プロミスリング

プロレスにおける宿意の復讐戦
「約束されたリング」
ではない。

幅約1cmまでの毛糸で編んだ帯状の腕輪。
願掛けをしたり、心中立て(私はあなたの友だちよ~ン♪、私はあなたの恋人よ~ン♪)のために使用された。
1990年代初頭の、つまりほとんど「ついこの間」のブームなのに、私自身「よく思い出した」と感心するほどきれいサッパリなくなってしまった。

ブームというのはそんなもんだ。

多くの中学校高校で教師たちが目くじらを立てて取り上げまくったが、マスコミや世間は取り上げることの方に、それこそ目くじらを立てて批判した。いわゆるくじら戦争の一部をなす局所戦の様相を呈した。

これが没収の対象となったわけは、一部の不良グループが「盟約の印」として使用し始めたからである。つまりこのちっぽけな飾りに広域暴力団の金バッジと同じ意味を持たせようとした、そこに問題があった。

「だったら悪い人のだけ取り上げればいいジャン」と平気で子どもは言うが、もしそんなことをしたら「エコヒイキ」のそしりは免れず、「ドーしてワタシらが悪い子なんじゃ」と、そちらの方で全面戦争をしなければならなくなるので一律に禁止した。

そのあたりの事情は小学校の先生にも分からないらしく、小中合同の会合のときなど、若い女の先生の手首にも巻かれていて、中学の教師たちをア然とさせたものだ。

一瞬、「アネゴ」が殴りこみをかけたと思った。