キース・アウト
(キースの逸脱)

2007年4月

by   キース・T・沢木

サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。
政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。
落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。

ニュースは商品である。
どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。
ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。

かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。
甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの本物そっくりのまがい物のダイヤ
人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄
そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。
















 

 

2007.04.01

社会意識調査 「悪い方向に」教育がトップ 内閣府発表


毎日新聞 4月1日]


 内閣府は3月31日、社会意識に関する世論調査結果を発表した。現在の日本の状況について「悪い方向に向かっている」と思う分野を複数回答で聞いたところ、教育が前回(06年)から12.3ポイント増え36.1%となり、98年にこの質問を盛り込んで以来最高で、初のトップとなった。高校の履修不足問題や、相次ぐいじめ自殺などが影響したとみられる。医療・福祉31.9%、地域格差26.5%も10ポイント以上の増加で過去最高を記録した。
 「政治や社会情勢の影響を受けやすい調査」(内閣府)だけに、安倍政権の課題を浮き彫りにした形だ。
 調査は1〜2月、全国の成人男女1万人を対象に面接方式で実施。5585人(回収率55.9%)から回答を得た。
 教育と答えた人を男女別にみると、男性36.7%、女性35.6%。年代別では男女とも30代がトップ(男性47%、女性47.8%)で、20〜40代の男女がいずれも4割を超えるなど、子育て世代の教育不安を裏付けた。
 教育に、前回トップの治安35.6%(前回比2.7ポイント減)、雇用・労働条件33.5%(同4.6ポイント増)が続いた。急増した医療・福祉(31.9%)と地域格差(26.5%)はそれぞれ、5位と8位だった。
 小泉政権で増加の一途だった外交は前回比8.9ポイント減の22.4%で、日中、日韓首脳会談の再開といった安倍外交を国民が評価していることをうかがわせた。
 一方、「良い方向」(複数回答)は(1)科学技術19.7%(2)通信・運輸18.9%(3)医療・福祉16.5%−−の順だった。【渡辺創】



 科学的なの話をしようといつも思う。
 体感治安という言葉が広く流布するようになってから「日本の治安は案外まともなのではないか?」という思いが広がり、なんとなく日本は平和になってきたような気がしている。そしてそれとは逆に、教育崩壊だの教育再生だのといった言葉の広がりとともに、教育に対する不安が一気に日本を包み込んでしまった。
 
しかし教育がどのようにどれだけ悪くなったかについては、誰も検証しようとしない。

 未履修問題も、大学入試に必要ない科目をサボッて必要科目に振り向けたという受験生に有利な話から、「ウチの子が受け取れたはずの教育サービスを受け損なった=損した」という話にすりかわってしまった。

 いじめ自殺問題も結局、「現代のいじめは、かつてなく陰湿で残酷なものになった」といった間違った方向にリードされ、『やっぱ先生たちにがんばってもらうしかない』と、社会は何の解決策も示さないまま、ブームを終えた。

 そして不安だけが残った。その不安に乗じて教育予算を削減し、国家の意思を教育の場で存分に広げられる体制がつくられようとしている、不安な春だ。





 

 

2007.04.07

特別支援教育:小中校で義務化 教員経験不足、
現場混乱 保護者から不満の声 /新潟


毎日新聞 4月5日]


今月から改正学校教育法が施行され、障害を持つ児童・生徒一人一人の必要性に応じた適切な教育を行う「特別支援教育」がすべての小中学校で義務付けられた。特殊教育の対象ではなかった発達障害の子供も支援する点が特徴で、県内の小中学校でも準備作業が続けられている。しかし、教員の経験不足などで教育現場では混乱も起こり、保護者からも不満の声が上がっている。【松本春香】
 特別支援教育とは、目や耳の障害、知的障害や肢体不自由などに区別して教育を行っていた特殊教育を改め、発達障害を含む障害児一人一人に個別の指導計画を作り、きめ細かい支援を行う制度。文部科学省の通達では、今年度中の体制整備を目指すとされており、県内の全小中学校でも同法の施行を前倒しする形で、個別指導計画の作成や発達障害児らを対象とする特別支援学級を新設する動きが本格化している。
 しかし、実際に同教育を受けた障害児の保護者からは不満の声が上がり始めている。新潟市の主婦(36)は「制度だけできても中身が伴っていない」とため息をつく。
 長女(7)は、相手の言葉やあいまいな表現、感情が理解できないなどのコミュニケーション能力の障害▽自身の行動を別の行動に転換する能力の障害などを抱える。「きちんとした指導を受けさせたい」と昨年4月、同市内の小学校の特別支援学級に入学させた。
 しかし、実際の指導は期待とは違った。月1回作成されるはずだった個別指導計画は理由もなく2カ月で打ち切られたという。上手に会話できない長女の代わりに学校の様子を知ろうと、担任の40代の男性教諭に連絡帳の作成を申し出たが、「わかりました」との短い返事しか返ってこない。教諭は支援学級を指導した経験がなかった。
 また同校のもう一つの障害児の学級では、児童が教諭の言うことを聞かずに歩き回るなどし、授業が成り立たなくなっていた。結局、同校の障害児の保護者たちは順番で授業に付き添うことを決めた。
 こうした状況に頭を抱えるのは学校側も同じだ。同校では、05年に支援学級を設置したが、自ら支援学級の担任を志願した教員は1人もいなかった。校長は「こちらから(担任を)やって下さいとお願いしている」と教員の意欲不足を明かす。結果、経験のない教員と、障害への知識が豊富な保護者との間で意見の食い違いが生じ、「100%保護者の意向に沿えていない状況」という。
 県教委の担当者は「授業が成り立たない」という相談が他の学校からも寄せられていることを認め、「現場が混乱している。先生を指導するシステムを作っていかないといけない」と話した。
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 ■ことば
 ◇発達障害
 発達障害とは、自閉症に代表される先天的な脳の機能障害。社会性を築くのが困難で、コミュニケーションに障害がある点などが特徴。知的障害や言葉の遅れを伴わない自閉症のアスペルガー症候群や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれる。文科省の推計では、通常学級の全児童・生徒の6%が同障害などにより新たに特別支援教育の対象となるとみられる。




 10年ほど前、全国の小中学校にカウンセラーの配置が配置されることが決まったとき、世の中に臨床心理士の資格を持つ者は600人程度しかいなかった。そしてその大半が精神科医と大学教授であったため本業を辞して学校に向かうはずもなく、実際に配備された「カウンセラー」はほとんどが退職教員で、そのために教員の体のよい天下り先だと、盛んに揶揄されもした。

文部科学省の通達では、今年度中の体制整備を目指すとされており、県内の全小中学校でも同法の施行を前倒しする形で、個別指導計画の作成や発達障害児らを対象とする特別支援学級を新設する動きが本格化している。

今回の特別教育支援のスタートに際し、私の学校も含め多くの長中学校で一斉に特別支援学級がつくられ始めた。しかし、それを前提とした教員養成はまったく行われてこなかったから当然専門家が不足する。

校長は「こちらから(担任を)やって下さいとお願いしている」と教員の意欲不足を明かす。というが、意欲をもって手をあげても経験や技能がなければ
「わかりました」との短い返事しか返ってこない。教諭は支援学級を指導した経験がなかった。
と非難されることになりかねない。
シロウトが軽々に引き受けていいことではないから、当然、
自ら支援学級の担任を志願した教員は1人もいなかったということになる。


そもそも経験があって能力があれば必ず解決するという保証のないのがこの世界なのである。なぜなら広汎性発達障害の児童生徒をどう指導していくかということは焦眉の急であるもかかわらず、方向はまったく確立していないからだ。
この問題の専門家たち(医師や心理職の人々)の間には次第に経験の蓄積がなされ、対応法が開発されてきたとはいえ、まったく不十分である。そして困ることに、そうした専門家の提示する対応策というのは常に「こういう子には、こういう対応をしましょう」といった二人称の話でしかない。
例えば『漢字がまったく入っていかない学習障害の生徒には「休」という字は「人(イ)」が「木」に寄りかかっている構図だといった教え方をしなさい』といった指導がなされる。
それはいい。しかしこのやり方だと漢字の習得にべらぼうな時間がかかる。時間のかかるのはいいにしても、
その子に丁寧に漢字を教えている時間、同じクラスにいる他の5人ないし6人の生徒はどうしたらいいのか、それが私たちには分からない。クラスは二人称の世界ではない。同じ漢字の学習障害の子だけがいるわけではない。アスペルガーの子もいればADHDの子もいる。そして同じ障害名でもその様態はまったく異なるのだ。
人の気持ちを推し量ることの苦手なアスペルガーの子が不要にADHDの子をからかい、ADHDの子がその特性である衝動性によって、アスペルガーの子を殴った場合、一人しかいない担任の彼は、どう対応したらいいのか、それが私たちには分からない。
LDの種類は山ほどある。それに対する共通の指導法というもの、それが私たちには分からない。
だから、
また同校のもう一つの障害児の学級では、児童が教諭の言うことを聞かずに歩き回るなどし、授業が成り立たなくなっていた。結局、同校の障害児の保護者たちは順番で授業に付き添うことを決めた。
ということになる。
個別の指導計画を立てても、その「個別の指導計画」同士が矛盾をきたすのだ。

さて、では、対処の仕方はまったくないのか?
そんなことはない。私にはよいアイデアがあるし、それはすでに一部で実施されている。例えば次の記事にあるような事例である。



鈴花ちゃん、小学校の普通学級に入学 「うれしいです」  2007年04月06日朝日新聞

 
定期的に痰(たん)を吸引することが必要なことから一時、市立保育園への入園を拒否された東京都東大和市の青木鈴花ちゃん(6)が6日、市立小学校の普通学級に入学した。濃いピンク色のランドセルを背負い、父親の繁宜(しげよし)さんとともに元気に登校。校門近くで一人で駆け出し、報道陣に「おはようございます」とあいさつ。どんな気持ちか聞かれると「うれしいです」と笑った。
 鈴花ちゃんは息を吸うときに気管がふさがる病気のため、1〜3時間に1回、痰を吸い出す必要がある。一時は市立保育園への受け入れを拒否されたが訴訟を経て、1年あまり通園。小学校では普通学級への就学が認められた。市教委は小学校に看護師資格を持つ専属の介助員を配置、義務教育の間は同様に対応する方針という。















 鈴花ちゃんの件については、保育園の受け入れ拒否の際大きな問題となり、メディアは行政の無理解を徹底的になじった。しかし
行政になかったのは理解ではなく、金だった。鈴花ちゃんが行政の壁に穴を開け、そこから多数の同様の事例がなだれ込むことを恐れたのである。
 さて、
特別支援教育を充実させることはまったく困難でない。鈴花ちゃんの事例と同じように、専属の介助員ないしは教員を配置すればいいだけのことだ。
 特別支援学級に5人の児童生徒がいるなら、担当者を5人にすれば事足りる。問題はそのために国民が金を出すかどうか、それだけのことである。






 

 

2007.04.10

<教育再生会議>人気校には予算優遇
学校選択制を拡大


毎日新聞 4月9日]


 政府の教育再生会議は8日、公立の小中高校への競争原理導入を求める提言の素案をまとめた。行きたい学校を選べる学校選択制を拡大した上で学校予算を児童・生徒数を重視した配分に変更することで、人気校が優遇されるよう促す。同時に学校の統廃合の推進を打ち出し、人員や財源の効率化を求める。
 9日の同会議第1分科会(学校教育)に提示し、5月の第2次報告に盛り込むことを目指す。
 学校選択制は、市町村教育委員会による指定ではなく、保護者や子どもが通学先を決めるため、人気の高い学校に児童・生徒が集まる。学校予算は従来、職員数や設備に応じて配分されているが、再生会議は、児童・生徒数が多く集まる「人気校」に予算が手厚く流れる仕組み作りを促す。
 教員給与も現在は年功序列が基本だが、勤務評定に応じて現行水準の80〜120%の幅に弾力化し、優秀な教員を処遇。教員の一般公務員に対する優遇を定めた人材確保法を改正し、教育予算に占める人件費引き下げを図る。【竹島一登】




 わずか10km四方の中に数十校がひしめいている東京23区のような場所での話なら分かる。あの学校がダメならこの学校と就学の場所を変えても、距離にすればわずか数百メートルである。
 しかし東京もひとたび郊外に出れば、そして日本中の大部分の地域にとって、地元の学校に行かないという選択は大変な費用やエネルギーが必要になる。つまり
そのための費用に耐えられる家庭の子や、子どものためにいくらでもエネルギーを費やせる保護者を持つ子だけが「選択制」の恩恵に浴することになるのだ。不人気校には貧しい子、教育に関心のない親を持つ子だけが残り、予算も「人気校」に偏って流れるから教育水準はさらに下がる・・・。なんだか一昔前のアメリカの都会を思わせる雰囲気である。

 しかしおそらくそうはならない。
 指導要領でがっちりと縛り、入試科目にない教科をサボる「未履修」のようなケースを絶対許さない・・・つまり日本全国一律の教育を行うことが前提であるような日本の教育の下で、「人気校」というものが生まれる余地がないからだ。あるのは荒れた学校と平和な学校だけである。

 もちろん近くに別な学校があれば、「荒れた学校」からいっせいに児童・生徒が引き上げてしまうのは予想がつく。しかしそのことは「荒れた学校」の規模縮小につながり、ひいては決めの細かい指導へとつながっていく。数年を経ずして「荒れた学校」と「平和な学校」が入れ替わり、そのたびの親たちは右往左往することになるだろう。

 ところで、当の「荒らしている本人」あるいは「荒らしているグループ」そのものが選択制を利用して別の学校に移動しようとするとき、行政や学校はどう対応できるのだろうか? あるいは、進学実績の良い学校を求めて学業不振の生徒が一斉に移動しようとしたらどうなのか?
 
 平和な学校が混乱から、高学力学校が低学力から、それぞれ自分の学校の特色を守る仕組はつくってもらえるのだろうか?






 

 

2007.04.15

ゆとり教育:学力向上にプラスかマイナスか 揺れる評価


毎日新聞 4月14日]


 「ゆとり教育」は子どもたちの学力向上にプラスか、マイナスか−−。文部科学省が13日に公表した「教育課程実施状況調査」(学力テスト)で、ゆとり教育世代の高校3年生の学力が、実施前の高校生よりもわずかに上回っていた。学力低下への懸念から政府の教育再生会議にも見直しが迫られているゆとり教育。03年度に行われた小中学校対象の調査でも学力向上の傾向を示したが、研究者の間でも調査結果に対する見解は割れている。ゆとり教育の評価と今後を探った。【高山純二、佐藤敬一、合田月美】

 ◇「低下」世代 2年で「成果」?

 「ハッピー、ハッピーとは言えない」。今回の調査結果は、02〜03年度にかけて行われた前回の調査と比べ、プラスに転じているとはいえ、誤差の範囲内にも見え、文部科学省でも評価は定まっていない。結果を一瞥(いちべつ)した幹部は複雑な表情を浮かべた。

 今回の調査対象は05年度の高校3年生。かつて、学力低下を「裏付けた」と指摘された世代だ。03年度実施の高校の現行学習指導要領の1期生にもあたる。中学でも1年の時から、現行の小中指導要領に徐々に移行、3年時に完全実施された。これらの指導要領は、ゆとり教育路線の総仕上げとして学習内容が削減されたものだった。

 中2だった01年度、学力テストが行われ、同一問題の正答率は93〜95年度調査より下回る結果に。03年には、この学年(当時高1)を対象に、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)が行われ、読解力がOECD平均レベルに落ち込んだことが判明。「学力低下ショック」が波紋を広げ、ゆとり教育の見直し論が一気に加速した。

 だが、そもそも「学力低下」は本当か。同省のテストでは相反する結果が続く。現行指導要領で学んだ小中学生を対象に行った03年度調査でも、01年度調査と同じ問題のうち43%で正答率が上回った。当時の中山成彬文科相が「学力の低下傾向に若干の歯止めがかかった」と評価する内容だった。この03年度調査は、学習意欲や時間も増加に転じている。

 今回の調査結果も「似た傾向」(国立教育政策研究所)を示しており、ゆとり教育の成果が出たとも言えそうだ。

 しかし関係者の評価は慎重だ。国立教育政策研究所教育課程研究センターの惣脇(そうわき)宏センター長は「現指導要領で新たに重視されている点が、どれだけ実現しているか一つ一つ(の問題で)見ていく必要がある」とゆとり教育の直接の評価を避ける。

 同じ87年度生まれの子どもたちが、高1まで「学力低下」の象徴、高3で「学力向上」とされる。それはなぜか。同省も明確な答えはない状態だ。

 ◇学習指導要綱改定 審議に影響必至

 今回の調査結果は、学習指導要領改定を審議する中央教育審議会に報告される。今までのところ、次期改定のキーワードは「ゆとり教育」から「活用型教育」になる見通しだが、どう反映するのか、今後、議論になるのは必至だ。

 ゆとり教育は、自ら学び・考える力である「生きる力」を中心理念とした。だが学力低下懸念や、高まった自由度が学校現場でうまく生かされていないという批判にさらされた。

 このため政府の教育再生会議は1月24日の第1次報告で、ゆとり教育の見直しを提言。具体策として、授業時間の10%増加▽基礎・基本の反復・徹底と応用力の育成▽薄過ぎる教科書の改善−−などを盛り込んだ。しかし、単なる授業時間増では詰め込み教育の復活だとして、教育界や自民党文教族からも反発を招いた。

 中教審が同月30日にまとめた報告書では、授業時間の増加も検討課題に挙げる一方、「生きる力をはぐくむという現行指導要領の狙いは今後とも重要」と指摘。基礎・基本の知識を育成しながら、自ら学び考える力も育てることを両立させた「活用型教育」に言及した。ゆとりの理念を堅持したうえで、学力低下批判にも応える“折衷案”となっている。

 ◇学力向上現場が支え 狙い徐々に浸透

 現行の学習指導要領について、ある中央教育審議会委員は「まじめな先生が、真っ正直に受け止め過ぎた」と指摘する。つまり、詰め込み教育を見直すためのゆとり教育という社会的なスローガンが極端に受け止められ、基礎・基本も大切にすべきところを、「ゆとり」の部分だけが重視されたという考え方だ。

 学力低下への懸念が取りざたされた02年1月、こうした状況を踏まえ、遠山敦子文部科学相(当時)が「学びのすすめ」を発表。ゆとりを重視するあまり、「宿題も出さない」状況になった学校現場に対し改善を求めた。

 今回の調査で一緒に行われた教員へのアンケートでは、宿題を「全く、またはほとんど出していない」という科目が、12科目中9科目で減少していることが分かった。高校生の学力低下に歯止めがかかったように見える結果を考え合わせてみても、現行の指導要領の狙いが、現場で徐々に浸透しつつあるといえるのではないか。

 現在の教育改革論議をみると、教員免許更新制度を導入するため、今国会に教員免許法改正案が提出される。また政府の教育再生会議は授業時間の10%増を提言する。こうした考え方は、教員の負担を増やす方向性ばかりが目に付き、現場の力に不信感を持っているようにも思える。

 本来、教育改革は現場の力をいかに発揮させるかにあるはずだ。猫の目のごとく拙速な方針転換などは考えずに、もっと慎重な議論を重ねてほしい。せっかく芽生えた「学力向上傾向」に水を差してはならない。【高山純二】

 ▽加藤幸次・上智大名誉教授(学校教育学)の話 想定正答率を下回る設問が前回より減少しており、その意味では学力はまずまず向上したと言えるだろう。ゆとり教育が学力低下を招いたと盛んに言われているが、その批判は当たらない。

 ゆとり教育とは、詰め込み教育の反省から、学力の低い生徒にも分かるように教えることと、考える力、つまり生きる力をはぐくむのが目的だった。このうち、前者ばかりが取り上げられているが、批判の根拠に挙げられるPISAは、英語圏に有利な問題設定にもなっており、これで日本の子どもの学力をうんぬんするのは間違いだ。

 ただ、考える力や表現力がついていないのは問題だ。どこまで真剣に取り組んだか分からないが、記述問題での解答なしが増えている。ペーパーテストの結果で学力が上がった下がったと判断するのではなく、本当の意味での学力と言える思考力や判断力を育てなければならない。それにはどんな努力と工夫が必要なのか、関係者は再認識して具体策作りに取り組んでほしい。

 ▽苅谷剛彦・東大大学院教授(教育社会学)の話 今回対象となった高校3年生は、新学習指導要領の実施世代であると同時に、学力低下批判から学力重視を打ち出した「確かな学力」路線が始まった世代でもある。だから、ゆとり教育による大きな変化は生じていないのかもしれない。

 その前提で今回の結果を見ると、厳しい評価を受けた前回調査と比べ、あまり顕著な改善は見られない。

 例えば数学1の「関心・意欲・態度」を測る問題で、想定正答率を下回ったのが前回は11問中9問、今回は11問中10問とほとんど変わらない。新学習指導要領の一つの目玉だったにもかかわらず改善できていない。また、英語や数学などでは依然、得点分布が二極化している。同一問題で正答率が前回を上回った問題が多いのも、学力格差が大きいまま上位層が少し良くなったという可能性が強いのではないか。

 ゆとり教育で小中学校で積み残した部分が高校にきている。もし学習指導要領を改定するのなら、小中高と連続して体系付けていくべきだ。

 【ことば】教育課程実施状況調査 学習指導要領の定着度を調べるため、文部科学省が全国の小中高校を無作為抽出して行う学力テストのこと。学習指導要領の改定に生かす狙いもある。1956年度に始まったものの、自治体・学校間の競争が過熱し、日本教職員組合の反対もあり66年度に中止。81年度から小中学生に限定して再開、02年度から高校生も再開した。都道府県別の結果などは公表されず、参加生徒にも結果は返却されない。

 今月24日の全国学力・学習状況調査は弱点把握が目的で全員対象。

 【ことば】想定正答率 学習指導要領の内容を標準的な時間をかけて学習した場合に、予測される正答者の割合。学識経験者や教員らで作る問題作成委員会が事前に設定する。正式には設定通過率と呼ぶ。上下5%以内が「同程度」。仮に60%と設定した場合、55〜65%が「同程度」で、超えれば「上回る」、達しなければ「下回る」と分類される。



「まじめな先生が、真っ正直に受け止め過ぎた」
 救いのない言葉だ。
 教員がまじめでものごとを真っ正直に受け止めないとしたらどんなことになるのか・・・しかし、中央教育審議会審議委員が言うことなのだから、その通りに考えた方がいいのだろう。
 今後文科省が何を言おうとも、適当につき合っていた方がいい。それは猫の目のように変わる教育政策に振り回され続けた今日までの経過からも、思わされることである。

 私はいつも科学の話をしたいと思っていた。
 日本の子どもの学力は本当に落ちてしまったのか、
 落ちたとしてその原因は教員の指導力低下のせいなのか、
 教員の指導力が落ちたとしても、ここ10年余りの凄まじい教員採用試験をかいくぐってきた、教員としてはトップエリートというべき人が、教員の指導力を高められなかったのはなぜか。
 指導力不足の教員の半数は新規採用者残りの半分は40代以上のベテランが中心だという。新規採用者の指導力が不足するのは分かるにしても、40代のベテランが急速に指導力を低下させているとしたら、そこに何があるのか。
 そうしたことをきちんと調査し、そこから対策を考えていかなければならない。私はそう思っていた。

 しかし皆が教育を心配し始めた時点で、
 日本の子どもの学力低下は100%確実で、
 その原因は教員の指導力低下とゆとり教育にあり、
 そこを是正すれば確実に元に戻る
 ・・・とみんなが信じ込まされてきた。
 
 それでいいのだろうか?
 
 私は日本人の学力は長期低落傾向にあり、
 それは日本という文明社会がどんどん依存的になり、学力や学歴といった自前の武器で戦わなくてよくなったこと、
 少なくとも「(学力という)武器がないから政府が何とかしろ」と平気に言える時代になったことによると考えている。

 ここ数年の学力向上は結局平成不況のおかげで、学力がなければ生涯フリーターだという恐怖が、日本の子どもを多少支えていたに過ぎないと思っている。その証拠に全国の高校・中学から学校を破壊するような激しい校内暴力はなくなり、高校中退率だって下がってきた。総じて中学生も高校生も一昔前に比べるとずっと真面目になってきたのだ。

しかし、そうした私の予想だって、証明されているわけではない。

 
 本来、教育改革は現場の力をいかに発揮させるかにあるはずだ。猫の目のごとく拙速な方針転換などは考えずに、もっと慎重な議論を重ねてほしい。せっかく芽生えた「学力向上傾向」に水を差してはならない。【高山純二】

 こうした真っ当な意見、3年前に大キャンペーンでもやってくれれば良かったものを、そのころのマスコミは学力低下を批判し、拙速な方針変換を迫るに忙しく、だれもこんなことを書きはしなかったのだ。





 

 

2007.04.24

<高校生意欲調査>
「出世意欲」、日本は断トツ最下位


毎日新聞 4月24日]


 日本の高校生は米中韓の高校生よりも「出世意欲」が低いことが、財団法人「日本青少年研究所」(千石保理事長)の「高校生の意欲に関する調査―日米中韓の比較」で分かった。「将来就きたい職業」では、公務員を選んだ高校生が日本では99年調査より約22ポイントも減少するなど、米中韓に比べ、明確な目標を持てない日本の高校生の実情が浮かんだ。
 調査は06年10月〜12月、日米中韓の高校生計5676人を対象に実施。進路や人生目標、職業意識などを聞いた。所属する高校を通じて実施したため、回収率は100%になるという。
 「偉くなりたいか」という問いに、「強くそう思う」と答えた高校生は中国34.4%▽韓国22.9%▽米国22.3%に対して、日本はわずか8.0%。卒業後の進路への考えを一つ選ぶ質問では、「国内の一流大学に進学したい」を選択した生徒は、他の3国が37.8〜24.7%だったのに対し、日本は20.4%にとどまった。
 また、将来就きたい職業(複数回答)では、日本は99年調査よりも弁護士や裁判官、大学教授、研究者の割合が低下。特に、公務員は前回の31・7%から大幅減となる9.2%だった。逆に「分からない」を選んだ生徒が6.2ポイント増の9.9%になった。
 千石理事長は「食べることに困らなくなり、今の高校生は『偉くなりたい』という意欲がなくなってきている。また、(従来『出世』と考えられてきた)職業に魅力や権威がなくなっている」と分析している。【高山純二】



これだけ公務員が叩かれ、公務員であることのウマミがなくなってくれば公務員志望は減ってくるのは当たり前だ。
加えて好景気。
外資系の企業など、30歳前後で教員歴30年といった人たちと給料が並んでしまう。
務員は前回の31・7%から大幅減となる9.2%
来年はどうなっているのだろう?

政府の人々は公務員の質は下がり切っていると信じているから、これ以上下がる心配はしていないみたいだが、私などのように30倍近い競争率があれば優秀な人材が集まってくると信じている人間には、恐怖だ。20年もたてば警察官はみんな元チンピラ、学校の教師は落ちこぼれという時代が来るに違いない。

それも国家の選択であれば仕方ないのかもしれないが・・・・。






 

 

2007.04.25

全国学力テスト:
失敗繰り返さず、有効に活用できるか


毎日新聞 4月24日]


 小学6年生と中学3年生の全児童・生徒を対象とする全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)は24日、約77億円をかけ、国公私立の全小中学校の98.95%に当たる約3万2700校で行われた。学力低下への懸念を背景に子どもたちの課題を見つけ、改善につなげていく目的の学力テスト。約40年前に行われていたテストは、学校・自治体間の「学力コンテスト」と言われる競争激化を理由に廃止された。同じ失敗を繰り返さず、有効に活用できるのか。【佐藤敬一、高山純二】
 ◇学校、事前対策も?
 「(全国学力テストの)調査結果を気にするあまり、事前対策を求められている学校もあるとの情報が寄せられている」。今月上旬、秋田県教職員組合は、市町村教育委員会と学校長あてに、事前対策に注意を促す要望書を出した。組合の高橋範幸副委員長は「(対策の一環として)子どもにこれまでの勉強の復習をさせるよう学校から言われたという教諭もいる」と明かす。
 学力テストの狙いを文部科学省は「現状を把握すること」(初等中等教育局)としており、事前の説明会などで「直前の練習」などをしないよう求めてきた。しかし、教育の現場では、成績を気にして、事前対策を講じる学校の存在が噂される。
 その実態を裏付けるような2冊の本がある。小中学校の算数・数学の「学力調査テスト予想問題集」。表紙には「模擬テストで学力アップ」とうたっている。大阪市の出版社が2月に出版し、増刷分を含め2冊で計8000冊出した。出版当初には学校などから1日に十数件の問い合わせがあったという。編集部は「予想より売れた。在庫もあとわずか」と手応えを感じている。
 学力テストがある限り、同種の参考書、対策書の出版が続くことも予想される。文科省の担当者は「普段の授業を大切にするのが基本で、参考書などによって特別な練習をしてテストに臨むものではない」と困惑している。
 ◇「コンテスト化」の懸念
 1950〜60年代に実施されていた全国学力テストは、徐々に学校や自治体間で順位を競い合うようになった。テスト前に予行演習をし、成績の悪い子どもをテスト当日に欠席させ、カンニングを認める教諭まで現れた。こうした状況から「学力コンテスト」と批判され、66年度を最後に抽出によるものも廃止された。
 今回も、現場の教員や関係者の「序列化や競争激化につながる」との懸念は消えない。文科省はテストの結果公表は都道府県単位にとどめるとしているが、学校や市町村が自らの判断で結果を保護者に説明することはできる。それらを独自に集計するなどして順位をつけることは可能だ。
 昨年度、独自の学力テストを実施したのは39都道府県。東京都足立区などは、その結果を学校別に順位を付けてホームページなどで公表してきた。今回の学力テストも、こうした自治体では同様に公表する可能性もある。
 東京都内の中学校校長は「学力の定着度を知ることはとても大事なこと。結果をどう扱うかが問題で、テスト自体に問題があるわけではない」とテストの意義を強調する。しかし、現場からは「数字が独り歩きし、テストで点数を取る力が『学力』と単純化される危険性がある」(宮城県の小学校教諭)▽「保護者がインターネットを使って学校の点数を比較したりするのでは」(千葉県の元小学校校長)と不安の声も漏れる。
 また、テスト結果という個人情報の扱いについての問題を指摘する声もある。採点や集計は小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータに委託。大量の個人データを民間企業が扱うことになる。文科省は、小6に限っては本来は氏名を記入する方針だったが、個人情報保護に配慮して番号を記入する方式を認め、大阪府などが番号方式とした。
 ◇読解・思考力が必要
 今回のテストは、基礎的な「知識」(A)と、応用となる「活用」(B)に分けて実施された。Aでは基礎的な漢字の読み書きや計算問題を問い、Bでは文章やグラフ、図の読み取り能力や自分の考えを書くことを求めた。「日常生活などで考えること」に注目した問題が多数取り込まれた。また、記述式の回答を多く取り入れたのも特徴だ。
 61年度に行われた中3の数学では、計40問すべてが選択式だった。各学校による採点だったため教員の負担を軽減することや、テストの客観性・公平性を担保する狙いもあった。61年度の中3国語も33問すべてが選択式で、長文読解では「文章を読んで書いた感想として適切なもの」を選ぶ問題もあった。
 今回のテストの選択式は、中3の数学ではAB合わせて計53問のうち21問、国語では計47問のうち25問。問題を作成した国立教育政策研究所教育課程研究センターの惣脇(そうわき)宏センター長は「児童・生徒にどういう力を身に着けてもらいたいかを具体的に問題の形で示した。記述式はある程度の問題数を入れるよう努めた」と説明する。
 大手予備校「河合塾」教育研究開発本部・松井悦夫本部長は「Bはレベルが高いというよりも読む量や書く量が多い。教育大学の付属小中学校クラスならBに対応できる授業をしているが、地方の公立では厳しいのではないか。学力格差や二極化が顕著に出てくる可能性がある」と分析する。




全国統一学力テストは学校を根本的に変える。

文科省はテストの結果公表は都道府県単位にとどめるとしているが、学校や市町村が自らの判断で結果を保護者に説明することはできる。それらを独自に集計するなどして順位をつけることは可能だ。

市町村教委は議会の追及に対して成績を隠し続けることができるだろうか?説明責任の理念から言えば、納税者の意思を無視して教育成果を秘匿することはできない。
もともとが競争を発生させようとして行っているテストである。
 今回も、現場の教員や関係者の「序列化や競争激化につながる」との懸念は消えない。
は、本末転倒であって、序列化や競争激化は当然行わればなければならない。

しかしそれにしても今回のテスト、ひとことで言って、本当に難しかった。
ある先生に言わせれば、「これまでやらせてきたテストの最終問題のような難問が最初から出ていた」ということになる。
とにかく圧倒的な読解力と受験テクニックがなければ満足な点数を取ることはできないはずだ。

これは平易な指導要領を示して難問をぶつけるという意味で、文部科学省の詐欺である。その詐欺にあって何人かの子どもが泣いているのだ(実際、国語Bの時間に問題ができないと泣き出した子がいた)。

他校は知らない。しかし
少なくとも私の学校は教育課程を編成しなおし、来年のテストに備えるだろう。あんなテストに子どもがボロボロにされるのを座視するわけには行かないのだ。

 全国統一学力テストは完全に日本の学校教育を変えるだろう。あのテストをぶつ変えられたら、ゆとり教育は是か非かといった議論はまったく無意味になる。






 

 

2007.04.26

日本の高校生「偉くならず、のんびりと」 日米中韓調査


朝日新聞 4月26日]


 「偉くなりたい」と思っている割合は他国の3分の1程度の8%。むしろ「のんびりと暮らしていきたい」と考えている子が多い――。日本の高校生は米中韓国に比べそんな傾向があることが、財団法人「日本青少年研究所」などの調査でわかった。「偉くなること」に負のイメージが強く、責任の重い仕事を避ける傾向も目立った。
  
 調査は昨年10〜12月、日米中韓の千数百人ずつを対象に行われ、日本では10都道県の12校1461人に聞いた。
 日本の高校生の特徴がもっとも表れたのが、「偉くなること」についての質問。他国では「能力を発揮できる」「尊敬される」といった肯定的なイメージを持つ生徒が多いのに対し、日本では「責任が重くなる」が79%と2位以下を大きく引き離した。「自分の時間がなくなる」「偉くなるためには人に頭を下げねばならない」も他国より多い。
 このため「偉くなりたいと強く思う」は8%。他国では22〜34%だ。日本の高校生は、他国よりも安定志向が強い。「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたいと、とても思う」は43%と、14〜22%の他国より抜きんでる。
 将来の展望も控えめ。「大きな組織の中で自分の力を発揮したい」や「自分の会社や店を作りたい」が他国より少ないのに対し、「多少退屈でも平穏な生涯を送りたい」の多さが目立った。




韓国のことはよく知らないので恐縮だが、少なくともアメリカと中国については、「偉くなる」のとそうでないのとでは生活のレベルがまったく異なることは周知である。

たとえばアメリカでは時給数十万円という仕事で日夜働き、30代後半で早くも引退生活へ入り込もうともくろむ人がいくらでもいる。その一方で、死ぬまでわずかな収入で働き続けなければならない人もいるのだ。

一方、日本はどうだ? たとえば小泉前総理。
われわれの収入よりはいいだろうが、小泉純一郎が毎年数百億円の収入を上げて、豪勢な生活を送っていると思う人は誰もいないだろう。元総理大臣にしてこうだ。偉くなったところでタカが知れている。

そもそもプールつき使用人つきで生活している金持ちが何人いるのか? 少なくとも目に見えてうらやましく思える人はどれくらいいるのか?
「偉く」なったって大したことないのである。

「偉くなりたい」と思う高校生を増やす方法は簡単である。もっともっと格差を広げ、
「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたいと、とても思う」
などといった暢気なことを言っていると暮らしていけない国家にすればいいだけ
のことである。


安部総理も格差是正などというわけの分からないことを言わないことだ。






 

 

2007.04.26

県教委:「学校楽しくない」中学生、小学生の2倍
小4〜中2対象に意識調査 /静岡


毎日新聞 4月26日]


 県教委は、県内公立小中学校の児童・生徒を対象に実施した学校や家庭生活に関する意識調査の結果を発表した。「学校が楽しくない」と感じている中学生は、小学生の2倍に上ることがわかった。
 調査は今年1〜2月、県内全公立小中学校の小4〜中2の各1学級を抽出して約6万人を対象に行った。「1日の勉強時間」「好きな教科」など12項目を聞いた。今年で4年目。
 「学校が楽しいか」の問いに、「楽しい」と答えたのは、小学生で93%、中学生は86%だった。逆に「楽しくない」は小学生が約7%に対し中学は約14%と小学生の2倍だった。楽しくない理由として小学生は「友達」を挙げた。中学生は「授業やテスト」が最も多く、「自分の成績」など勉強面の理由が上位を占めた。
 県義務教育課は「中学では教科数が増え高校受験も控え、学校生活で勉強が多くを占めるようになるからでは」と分析。「よりきめ細かな学習指導が必要」と指摘した。
 その他、「何でも話せる友達がいる」の問いに「よく当てはまる」と答えたのは小4(53%)、中2(37%)と学年が上がるにつれ減少する傾向にあった。
 同課は結果を各校や市町教育委員会に郵送し、今後の学校運営に活用してもらう予定。【賀川智子】




テレビゲームなんてさっぱり面白くないという子だっているし、テレビなんかほとんど見ないという子だっている。映画を見ると頭が痛くなるから嫌だって子もいるし、もしかしたらディズニー・ランドですら怖いから嫌だという子だっているかも知れない。
「学校が楽しいか」の問いに、「楽しい」と答えたのは、小学生で93%、中学生は86%だった
新聞はこのことのすばらしさをなぜ書いてくれないのだろう?

世間の大人たちは「学校はイジメなどがあって恐ろしく怖いところ」と思っているが、子どもたちは結構学校が好きなのだ。
あの、なんだかさっぱり面白くなさそうな中学生ですら、86%もが学校が好きだといっている。
これで満足しなければ罰が当たるというものだ。

「よりきめ細かな学習指導が必要」と指摘した
そんなことして、学校嫌いが増えたらどうするのだ?

ついでに、
「何でも話せる友達がいる」の問いに「よく当てはまる」と答えたのは小4(53%)、中2(37%)と学年が上がるにつれ減少する傾向にあった。

普通、思いやりがあれば友だちに何でも話したりしない。

静岡県教委は、とんでもなく恐ろしい大人の成長を期待しているのかもしれない。