計画は冒頭で「子どもの学ぶ意欲や学力・体力の低下」「少子化の進行」などを課題として明示した。10年間で世界トップの学力水準を目指し、教育内容、教育条件の質の向上を図るとした。
また5年間で取り組む施策として▽子どもの体力を85年ごろの水準に回復することを目指す▽各大学で教育内容・方法の改善を進め、厳格な成績評価システムの導入を目指す−−などを挙げた。
文部科学省は当初、「教育予算をGDP(国内総生産)比5%超にする」「教職員定数を約2万5000人増員する」との数値目標記載を目指したが、財務省などの抵抗で実現しなかった。教育予算は「諸外国における状況を参考の一つとしつつ、確保していくことが必要」、教職員数は「定数の在り方などの条件整備について検討する」との表現に後退した。また、「私学助成を充実する」などの記載も目指したが、「私学助成その他の支援を行う」との記載にとどまった。
渡海紀三朗文科相は閣議後の会見で「財政再建という国家的課題の中で長期計画を作るのがいかに難しいか改めて感じた」と語った。【加藤隆寛】
もう笑うしかない。
OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ、北米等の先進国によって、国際経済全般について協議する国際機関。加盟30カ国。別名「先進国クラブ」あるいは「金持ちクラブ」と呼ばれるが、メキシコ、ハンガリーといった「金持ち」と呼ぶには少々考えさせられる国も含む。
その30か国中、GDP(国内総生産)比の教育予算で、日本は第29位、つまり下から2番目なのだ(ちなみにワースト5は、ギリシャ、日本、トルコ、スロバキア、チェコ)。それをOECDの平均並みの5%にしようという計画が軽く蹴られる。
また、「教職員定数を約2万5000人増員する」は率にして2.5%増の目論見だがそれも「定数の在り方などの条件整備について検討する」つまり、増員はしないと軽くいなしてしまう。
その上で、
5年間で「世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成」「いじめ、不登校、自殺などへの対応の推進」
では、金も人も出さずにどうそれを達成するのかというと、
「公教育の質を高め、信頼を確立する」
ことによるというのだ。
今から60年以前にも似たようなことがあった。
金もない資源もないエネルギーもない状態で、日本はGNP12倍のアメリカに戦いを挑んだのだ。
ガダルカナルでも硫黄島でも、同じことが起こった。
「武器も兵員も送れぬ。しかし島を死守せよ!」
ガダルカナルも硫黄島も共に2万人の日本兵が犠牲になったが、教育の戦場でこれから玉砕するのは教師だけではない。
大地は見渡す限り、子どもたちの骨で真っ白になるのだ。
60数年経っても、日本は何も変わっていない。