学校の自由選択制

 学校区を廃止し、自由に公立学校を選択できる仕組み。
 いじめや不登校の問題を端緒としたが、最近ではむしろ社会の自由化の流れに沿った制度として、東京都品川区などで始められている。

 ただし、一部の地方都市ではドーナツ化現象の結果過疎化した市街地で、
小中学校の統廃合の問題としてこれが扱われる場合も多い。例えば、児童数が極端に減ったA・B・Cの3校をひとつにしようとすれば、必ず反対運動が起こる。いずれも歴史ある学校だから卒業生も多く、必然的に名士も少なくない。したがって話し合いは必ず紛糾する。そこで3校間の自由選択制を導入するのである。

 初めは保たれていた3校のバランスもやがて崩れて行く。
 各学年単級(1学年1クラス)となり、児童数も10人を割り込むと、児童数減少は一気に拍車がかかる。3年に一回,2年に一回といったペースでPTA役員が回ってくるようでは、親が耐えられないのだ。放っておいても5~6年で1校潰すことになる。
 自由選択の結果、選択肢自体が消えていくことになる。
 品川区が率先して学校の選択制に取り組んだのも、何となく分かろうというものである。

 この学校選択制によって、おそらく10年以内に品川区の学校は半減する。
 学校の自由選択制の、「自由」の持つ意味が分かるのは、そのあとのことである。

 品川区の場合、東西4km、南北7kmほどの範囲に40の小学校と18の中学校がひしめいている。均等にならすと、小学校はほぼ500mごとに、中学校でも1・5kmごとに1校の割合である。しかも平均すると小学校は児童数300人(1学年50人)、中学校は250人(同80人)ほどにしかならない。こんなちっぽけな学校に、校長も副校長も養護教諭も用務員も一人ずつ配置されているのだ。こんなもったいないことはない(と、誰かが考えても不思議はないだろう)。








2007.12.16