キースの
   お仕事

《中学校教師の11月》


研究の秋
研究といっても別に研究室に閉じこもって実験しているわけではない。
どんな教材を使って(作って)どんな風に授業をすればうまく行くのかをみんなで考えているわけだ。
これを授業研究といって、その上で行われる授業を「研究授業」という。

規模によって違うが、普通一つの中学校は1年間に3〜5つの研究授業を背負う。
中小規模の学校の場合はたいてい3つが基本だが、4月の段階ですでに各学校に割り当てられている教科があるので、学校ごと自由に選ぶというわけにはいかない。
県教委や市教委、各種教育団体から割り振られた研究授業には他校の先生も来るから、あまりみっともないことはできず、したがって自然と力が入る。文部省の指定などという大型の研究指定校になると、全国から人が集まるので、その力の入れようも尋常でなくなる。
たった一時間のために、二年以上の月日と教師のエネルギーが注ぎ込まれるようになるのだ。

教育委員会には指導主事と呼ばれる人がいて(普通は教員の中から特に優秀な人が選ばれ、何年か専任として仕事をしている)、こうした人々が指導に来るので、その点でもいい加減なことはできない。
主事たちはなかなか勉強家だが、一つくらい気の効いたことを言って帰らないと授業校の職員の白眼視に合うので、気のぬけない仕事とも言える。

私の場合、
今年は自分の教科の研究がないので比較的のんびりしている。
赴任1年目と言うこともあって、道徳の研究グループでいろいろ言っていたら研究は終わってしまった。




しかし外部は違う

しかし校内はそれで終わったが、外部の研究会はそういうわけにはいかない。
今月は全県の〇〇科研究大会が県の南端で行われるため、二日間車で通うわけにもいかず、しかたないので一拍旅行。
一日目は授業参観と研究会(見せてもらった授業をもとにしての話し合い)、二日目は各地区から出されたレポートの検討ということになる。

観光なし、金なし、楽しみもなし。
持ちまわりで役を受けているので断れないのに、一応は自主的組織ということなので手当ても出ない。つまり旅費宿泊費は個人持ち。その上連休を潰す。





桜の葉が落ちると

文化祭も終わって生徒の方はノホホンとしてるのに、教師の方は研究授業で無茶苦茶に忙しい、つまり極めて手薄になる時期。それはすなわち生徒指導(生徒の非行)の時期だ。
桜の葉が落ち始めると、生徒指導主事の八面六臂の活躍が始まる。
私は本校に来て生徒指導主事となったが、気合を入れたほどには忙しくない。ヒマな時もあるということは、この学校は本当に平和なのだ。





テスト・テスト・テスト
3年生はいよいよ進路決定のための最後の実力テスト。1・2年生は通常の期末テスト。
「俺は実力で頑張るゼ!」と叫んでるヤツはたいてい不勉強な連中。
「ホントはオレ頭がいいんだけど、今回は不勉強のため成績は×。でもバカじゃないんだから見放さないでね」
という意味らしい。
可愛いヤツめ、
だがアホだ。
努力しないで勝ち取れる実力などないといつも言ってるのに・・・。




評定

入試の基礎資料が出る。
昔は今日か担任それぞれがテストの平均点に技能点、態度点を加えた基礎票をつくり、机に並べて順位付けをし、その上で上位から9・8・7・・・・と内申点をつけたものだが、今はコンピュータのお蔭でずいぶん楽になった。
しかし基礎票がまちがっているとなんにもならないので神経を使いながら打ちこむ。

それが全部出揃うと「なんだアイツ、俺の教科しかできなかったのか?」とか、その逆の場合もあったりして、反省させられたり鼻が高かったり、なかなか面白いこともある。

これを持って、3年生担任は懇談会に向かうのだ。