シンディー
   ・ワーク

《小学校教師の1月》


始業式

長い休み(と言っても大したことないが)から山ほどの荷物を抱えて子どもたちは戻ってくる。

学期の最初の仕事は持ち物のチェックだ。

一年で3回だけ、最も忘れ物の少ない日だ。
持ち物がたっぷりある分、保護者が手を入れてくれるはず・・・・・・・だった。
にもかかわらず、忘れる子はやっぱりいる。

通知表の裏側の保護者の欄の記載が落ちていたりすると、私でなくても普通は首をかしげると思う。いったい何を考えているのだろう?



書初め大会

いまどき学校で書初め大会をやっているところは少ないと思うが、ウチはある。
体育館に3年生から6年生まで一斉に並んで書く姿は実に壮観だ。
1・2年生は毛筆書写の学習をしていないので、ギャラリーから見学。それでも上級生たちが息を詰めて書く姿には圧倒されるらしく、なんとなく引き締まった顔をしていた。

約一時間かけて準備やら心がまえのお話やら・・・、その上で心をこめて一枚だけ仕上げる。
緊張感のある良い時間だった。


だから冬

今年の冬はいつもまして寒い。
日直の週は毎夕学校中を見回って水道の蛇口を開き、細く水を出しておくのだが、どうかするとそれも凍ってしまう。
今月の中ごろからあちこちの水道が凍りついてしまい、何箇所もつかえなくなった。でもそれで本当に困るのはトイレであって、これも3箇所で凍りついてしまった。

多少日は長くなたとはいえ、見回りの時刻はもう真っ暗。広い校舎内を懐中電灯片手に見回るのは、いつになっても気味の悪いものだ。
理科室の人体模型など、内臓剥き出し、手足のない姿でカタカタこちらに向かってきそうで、できるだけ見ないようにして回ることにしている。



除雪序説

なんでこんなに降るのか。
今年は例年にない雪降りで、そのたびに総動員で雪かきをするのだけれど追いつかない。
さすがに3回目は疲れてしまい、子どもが通れればいいやということで、多少手を抜いた。と、そこへ抗議の電話。
「体験的な学習が必要と言われる時代に、学校は何をしているのか」
ということらしい。

いったんこういう電話があって、それに対する対応が遅れると今度は教育委員会に電話が行く。
その教育委員会の対応が遅れると次は市長室か県教委に電話が行くことになっている(普通はそういう手順で抗議が上がっていく)ので、たった一本の電話でもおろそかにできない。

登校から1時間目まで潰して雪かきをしたおかげでヘロヘロになっている5・6年生を叱咤して、また外に出す。
労働力としてはまったく期待できない私たち1年生も、気は心とばかりに2時間、雪かきに当てた。




反省係会

一年の四分の一が残っているのに、そろそろ反省の季節。
私は五つの係に属し二つで主任をやっているので、五つの係会に出て二つの資料を用意しなければならない。
一年間の活動を振り返り、来年度に生かすことを検討する、それが反省係会なのだけれど、うっかりすると一年間何もしていなかった係もあり、反省プリントを書く手も重くなる。

あーあ、やっておくべきこと、ほんとうにたくさんあったな。



卒業式準備

卒業式の係会もこの時期行われる。
今年の6年は卒業生を正面に据え、対面式の会場で行いたいと言い出した。卒業生・在校生・保護者・教職員を「ロ」の字の形に置き、証書授与や挨拶は、「ロ」の中央に設置した雛壇の上で行うという方式だ。最近はそういうのが流行っているらしい。

昨年は市内の学校に卒業生を全員ステージに上げてしまい、卒業生中心のすばらしい卒業式との評判をとった。でも本当のところは1000人を超える大規模校なので、椅子を入れ保護者を入れると卒業生の座る場所がないのだとキースは言っていた。

さて、対面型の卒業式。キースはどんなふうに言うのかとTELをしてみたらこうだった。
「冗談じゃあない。卒業式は一年に一遍だけ、税金を払い支えてくれた地域社会とその代表者たる教育委員会に子どもがひれ伏す日だ。雛壇に上げるなら教委を上げろ。教職員でも保護者でもいい。子どもをあげるなんざァ気違い沙汰だ」

・・・やっぱりね。