教育バウチャー(Education voucher) 制度

 学校教育に目的を限定したクーポンを子どもや保護者に直接渡すことで、貧しい家庭の子どもでも私立学校に進むことを可能にした私学補助金政策。
アメリカに端を発する。

 日本の場合、安倍晋三内閣が導入に熱心だった。これによって学校間の競争が激しくなり、教育内容のレベルが上がるのだという。

 しかし
現場の教員はアホなのでこれがまったく理解できない

 バウチャーの使用により、児童生徒を多く集めた学校ほど資金が潤沢となり、人数の減った学校はどんどん貧しくなって教育内容も貧しくなる。新しい地図も買えない地球儀もない、家庭科の時間に鍋がないミシンがない、プールに入れる水の代金が払えない・・・そしてあっという間に学校がひとつ潰れる。そこまでは分かる。

 分からないのは、
そうならないようにきっと教師ががんばるだろうと、なぜ人々が単純に考えられるのか、ということである。もちろん「学校が潰れたらそのときの教職員は全員クビ」というなら慌てるが、現在のところ、学校が潰れたら別の学校へ移ればいいだけのことだ。

 私立学校と異なり、3~4年で教職員が入れ替わる公立学校では、児童生徒数減少の責任を個々の教員に負わせることはできない。また普通の公立小中学校は学区というものを持っているから、学校のよしあしとは関わりなく、地域の衰退が学校の衰退につながる。どんなに優秀な教員をそろえようとも、その流れを止めて学校を大きくすることはできないのだ。
 したがって
児童生徒数が減っても教職員に責任を取らせないという体制は永遠になくならない。責任を問われない以上、それを理由に教員ががんばることもない。

 じゃあ振り返って何のための教育バウチャーかというと・・・・・・結局、学校を減らして歳出を削減するという、極めて行政サイドの話なのかもしれない。ついでに教師が悪く言われているだけなのかも。


2007.12.22