キース・アウト
(キースの逸脱)

2008年1月

by   キース・T・沢木

サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。
政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。
落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。

ニュースは商品である。
どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。
ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。

かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。
甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの本物そっくりのまがい物のダイヤ
人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄
そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。
















 



2008.01.01

高校教諭に「マイスター」 授業力向上へ創設検討(山梨)


読売新聞 1月1日]


 県教委は、高校教諭の授業力の向上を図るため、高い専門性や優れた指導力を備えている教諭を「授業マイスター」として認定し、公開授業を行うなどの新研修制度を創設する方向で検討に入った。現在、現場の高校と意見交換を重ねており、2009年度中にマイスターを認定、実施したい考え。教諭のレベルアップのほか、教諭同士の交流の活発化なども期待できるといい、各校が進める「魅力ある学校作り」にもつながりそうだ。
 県教委などによると、マイスターの授業を公開するほか、要請のあった学校に派遣したり、助言を行ったりするなどの構想が上がっている。マイスターの選定方法としては、各校の推薦を経て県教委が設けた委員会で専門性や指導力などを基に選ぶ――などの案がある。
 県教委は07年10月から高校の校長会などで制度の目的を説明するなどしており、2月には高校長の代表などと検討会を設け、本格的に話し合う方針という。
 同様の制度は、全国でも広がりを見せている。文部科学省によると、07年4月現在、岩手、埼玉、京都市など11府県3市が導入している。秋田県教委は06年度までに公立小中高校などで「教育専門官」の名称で導入した。今年度までに17人の教育専門官が誕生し、06年度は公開授業や指導要請など計177回の依頼があったといい、同県教委担当者は「参加した教諭からは『ためになった』など評価の声が多い」と話す。
 一方、「教諭に負担がかかるのではないか」(山梨県立高校長)など、不安の声も上がっている。県教委は「学校現場と緊密に連絡を取り合い、協働して高校全体のレベルアップにつながるような理想的な制度として実現させたい」としている。





 すべての学問は基本的に科学と芸術に分かれる。
 
科学の本質は「誰がやっても、結果は皆同じ」であり、芸術の真髄は「誰にもまねができない」
である。困ったことに、
教育はその双方に足を踏み入れている。

 例えばTOSSの人々はかつて「法則化の人々」と呼ばれ、誰がやっても一定レベル以上の成果を獲得できる授業を目指した。しかしその結果、しばしば類型的、表現の貧困として非難された。

 他方、芸術的に優れた教師は魔法のような授業で人々を驚かせたが、彼らはその技を伝えられない。
 しばしばきちんとした指導案も書けないし、指導案を書く必要も感じていない。そんなものがなくても、最高の授業を提供できるのだ。
 別な言い方をすれば、その授業を見ても感動するだけで、なぜそれほどうまくいくのか分からない。どう分析しても理解できない。

 ピカソの描き方を真似ても、ブーニンのピアノタッチを模しても、誰も心動かされないのと同じである。


 さて、
授業マイスターだ。
 参加した教諭からは『ためになった』など評価の声が多い
 それはもちろんである。世の中にこんなすごい授業者がいると知るだけでも、やるほうがやらないよりはいい。
 しかしそれで日本の教育レベルが上がるわけではないだろう。

 一般的にマイスターの技術は、弟子にならなければ身につかない。べったりついて5年10年と修行を積みながら盗み、修養していくしかない。それが職人の世界の鉄則である。
 1回や2回の見学で技が身につくようなら、大工も蕎麦打ちも職業として成立しないだろう。

 必要なのは一人の天才職人ではない。
 少なくとも日本中が芸術的教師で満ちるのを待っている余裕はない。とりあえず数で圧倒し、その余裕の中で、やりたければ医師の臨床研修のような制度でもつくって、多くの芸術家を生み出していくしかないだろう。

 数で解決できることは山ほどある。






 



2008.01.04

小学校長を守秘義務違反で処分へ
児童虐待の親に情報漏らす


産経新聞 1月4日]


 兵庫県三木市内の市立小学校で昨年7月、父親に虐待された女子児童が児童相談所に保護されたことをめぐり、父親から相談を受けた市議に対して校長が「養護教諭が立ち合った」と保護にかかわった当事者の職名を漏らしていたことが4日、分かった。父親は養護教諭に面会を求め続け、養護教諭はストレスで休職を余儀なくされた。市教委は校長の行為が地方公務員法の守秘義務違反に当たるとして、同日付で県教委に報告。県教委は近く処分を決める。
 市教委によると、昨年7月10日、女児が児童相談所に一時保護されたことについて、父親が「子供に会えなくなった」と市議に相談。2日後に市議が校長に電話した際、校長は養護教諭がカウンセリングに立ち合ったことを伝えた。
 これを受けて父親は同日午後、養護教諭との面会を求め「校門の前で待っている」などと同校に電話。その後も数回電話したほか、少なくとも3回来校したという。
 養護教諭は父親と直接応対していないが、精神的ストレスなどが原因の自律神経失調症と診断され、11月以降は療養休暇を取って休職している。
 児童虐待の発見者や通告者などに関する情報が加害者に伝わると、逆恨みの対象になる恐れもある。市教委は「現在の児童虐待マニュアルは職員の心のケアなどを含め事後対応の部分が十分でない。今月中に改訂し、再発防止に努めたい」としている。




 これは勉強になる事例である。

 女子児童を虐待したのは父親である。
 養護教諭にストーカーまがいの行動をし、ストレスをかけたのもその「父親」である。
 
 
養護教諭がカウンセリングに立ち合ったという事実を引き出したのは、「父親」から相談を受けた市議会議員である。
 そして「事実」を「父親」に伝えたのもその「市議会議員」である。

 当該の小学校が市立である以上、学校長は市民の代表者たる市議会議員に対して説明責任を負っている。
 しかしそれと同時に、学校長には地方公務員法に定められた守秘義務がある。
 市教委は校長の行為が地方公務員法の守秘義務違反に当たるとして、同日付で県教委に報告。県教委は近く処分を決める。

 養護教諭は職務にしたがってカウンセリングに立ち合った
 その結果父親は養護教諭に面会を求め続け、ということになり、結局、養護教諭はストレスで休職を余儀なくされた
 

 
養護教諭は療休に追い込まれ、校長は処分される。

 
さて、くだんの「父親」はどうなったのだろう?

「市議」はどうなったのか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 もう一つ勉強になるのは、教員というものは、たとえ相手が誰であろうと、児童・生徒の秘密を死守しなければならないということである。
 少なくとも命令系統の直上にいるもの以外にはしゃべらなくていいということだ。
 これは覚えておかねばならない。











 



2008.01.05

小学生の人間関係:親にキレる、日本の児童
「注意されると」56%−−国際調査結果


毎日新聞 1月5日]


 ◇9カ国・地域で調査

 日本の子どもは親にキレやすく、反抗的−−。小学生の人間関係を調査している創価大(東京都八王子市)の研究チームが、世界9カ国・地域で行った国際調査で、こんな結果が浮かんだ。「親に注意されると、カッとなる」や、「親に乱暴な言葉遣いをする」との質問に、肯定する子の回答が最多となった。

 調査は06年3月から昨年9月、日本、韓国、台湾、英国、スペインなどアジア、ヨーロッパ、アフリカの9カ国・地域の小学5、6年生計8712人を対象に実施。日本では東京都内の公立小17校の2039人に聞いた。

 「親に注意されるとカッとなるか」との質問に対し、日本は「大変あてはまる」(19%)と「まああてはまる」(37%)の計56%が肯定した。続いて、南アフリカの計52%、スペイン計40%だった。

 「親に乱暴な言葉遣いをするか」では、日本は「大変」(6%)と「まあ」(21%)で計27%が肯定した。台湾計18%、南アフリカ計14%が続き、韓国(7%)や、英国(11%)に比べて、高い数値だった。

 研究チーム代表の鈎治雄(まがりはるお)教授(教育心理学)は「日本の子どもは家庭や学校で人間関係を維持する力が劣っているのではないか。学校教育の中で子ども同士がふれ合う集団行動を重視する必要がある」と指摘している。【木村健二】



 学校教育の中で子ども同士がふれ合う集団行動を重視する必要がある
 国家の最高機関である内閣、その総理大臣の諮問機関「教育再生会議」によって
「公教育の機能不全」(第一次答申)と断じられた学校教育に、何をいまさら期待するのか?

 毎日新聞も
「学校は死んだ」合唱隊の重要なメンバーである以上、このような「学校に期待するコメント」はもう控えたらどうか?


 さて、子ども同士がふれ合う集団行動だが、
 実際、
これまでは公教育の重要なテーマだった。

 知育・徳育・体育のうちの徳育ははまさに人間関係の教育であって、児童会・生徒会、学級内係活動、各種学校行事・学年行事はすべてこの集団行動=「人間関係の学習」のためにあった。
 しかし現在「人間関係の学習」は極端に縮小されようとしている。


 ひとつは
「全国学力学習状況調査」のためである。
 昨年秋の成績発表以来、各市町村・学校は平成20年4月22日火曜日に向けて一斉スタートを切った。
 勝った学校は勝利を不動のものとし、負けた学校は雪辱を期して全エネルギーをこの日に注ごうとしている。

 
以前なら、学校の中核となるべき小学5年生や中学2年生が、児童生徒総会や卒業式、最上級生になってからは入学式だの新入生を迎える会だの通して大いに集団性を高めるこの時期に、今はテスト勉強をしなくてはならないのだ。

 ふたつ目は、児童生徒の側に、以前のような集団活動ができない事情が出てきた。

 不登校に造詣の深い教育評論家の富田冨士也は
「不登校児童生徒にとって学校が苦痛なのは、そこが集団活動を強制するからだ」と言うが、まさにその通りで子ども同士がふれ合う集団行動を重視すればするほど不登校は増える。

 あるいは、集団活動はすればするほど軋轢や摩擦が増加するが、嫌味を言ったり皮肉を言われたり、からかったり無視されたりという、かつてそれ自体が「学び」だった軋轢や摩擦は、今ではすべて「いじめ」なのである。
 ベスト・セラー「教室の悪魔」では
我が子がいじめにあっているかもしれない、と感じた時、最初にやるべきことは、学校を休ませることであるとまで言い切っていいる。
 学校が子ども同士がふれ合う集団行動を重視すればするほど、イジメの訴えも増え、子どもは学校からいなくなる。

 基本的に、子どもの苦しむような活動は一切させないといった方向へ進んでいる日本の学校では、真っ先にやめるべきなのが
集団活動なのかもしれない。

 学校もそれと明言しているわけではないが、「行事の精選」といった言い方でジリジリとこの領域から後退している。

 機能不全と言われるような現状でもあるし、子どもに苦痛を与えるなという意味でも
学校教育の中で子ども同士がふれ合う集団行動を重視する必要があるなどと期待されても困る。家庭でやっていただきたい。






 



2008.01.06

学校にソーシャルワーカー
家庭問題抱える子に対応


産経新聞 1月6日]


 虐待や育児放棄、経済的な困窮など深刻な問題を抱える家庭の保護者や子供に対し、専門的な見地で対応をするため、文部科学省は6日までに、平成20年度から公立小中学校で活動する「スクールソーシャルワーカー」を、全都道府県計141地域に配置することを決めた。
 不登校やいじめ、暴力行為など子供の問題行動には家庭環境が影響しているケースも多く、教員だけでは十分対応できない状況も増えている。恒常的に専門家の協力を得られる仕組みを整えることで、家庭状況に合った対応を可能にすると同時に、教員の負担を軽減する狙いもある。
 スクールソーシャルワーカーの主な役割は学校と関係機関との仲介。深刻な問題を抱えた保護者や子供の実態を把握した上で、個々の状況に応じ福祉施設や警察、ボランティア団体などに協力を要請する。生活保護や就学援助の申請手続きを助言することなども想定している。
 配置するのは原則として各都道府県に3地域ずつだが、現段階では未定で今後、選定作業を進める。活動の範囲については、市町村単位、学校区単位などを各自治体が決める。人材は社会福祉士や臨床心理士など専門的な知識を持つ人のほか、行政制度に詳しい人や保護者や子供の相談活動を経験した人たちからも求める考えだ。
 こうした制度を先行導入している自治体もある。大阪府教育委員会は17年度から7人が週3日、府内7市の小学校で活動している。児童生徒支援課の中野澄指導主事(46)は「学校や地域とつながりを持とうとしない保護者も、専門家が間に入ることで問題をどう解決していくか話し合うことができるようになる」と効果を語る。
 20年度の予算折衝過程で財務省から提案があり、約15億円を計上するという異例の経緯で実現した。文科省の幹部は「子供たちのために学校を支えようという気持ちを持ってくれる人が1人でも多く出てきてほしい」としている。




 新聞を広げたら
「学校にソーシャルワーカー」とあったので、政府も思い切ったことをしたものだと微笑んだが内容を読んでがっかりした。

 配置されるのは「学校に」ではなく
「都道府県に(3人)」だった。

 大阪府や香川県のような小さな府県ならまだしも、北海道や岩手県に3人といわれてもピンと来ないだろう。東京都など小中高等学校あわせて2200もあるから、一人のワーカーの受け持ちはおよそ700校、これでどうやって
家庭状況に合った対応を可能にすると同時に、教員の負担を軽減することになるのか。

うっかりすると年1〜2回学校訪問をし、現状を聞いてアドバイスをする程度のことになってしまう。その訪問のためにいちいち資料を作成するとなると(それはよくあることだが)、担任の負担はむしろ増える。15億円でできるのはせいぜいがその程度のことだ。
全国学力・学習状況調査に使ってしまった77億円がつくづく怨めしい。

20年度の予算折衝過程で財務省から提案があり、約15億円を計上するという異例の経緯で実現した。

文科省の要求した予算をことごとく蹴った財務省が、ポンと差し出した15億円。
アメ1個やるから、ホラ、これで我慢しな
そんな馬鹿にした声が聞こえてきそうである。






 



2008.01.11

義務教員の採用試験合格率が10%台に
信大教育学部


信濃毎日新聞 1月11日]


 昨年夏に県教委が行った公立義務教育教員(小中、特別支援学校)の2008年度教員採用試験で、信大教育学部・大学院教育学研究科(長野市)の学生、大学院生の合格率が19・9%だったことが10日、同学部のまとめで分かった。前年度より約10ポイント低くなり、20%を初めて割り込んだという。同学部は危機感を強め、今年から志願者全員を対象に模擬筆記試験を始める。

 少子化による採用数の抑制や、講師経験者らの社会人枠設定などで「現役合格」の門が狭まったことを反映している。

 小中学校と特別支援学校の採用試験を受けた学部生・院生計151人中、最終の2次選考に30人が合格。170人が受験した前年の合格者は29・4%の50人だった。

 1980年代は、90%以上が現役で採用され、ほとんどが県内の学校に就職していたという信大教育学部。文部科学省によると、昨年春に同学部の教員養成課程の卒業生236人のうち県外も含めて教員に採用されたのは、30・5%の72人。産休の代替などの臨時分を含めると、64・8%の153人で、全国の大学教員養成課程のうち7位だった。

 同学部学生就職委員会は09年度試験に向けて、従来の面接練習に加えて、過去の試験問題を使った独自の模擬試験を行う予定。岩永恭雄学部長は「今後も厳しい状況が続けば、新しい特色を打ち出さなければいけない」としている。




 現役で採用率20%未満となると、何のための教員養成学部かということになる。
 4年間ただ飯を食わせた上に、学費まで払った親もかなわないだろう。
 地方の教員採用は現在も超氷河期なのだ。

 少子化による採用数の抑制や、講師経験者らの社会人枠設定などで「現役合格」の門が狭まったことを反映している。

 ここでいう
講師経験者らの社会人枠は、以前の採用試験で受からなかった人たちだ。学校現場で日々の激務に追われながら必死に勉強している人たち。この人たちに特別枠が置かれるのは必要なことと思う。学生・院生と同じステージで戦うなら、学校の仕事をおざなりにしなければならない。それは困る。
 いずれにしろかなり以前から教員を目指してがんばってきた人たち、学生も院生も講師の先生たも、今後も引き続きがんばり続けて欲しいものである。

 さて、
 昨年末、教育再生会議は第三次答申で特別免許(教員免許を持たない人に特別に与える免許)枠として20%以上を確保するように求めた。
 上の記事に合わせれば、50人中さらに10人がはじかれることになる。

 現在の教員養成学部の教育課程は途方もなく充実していて、休日の研修もひっきりなしに行われている。そうした最高に近い教育を受けてきた人々が通過できない狭き門に、通用口を割り込ませて民間人を通させようというのだ。

 それで優秀な人材が集まるならいい。しかし給与や待遇面から見て、教職はそんなに魅力ある職業だろうか? 別の仕事で生き生きと働いているような人材が、次々と仕事を捨てて移ってくるほどすばらしい状況だろうか? 結局、社会で務まらなかった人たちが大量にこの門を目指すかもしれない。

 しかも、
4年間の教育学の勉強どころか、特別免許は大学を出てなくてももらえるというすごいの免許なのである。

 
学校教育も大学の教職課程も、そして小さな頃から教員にあこがれてがんばってきた人たちも、あまりにも軽く見られている。

 
結局、その程度の仕事をしていればいい、ということなのかも知れない。






 



2008.01.12

教育管理職:来年度から受験年齢引き下げ 敬遠解消へ見直し
−−都教委方針 /東京


毎日新聞 1月11日]


 都内の公立学校の副校長ら教育管理職が負担の重さから教員に敬遠されるようになってきた状況を受け、都教育委員会は10日、受験年齢の引き下げなど、任用制度を見直す方針を決めた。新制度は来年度から実施し、管理職にふさわしい資質と能力を備えた必要な人材の確保を図る。
 「団塊の世代」の大量退職に伴い、管理職の不足が懸念されるようになり、特に小学校の副校長について、都教委は定年後の再任用をしなければ、来年度から欠員が発生すると推計している。背景には、受験資格のある年齢層の減少に加えて、受験率の低下があり、小学校は00年度の4・5%から今年度は2・6%に低下する危機的な状況だ。
 都教委が主幹教諭と教諭を対象にしたアンケートで、受験しない理由を尋ねたところ、「自らの教育理念や力量が不十分と考えるから」が41%、「精神的なストレスが多いから」も33%に上った。副校長の仕事については、「雑務が多く、教育そのものにかかわる仕事が少ない」が72%に達していた。
 新しい任用制度は、中堅の教諭を登用する教育管理職選考(B選考)について、受験年齢を現行の44歳以上から39歳以上に引き下げる。副校長の仕事や給与のあり方も見直しを検討する。
 若手の教諭を登用する選考(A選考)についても、受験年齢を現行の33歳以上から32歳以上に引き下げる。現行のA選考合格者は、合格後の管理職候補期間の5年間、各教委の指導主事と学校の主幹を入れ替わりで務める。しかし、期間中の配属先の見通しが立ちにくく、指導主事の能力不足も指摘されてきたことから、期間中は原則、指導主事として継続的に任用する。【木村健二】




 
これが「『終わり』の始まり」でないことを心から願う。
 
 かつて校長職は自分の教育理念を現実化するにもっとも適切な、ほとんど唯一のポストだった。
 一般職でいる間はできなかったことが校長になればできる、思い通りの教育をするには校長になるしかない、そう思わせるものがあった。
 しかし、今はどうだろうか?

 いまや校長は職員とともに泥にまみれる仕事である。校長は校内のありとあらゆることに精通していなければ務まらない。生徒が500人であろうと1000人であろうと、保護者の抗議の電話があったら即座に「ああ、そのことなら報告を受けています」と答えられなければならない。
「聞いていない」などと言ったものなら、それ自体が管理不行き届きで後々まで話のこじれる原因となる。

 朝から次々と訪れる職員の報告と相談に、いちいち正しい判断を下さなければならない。間違った判断をすれば責任は一人で負わなければならない。そんな仕事に何の魅力があるというのか。
 「自らの教育理念や力量が不十分と考えるから」
 は決して謙虚な言葉ではない。傍から見ても恐怖するほど、その職は重いのだ。
 
 校長職に魅力がなければ、そこへの階段である副校長(教頭)もただ苦しいだけの仕事になってしまう。
 
「精神的なストレスが多いから」
 「雑務が多く、教育そのものにかかわる仕事が少ない」

 それは今に始まったことではないが、校長職に魅力があったからこそセブン・イレブン(午前7時から午後11時までの就労)という過酷にも耐えられたのだ。「激務の果てにあの校長職か」と思えば、最初からならない方がいい。
 
小学校は00年度の4・5%から今年度は2・6%に低下する危機的な状況だ。
 たしかに危機的な状況である。
 
 しかし、これほどがんばっても「公教育の機能不全」(教育再生会議)と言われるようでは、もうこの仕事は「やってられない」のである。ましてや副校長なんて!
 







 



2008.01.17

【解答乱麻】教育評論家・石井昌浩
学力世界一の背景


産経新聞 1月16日]


 OECDの国際学力調査(PISA)でフィンランドは3回連続世界一である。一方、日本の成績は振るわず、長期低落傾向がハッキリしてきた。学力世界一の理由を「競争やめたら世界一」などと、フィンランドの教育の一部だけを勝手に切り取って平等を誇張し、競争をことさらに敵視する論調が日本では目立つが、情報操作の意図を感じる。日本に問われているのは、フィンランドから何を学ぶかである。
 フィンランドの学力は一朝一夕に築かれたものではない。歴史と文化がその背景にある。強大な隣国に挟まれ、民族存亡の危機を幾たびもくぐり抜けてきた国である。1155年からスウェーデンの統治下に650年、1809年からロシア帝国の統治下に約100年、長く続く苦難の末に1917年初めて独立を達成した。第二次大戦中は祖国の自由と独立を守るため、強国・ソ連と2度にわたり戦い、辛くも国土を守り抜いた。戦後にはソ連から巨額の賠償金を求められたが、のしかかる賠償金の重圧が国民の結束を固めたといわれている。
 フィンランドでは無償の教育を受ける権利がすべての国民に等しく保障されている。
 9年制の義務教育学校は給食費も無料だ。3年制の高校・職業学校、大学、大学院についても入学金・授業料は無料であり、返済不要の各種奨学金制度もある。無償の教育をまかなうための財政負担は膨大な額となり、国家予算の約18%が教育費である。そのために国民は22%の消費税をはじめ、高い税金を負担しているが「教育は未来への投資」という考えが定着しているためか、不満の声はあまり聞かれないという。
 フィンランドの学力世界一の理由として、(1)教師の指導力が高く、教師が国民に尊敬されている。教員免許の基礎資格が修士号に格上げされて30年になる(2)勉強が遅れ気味の子供への教育が手厚く、放課後の補習授業が広く実施されている(3)教育が家族のきずなに支えられていて、アニメ「ムーミン」でなじみの風景、親による本の読み聞かせが家庭の伝統となっている−などが挙げられる。
 「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドは、520万人と北海道より人口が少ない。国土の4分の1が北極圏にあり、そこでは夏に太陽の沈まない白夜が2カ月以上も続き、冬には太陽の昇らない日が2カ月近くも続く。このような過酷な自然環境にもかかわらず、今や名実ともに教育大国である。教育だけではない。世界経済フォーラムの経済競争力ランクでも、アメリカを抜いて3年連続世界一になっている。その秘密はどこにあるのだろうか。
 本当は人間は平等ではないこと、自立しなければ世の中で生きては行けない現実、そのためには自ら進んで勉強しなければならないことを、フィンランドの子供たちは自然環境と祖国の運命の厳しさから学んできた。これこそが日本人が見失った志である。学力世界一の秘密は、フィンランド国民が不撓(ふとう)不屈の自立精神を親から子へと語り継いできたことにある。
                   ◇
【プロフィル】石井昌浩
 いしい・まさひろ 都立教育研究所次長、国立市教育長、拓殖大客員教授を経て東京造形大講師。専攻は戦後教育史。著書に『学校が泣いている』など。日本教育再生機構代表委員。




フィンランドを話題とする我田引水、曲学阿世には私もうんざりしている。

フィンランドの教育の一部だけを勝手に切り取って平等を誇張し、競争をことさらに敵視する論調が日本では目立つが、情報操作の意図を感じる。
はもっともだが、
 
フィンランドの学力世界一の理由として、(1)教師の指導力が高く、教師が国民に尊敬されている。教員免許の基礎資格が修士号に格上げされて30年になる(2)勉強が遅れ気味の子供への教育が手厚く、放課後の補習授業が広く実施されている(3)教育が家族のきずなに支えられていて、アニメ「ムーミン」でなじみの風景、親による本の読み聞かせが家庭の伝統となっている−などが挙げられる。
だって十分な情報操作だ。

私に言わせれば
フィンランドの学力世界一の理由として、
@フィンランドは生徒数50人以下の学校が40%にものぼり、生徒数500人以上の学校はわずか3%

Aその小さな学校に、校長、教員、専門科目教員の他に、看護士、学校心理学士、特殊教員(授業中の生徒を観察し、教員に助言したり、自分が別個に授業についていけない生徒やグループの面倒をみる)、学校アシスタント(生徒数が大きい学級にアシスタントを入れる)など、大量の職員を入れている

Bそのために必要な教育予算は実にGDPの5.7%。日本のそれ(3.5%)の1.6倍です。その差2.2%は日本のGDPで計算すると約11兆円。日本の国家予算およそ80兆円から考えると、どれほど教育に金をかけているか。

Cフィンランドには就学猶予があり、小学校の学習に耐えられない子どもは1年間就学学校に通って、きちんと授業を受けられるようになってから小学校に入学する。またそのことを親も喜んで受け入れている。

D教員を大事にし、尊敬し、大学院を終了してまでもなりたいと思わせるような気風がある

-などが挙げられるが、これだってバイアスのかかった見方なのかもしれない。
 しかしそれでも、私の場合、
それは偏向であっても嘘ではない

 ところが、メディアの担い手たちは「ほんとうのことを言わなかったり」「事実を見せない」というやり方でしばしば嘘をつくのだ。

 たとえば、石井昌浩にしても、 
 
OECDの国際学力調査(PISA)でフィンランドは3回連続世界一である。
 は嘘ではないが、それは科学的リテラシーにおいて3年連続だっただけで、読解力では韓国に抜かれ、数学的リテラシイーでは台湾に負けている

 また、二つの統計でともに3位なのは香港だが、

韓国・台湾・香港というアジアの三強はいずれも受験競争の以上に厳しい国・地域として知られる。だからだれも話題にしたがらない。

 その部分を伏せてフィンランドは3回連続世界一と語るのは、やはり嘘だろう。


 さらにひどいのは、
 
今や名実ともに教育大国である。教育だけではない。世界経済フォーラムの経済競争力ランクでも、アメリカを抜いて3年連続世界一になっている。
 である。

 気になって世界経済フォーラムの経済競争力ランクを調べたが、どう考えても
 
アメリカを抜いて3年連続世界一になっている。
ようには、私には見えない(私の英語力が追いつかないためだろうか? それともフィンランドはユナイテッド・ステーツと名を変えたのだろうか?)。

 天下の産経新聞にしてこうなのだから、他は何をか言わんやである。

 本気でフィンランドから学ぶ気がないのなら、もうフィンランドの話はやめてほしい。






 



2008.01.21

教員定数増
子どもの学力向上につなげたい


読売新聞 1月16日]


 教員が子どもとじっくり向き合い、学力向上などに力を注げるようにするには、やはり増員が必要だ。

 2008年度の政府予算案で教員の定数増が認められた。純増は1000人だが、非常勤講師を7000人採用する。教員OBらが中心で、正規の教員の半分程度の授業を受け持つとみられる。教員の事務負担を軽くするための事務職員の増員は見送られた。

 文部科学省が、小中学校の教員数を増やそうとしているのは、最近、「多忙な先生」が増えているためだ。

 06年度、40年ぶりに実施した勤務実態調査によれば、教員は毎日11時間近く働いている。だが、授業も含め子どもと直接かかわるのは6時間半から7時間。残りは、研修や会議、報告書の作成、保護者への対応などに費やされている。

 中央教育審議会も、先の答申の中で、教職員の定数増に何度も言及した。

 例えば、教員が「一人一人の子どもたちにきめ細かな指導」を行っていくためには、教職員定数の改善が「喫緊の課題」と強調している。

 答申は、「ゆとり教育」から脱却し、小中学校の主要教科の授業時間を1割以上増やすことを掲げた。特に、国際学力調査などで学力低下が浮き彫りになった理数系に力を入れるよう求めている。

 こうした答申を具体化していくためにも、教員の数を増やし、指導体制を整備する必要があるということだろう。

 文科省は、08年度から3年間で教員と事務職員を合わせた約2万1000人の定数増を目指し、今回は、そのうち7000人の増員を要求していた。

 だが、公務員削減などを定めた行政改革推進法では、公立学校の教職員も、児童・生徒の減少を上回る割合で人数を減らすことになっている。「骨太の方針2006」では、5年間で1万人程度の削減を求めている。

 公立小中学校の児童・生徒は、07年度の1034万人から11年度には1010万人に減る見通しだ。09年度以降、簡単に増員が認められる見通しはない。

 子どもの教育を担う教員の定数は、「行革」の観点だけで論じるわけにはいかない。ただ、文科省は、教員の勤務状況などについて十分把握してこなかった。増員を求める以上、より説得力あるデータをそろえなければならない。

 せっかく認められた定数増や非常勤講師の採用である。教員が子どもと接する時間は増えたのか、理数系の応用力向上など学力面でどれだけプラスになったのか。文科省は、こうした事後検証もしっかり進めるべきだ。




 定数増と講師増、合わせて8000人は少ない数ではない。しかしそれで全体の何%増になったかというと、小中高合わせて現在97万人の教員がいるから、
8000人は0・82%増。純増の1000人は0・1%にしかならない。

せっかく認められた定数増や非常勤講師の採用である。

 確かにそのとおりで文句をつけてはいけないが、それで

教員が子どもと接する時間は増えたのか、理数系の応用力向上など学力面でどれだけプラスになったのか。文科省は、こうした事後検証もしっかり進めるべきだ。

 と言っても、これは無理だろう。

答申は、「ゆとり教育」から脱却し、小中学校の主要教科の授業時間を1割以上増やすことを掲げた。
 1割と言えば10%、しかし教員は0・1%しか増えない。これで学校が良くなるわけはない。

 私は最近「現代ことわざ」とも言うべきステキな言葉をひとつ思いついた。
 それは次のようなものである。

 焼け石にスズメの涙







 



2008.01.27

和田中「夜スペ」他教委から評価の声も
… 地方はどうする?


産経新聞 1月26日]


 賛否のなかで26日スタートした進学塾講師による東京都杉並区立和田中学校の「夜スペシャル(夜スペ)」。塾のない地方はどうするのか。教員や教育委員会関係者からは保護者からの要求の多様化や地方と都市部の意識の差を指摘する声もある。
 東京都の公立中学では港区が平成17年度から、大手進学塾に委託する土曜補習を開始、教材費以外は無料で7割が参加する。江東区も昨年度から正規授業に塾講師を招いた。私立校に対抗する狙いもありそうだ。
 対照的に青森県東通村や福島県川内村では「村内に塾がない」という理由で公営塾を開設。農村部の塾は学校の授業の復習といった色合いが強い。大手進学塾がなく、塾と無縁な地域も多い。
 山口県柳井市立大畠中学校の三好祐司教諭は「(公立志望が多いから)親から『学校に塾を導入してくれ』などという要求はでない。特に都会では保護者の要求が多様化、要求レベルは高い。地方との意識の差を感じる。自分の学校で行われたら、塾の先生と対立するのでなく情報交換をしてよりよい指導をしたい」という。また埼玉県教育委員長で明星大教授の高橋史朗氏は「(都教委が指摘した)(1)費用の負担(2)学校主催(3)教員が教材づくりを手伝う−の3点の問題さえなければ、学校の壁を破る新しい試みだ。学校の閉鎖的体質を改めるいい機会で、保護者と連携して子供のために何をすべきかを優先すべきだ」と話す。
 反対もある。東京都品川区教育委員長の細川珠生さんは「学力向上は学校の大きな目的のひとつ。それを放棄するのは学校の権威を下げる。恒常的に塾に頼るのは教員の力を伸ばすことにならない」と指摘する。
 すでに塾講師と連携している東京都江東区の小山正見・八名川小学校校長は「かつては両親が教えたりして予復習の習慣があったが、共働きが増え、家庭での学習習慣が身に付けづらい状況。社会総がかりの教育が大切といわれるなか、外部の民間活力を導入するのは良いことではないか」という。



 例えばこの問題を、沖縄の県民・教育関係者がどう聞いたか、私は興味がある。
 
 今月11日、
 仲村守和県教育長は十一日午前、県庁で開かれた第三回県立学校校長研修会で、全国学力テストで全国最下位だった結果について「全国平均に達するように力をつけてあげなければ子どもたちが将来困る。どうしても全国平均に引き上げなければならない」と述べ、三月にも策定される学校支援プランなどを基に学力向上対策を推進する考えを示した。(「教育長、学力向上へ決意/校長研修会」沖縄タイムス 08.01.11)
 また、
 
 県振興推進委員会(委員長・仲井真弘多知事)が十一日、県庁で開かれ、(中略)教育推進計画では、新たな推進指標に、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率を設定。最終年度の一一年の目標値を小中学生ともに70%とした。(「学テ正答70%11年目標/県委が素案了承」沖縄タイムス 08.01.12)

 このような沖縄県に「夜スペ」のニュースはどのように届いたのだろう、ということである。
 港区が平成17年度から、大手進学塾に委託する土曜補習を開始、
 江東区も昨年度から正規授業に塾講師を招いた
 青森県東通村や福島県川内村では「村内に塾がない」という理由で公営塾を開設。

 こうした記事が並ぶと、沖縄に限らず学力低位都道府県は同様の手を打たなければならなくなる。
 
 その結果、必然的にすべての都道府県が学力競争に巻き込まれていく。教育再生会議が目論んだ通りである。
 

 私は、と言えば、東京都江東区の小山正見・八名川小学校校長のおっしゃる、
 社会総がかりの教育が大切といわれるなか、外部の民間活力を導入するのは良いことではないか
 という考え方に賛成してよいという気持ちもないわけではない。
 
 
ただし和田中学校のように一方に成績優秀者のための民間活力導入があるのなら、他方に成績停滞者のための民間活力導入や特別支援教育対象者のための民間活力導入、生徒指導に関する民間活力導入等がなければならない。
 それは公教育の機会均等の原則から当然のことであり、「社会総がかりの教育」という立場からも当然なことである。

 具体的には、補習塾との連携、専門医・専門カウンセラーの導入、警備会社による登下校のパトロールおよび地域補導、全国学力・学習状況実態調査が行ったような事務処理の外部委託である。
 
 また、高橋史朗明星大学教授の言うような
「(1)費用の負担(2)学校主催(3)教員が教材づくりを手伝う−の3点の問題さえなければ」は無理な話で、現在のように教員がいっぱいいっぱいの状態で(2)学校主催(3)教員が教材づくりを手伝う、などを行えば、その分、対象者以外の児童生徒へのケアは薄くなる。したがって、こうしたコーディネートや支援も外に出さなければならないだろう。

 さて、それができるか、だ。
参考:
成績上位者対象 杉並区立和田中の進学塾連携授業が始まる

[2008.1.26 産経新聞]


 東京都杉並区の区立和田中学校(藤原和博校長)で26日午前、進学塾講師による有料特別授業通称「夜スペシャル」が始まった。2年生の生徒約11人が参加し、2時間強にわたり、塾講師による英語の講義を受ける。
 特別授業は、同校生徒の保護者らのボランティアと進学塾「サピックス」(東京)とが連携。放課後の教室を利用し、塾から派遣された講師が有料授業を行う。平日夜に数学と国語を学ぶ週3日のコースと、これに加えて土曜日午前に英語を学ぶコースがある。
 2年生約130人のうち、主に成績上位の生徒が対象。高校受験に向けて成績アップを目指す。

 入室テストに合格した生徒は1回45分の授業につき500円、月額で1万8000〜2万4000円の授業料を支払う。同塾の通常の受講料の半額程度で学び、家庭の経済状況で費用負担が難しい場合には、軽減措置が講じられる。

 今回の試みは、平成15年に都内の公立中で初の民間企業出身の校長となった藤原校長が「私立中に行かずに済む受験サポートを」と提案。運営は和田中の保護者や地域住民らがつくるボランティア「地域本部」が行う形を取った。
 今月9日に開始する予定だったが、都教育委員会が義務教育の機会均等や公共施設の利用といったことを問題視。杉並区教委に実施の再考を求めるなど論議を呼んだ。
 区教委は23日、特別授業を「学校教育外活動」と位置づけることを決め、都教委も24日に「(特別授業は)学力の向上という公共の利益のためで、不適切なものではない」との見解をまとめ、実施を了承した。

 同中では大学生らが発案する全生徒対象の土曜補習(年5000円)を実施しているが、今回の試みは成績上位者が対象。