学校で教科を学ぶ時間より遥かに多い。
え?そんなことないだろうって?
計算してみるがいい。
私の勤務校の場合、昨年度一年間の登校日数は200日、総時数で1109時間であった(この段階ではまだ授業時間の方が勝っているように見える)。
しかし、学校の1時間は実際には45分でしかない。
その分も計算に含めると
1109×(45/60)=831.75
つまり、学校で学ぶ時間よりもテレビを見ている時間の方が、86時間ほど長いことになる。
それだけではない。
その831.75時間の中には、学校行事のための72時間、特別活動(クラブなど)のための46時間などを含む。つまり、実際の教科・道徳の時間はわずか682時間(実質)に過ぎないのだ。
すなわち、テレビを見る時間と比べると、学習時間は実に26%、236時間近くも少ないのだ。
子どもは学校で勉強するより遥かに長い時間、テレビによって教育を受けている。
そのことを忘れてはならない。
さて、そこでテレビを通して、子どもたちは何を学んでいるかだ。
私は、世間の親たちが子どもの見るテレビ番組にほとんど制限を加えないことが理解できない。
耐えがたいバカ笑い、揶揄と嘲笑。暴力と性。
重々しいことより軽薄であることを尊び、真面目をバカにし、品性をわきまえず、権威にツバする。
そうしたものを小さな頃より折に触れて学び育ってくる、そうした中にすばらしい子が生まれる訳がない。
あなたは今、子どもと肩を並べながらノン気に「バカ殿」などを眺めている。
親子の共通の話題をつくり、それで父親の努めの何かしらを済ませたつもりでいる。
しかしそんなあなたの姿は、まるで「バカ殿」そのものだ。
そのことをあなたは知らない。