親の敷いたレール


昔は同族企業の社長一家の長男が、
「親の敷いたレールに乗って社長になるなんて嫌だ。ボクはボクで、実力でのしあがって見せる」
といった使い方をした。

しかし30年ほど前から、
「一流高校から一流大学、そして一流企業なんていう親の敷いたレールに乗りたくない!」
といった使い方もできるようになった。

レールというからにはそれに乗って普通に走っていれば、苦もなくそのコースをたどってしまうのだろう。
一流大学まで用意してくれる親が相当数いることも驚きだったが、それを蹴ってしまう子どももたくさんいるのには本当に驚いた。

しかししばらくして、それが単に地図上に引いた予定路線でしかないことを知った。
乗ろうったって乗れないものに「乗りたくない!」などと偉そうに叫ぶ人の気持ちがわからない。
謎の発言だ。

この就職難の現代では親がレールを敷いてくれないことを恨む子どもが多くなったという。
したがって死語に含めた。