キース・アウト (キースの逸脱) 2005年2月 |
by キース・T・沢木
サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。 政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。 落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。 ニュースは商品である。 どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。 ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。 かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。 甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの、本物そっくりのまがい物のダイヤ。 人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄 。 そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。 |
2005.02.06
学力低下に不安8割、ゆとり教育反対増…読売世論調査
[読売新聞 2月6日]
政府が学校教育における「ゆとり教育」の見直しを進める中、読売新聞社が実施した「教育」に関する全国世論調査(面接方式)で、国民の8割が子供たちの学力低下を「不安」に感じ、「ゆとり教育」を「評価しない」人が7割超に上ることが明らかになった。
また、学校教育への不満(複数回答)では、「教師の質」60%がトップで、この質問を始めた1985年調査以来、最高値を記録した。特に子供たちの学力低下問題は、昨年末に発表された国際学力調査を機に深刻な問題となっており、政府による「ゆとり教育」の見直しなどの教育改革に拍車をかけそうだ。
調査は1月15、16の両日に実施。子供の学力低下については、「不安に感じる」が「どちらかといえば」を含め81%に上り、「不安に感じない」計16%を大きく上回った。
学力低下の原因(複数回答)では、「ゲームやマンガなど誘惑の増加」53%がトップ。続いて、「授業時間の削減」50%、「教師の質の低下」41%、「日常生活の乱れ」37%、「教科内容の削減」36%などの順で、学力低下は「ゆとり教育」や教師の質の低下が原因とみる人が多いことがわかる。
「ゆとり教育」を「評価しない」と答えた人は「どちらかといえば」を含め72%で、「評価する」は22%にとどまった。「ゆとり教育」を進める現行の学習指導要領が始まる前に行った2002年3月の同種調査では、「反対」67%が「賛成」28%を上回っていたが、今回、「評価しない」がさらに5ポイント上回り、否定的評価が一段と強まった。
現行の学習指導要領は、体験重視の「総合的な学習の時間」導入が目玉だが、国語や数学などの主要教科の授業時間を削減したことで、学力低下が懸念されていた。国際学力調査による学力低下の表面化を契機に、政府も、中山文部科学相が1月、主要教科の授業時間拡大の意向を表明するなど、「ゆとり教育」を進める学習指導要領を全面的に見直す方針だ。
一方、学校教育への不満では、「教師の質」が2001年の前回調査より17ポイント増の60%で最も多かった。以下、「学力の低下」45%、「道徳教育」42%、「いじめ」36%などの順。また、教師の質では、教育者としてふさわしくない小中学校の教師が「増えてきている」と感じている人は80%にも上った。指導力不足など問題がある教師に教員免許の更新を認めないようにする制度の導入については、「賛成」が89%に達した。
一方、小学校の英語教育について、「早い時期から英語を学ばせる方がよい」48%が、「国語や算数の力をきちんと身につける方が先」40%より多かった。
◆ゆとり教育=1977年から段階的に実施され、小中学校では2002年4月から、週5日制実施とあいまって、「総合的学習の時間」の創設を柱とした新学習指導要領が導入された。高校は翌年度から実施。だが、授業時間が減ることなどから、保護者からは学力低下への不安が高まっていた。
【調査方法】
▼調査日=1月15、16日
▼対象者=全国の有権者3000人(250地点、層化2段無作為抽出法)
▼実施方法=個別訪問面接聴取法
▼有効回収数=1,843人(回収率61.4%)
▼回答者内訳=
▽男47%、女53%
▽20歳代10%、30歳代15%、40歳代17%、50歳代22%、60歳代20%、70歳以上16%
▽大都市(東京23区と政令指定都市)21%、中核都市(人口30万人以上の市)17%、中都市(人口10万人以上の市)19%、小都市(人口10万人未満の市)21%、町村22%世論はまんまとマスメディアのツボにはまってしまった。
ところで、いじめ問題でも不登校問題でも常にしてきたと言うのに、学力問題でメディアが決してしようとしないことがある。
それは「子どもたち自身の生の声を聞く」ということである。
「子どもたちの問題だから子どもたちに聞け」
それは常にキミたちが言ってきたことだと思うが・・・・。
2005.02.15
小学校で教職員3人殺傷、17歳卒業生を逮捕…大阪
[読売新聞 2月15日]
14日午後3時すぎ、大阪府寝屋川市初町、同市立中央小学校(坂根博一校長、児童601人)の本館校舎に、刺し身包丁を持った同市内の無職少年(17)が侵入し、5年生の担任教諭、鴨崎(かもざき)満明さん(52)(寝屋川市池田)ら教職員3人を次々と刺した。
3人は病院に運ばれたが、鴨崎さんは間もなく死亡、1年生の担任教諭、友村瑞枝さん(57)(同市豊里町)と、栄養職員の福島明美さん(45)(同市太秦=うずまさ=桜が丘)が約2週間のけがをした。児童にけがはなかった。
110番通報で駆け付けた府警寝屋川署員が同3時19分、職員室にいた少年を殺人未遂の現行犯で逮捕した。府警は同署に捜査本部を設置、容疑を殺人に切り替えて調べる。
調べによると、少年は同小の卒業生。本館1階の養護職員室に現れ、居合わせた鴨崎さんら2人に「職員室はどこですか」と尋ねた。
鴨崎さんが2階にある一般教諭の職員室へ案内する途中、少年は鴨崎さんに襲いかかった。養護職員室の隣にある技能職員室前の運動場に大きな血だまりがあり、少年は運動場に逃げた鴨崎さんを追いかけ、背中から刺したとみられる。その後、少年は2階の職員室に乱入し、福島さん、友村さんの順に刺したという。
署員が駆け付けた際、少年は職員室で血のついた包丁を持ち、たばこを吸っていた。署員の呼びかけに応じ包丁を手放した直後、署員に学校備品の「さすまた」で取り押さえられたという。
調べに対し、少年は自分の名前を名乗ったほか、「正門から入った」と進入経路を説明しているといい、府警は、犯行の動機や経緯の解明を進める。府警は刃渡り21・5センチの刺し身包丁を押収した。廊下ではカバンが見つかり、少年が包丁を隠すのに使った可能性もあるとみて調べる。
鴨崎さんの傷は背中に1か所で、右肺を貫通し心臓に達していた。死因は失血死。15日に司法解剖する。友村さんは左下腹部、福島さんは右脇腹を刺されていた。
犯行当時、1、2年生の大半は下校していたが、3―6年生ら約240人は授業の一環であるクラブ活動中などで校舎やグラウンド、体育館にいた。職員の1人が火災報知機を鳴らし、教室から出ないよう叫び、少年の逮捕後、教諭らが児童を校庭に誘導した。児童は点呼の後、迎えの保護者に付き添われ集団下校した。
学校関係者によると、少年は精神的に不安定で、病院に通っていたという。
同小の入り口は3か所あり、給食室近くの物資搬入用の門は施錠されていたが、正門と南門は施錠されていなかった。
とりあえずもっとも無色な記事を選んで載せた。
今後さまざまな話が出てくるだろう。
テレビは早くも「いじめ」→「不登校」→「恨み」という筋で話を組み立てようとしている。
恨みだったらなぜ5年もの間を置けたのか、それが私には不思議だ。
17歳にとって5年は人生の3分の1にも及ぶ時間だ。それだけの長い時間、恨みを持続し高めることができるものだろうか?
まあいい、ホントウのことはこれから続々出てくるはずだから。
中山文部科学相は15日にあった中央教育審議会(文科相の諮問機関)の総会で、「ゆとり教育」を柱とした現行の学習指導要領について、今年秋までに全面的に見直すよう要請した。文科相は国語に力を入れる必要性を強調した上で、「ゆとり」の象徴的存在である「総合的な学習の時間」(総合的学習)の適正な授業時数を検討するよう求めた。今回の審議要請で02年度から実施されている現行指導要領は、早ければ06年度にも改訂されることになる。
2005.02.16
ゆとり教育、全面見直しへ 指導要領は06年度にも改訂
[朝日新聞 2月15日]
文科相は、検討の方向性までは踏み込まなかったものの、国語などの基本教科を重視する検討課題が示されたことで、「脱ゆとり」に大きくかじを切ったといえる。
第3期の中教審が始まったこの日、文科相はあいさつで、今期の審議では、義務教育のあり方と教育課程の全体の見直しが重点項目になるとの考えを示し、いずれも秋までに基本的な方向性を報告や答申などの形で示すように求めた。
現行の指導要領については「知識や技能を詰め込むのではなく、自ら学び考える力を育むとした理念に誤りはない」としながらも、「その狙いが十分達成されているか、必要な手立てが講じられているか、課題がある」と問題点を指摘した。
今後の見直しについては、「すべての教科の基本となる国語力の育成、さらに理数教育と外国語教育の改善充実について十分に検討が必要だ」と述べた。さらに、授業時数の見直しにあたっては「各教科及び総合的学習の授業時数のあり方、学校週5日制のもとでの土曜日や長期休業日の取り扱いについて検討をお願いしたい」と述べた。
また、学習内容の最低基準という指導要領の性格を前提に、さらに、(1)各教科で子どもたちが身につけるべき資質・能力の到達目標(2)国民として共通に必要な学習内容――をそれぞれ明確化するよう求めた。
ついにマスメディアは文部科学省をここまで追い詰めた。
かつてメディアがあれほど持ち上げた「総合的な学習」
そのために延べ何百万人という教員が心血を注ぎ込んだが、火付けの張本人によってつぶされようとしている。
文部科学省追い詰められたのはしかたがない。方向変換もやむを得ないだろう。
しかし数百万人の教員の努力については目を瞑ってもいいが、新学習要領がダメだったとなるとこの3年間、その指導要領のもとで学んできた子どもたちはどうなるのだ?
指導要領の見直しの前にしてほしいことがある。
メディアも含め、国語や算数・数学の時数を減らしても総合的な学習を行うことに価値があると主張し続けた者たち、そうした人たちの厳正な処分、それなしの方向変換は子どもたちに対する重大な裏切りだ。
2005.02.21
全国の高校生 初体験、半数が「戸惑い」 性感染症対策 PTA初調査
[産経新聞 2月20日]
「予防には親子の対話」
高校三年生の性経験率は男子が30%、女子が39%で、女子では初体験について「後悔した」「どちらとも言えない」と肯定的ではない生徒が過半数−。全国高等学校PTA連合会は、性感染症の予防対策のため高校生約一万人に実施した全国調査の結果を十九日までにまとめた。「寝た子を起こすな」と反対しがちだった保護者側が実施した初の調査という。
集計、分析をした木原雅子・京大助教授(社会疫学)は「氾濫(はんらん)する性情報にせかされるようにして経験したため、後悔や戸惑いにつながっているのでは。身近な性感染症の危険を伝え、家族の役割や人間関係、心のケアも含めた予防教育が必要」と指摘している。
全国から四十五高校を選んで調査、九千五百八十七人が回答した。
経験率は一年生男子が12%、女子が15%、二年生は20%と29%、三年生は30%と39%だった。
初体験後の気持ちは「経験してよかった」は、学年により男子が55−58%、女子41−45%、「後悔した」は男子8−11%と女子9−13%、「どちらとも言えない」は男子31−34%と女子41−49%。女子は全学年で「後悔」「どちらとも」の合計が半数を超えた。
小学生で性描写のある漫画や雑誌を見た生徒や、家族と会話がないと答えた女子は、性関係を持ってもよいと思う割合が高かった。また
(1)エイズなど性感染症への危機意識がない
(2)携帯電話を所持
(3)出会い系サイトを利用
(4)泣きたくなるほどつらい気持ちになることがよくある
−とした生徒は、経験率が高かった。
◇
全国高等学校PTA連合会の渡辺孝雄事務局長の話「親として実態を押さえた上で性感染症対策を進める必要があると考えた。親が逃げがちだった性の問題をどう子供と話していくのか、親子の対話が鍵になるだろう」
気の重くなるような数字である。
さて、何を語ろうか・・・
2005.02.21
高校生の性体験率、携帯所持者が非所持の4倍
[読売新聞 2月20日]
性体験の比率は携帯電話を持っている方が高く、家族との会話が少ないほど高い――。全国高等学校PTA連合会(事務局・東京、会員約250万人)と京都大学の木原雅子助教授が全国の高校生を対象に行った生活・意識調査で、高校生の日常生活と性体験の関係が浮かび上がった。
調査は、全国45校の高校生約9600人を対象に、昨年10月にアンケート形式で実施。より有効な性教育のあり方と性感染症の予防の手立てを探るため、性体験の背景にある社会環境の変化や意識を探った。
それによると、携帯電話を「持っていない」とした生徒で「性体験がある」と回答したのは7%。これに対して、「持っている」と答えた生徒のうち26%が「性体験がある」と回答。携帯電話を持っている生徒の性体験率は、4倍近いという結果になった。
また、出会い系サイトを「利用したことがある」という生徒の性体験率は63%に達しており、「利用したことはない」生徒の性体験率22%の3倍近かった。
さらに、家族との会話が「ない」と答えた生徒の性体験率は46%。「ある」と答えた生徒の性体験率28%のほぼ1・5倍だった。
私たちには都合のよい数字である。
しかし産経の記事と比べると微妙なニュアンスの違いがある。
ところで、
携帯電話を「持っていない」とした生徒で「性体験がある」と回答したのは7%
しかし携帯を持っていない(今や奇妙としか言いようのない)生徒は全体の何%ほどなのか?
これに対して、「持っている」と答えた生徒のうち26%が「性体験がある」と回答。
高校3年生で性体験のある生徒は男子でも30%に及ぶのだ。この26%というのはどういう数字なのか?
データそのものにあたってみないと、なんとも言えない数字である。