キース・アウト
(キースの逸脱)

2008年7月

by   キース・T・沢木

サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。
政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。
落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。

ニュースは商品である。
どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。
ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。

かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。
甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの本物そっくりのまがい物のダイヤ
人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄
そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。
















 



2008.07.01

教育振興基本計画:10年で世界最高学力に
いじめ、不登校に対応−−閣議決定


毎日新聞 7月1日]


 政府は1日、改正教育基本法に基づく教育振興基本計画を閣議決定した。教育に関する初の基本計画で、「教育立国」を宣言し、「公教育の質を高め、信頼を確立する」など今後10年を通じて教育が目指すべき姿を提示。5年間で「世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成」「いじめ、不登校、自殺などへの対応の推進」など77の施策に取り組む方針を示した。
 計画は冒頭で「子どもの学ぶ意欲や学力・体力の低下」「少子化の進行」などを課題として明示した。10年間で世界トップの学力水準を目指し、教育内容、教育条件の質の向上を図るとした。
 また5年間で取り組む施策として▽子どもの体力を85年ごろの水準に回復することを目指す▽各大学で教育内容・方法の改善を進め、厳格な成績評価システムの導入を目指す−−などを挙げた。
 文部科学省は当初、「教育予算をGDP(国内総生産)比5%超にする」「教職員定数を約2万5000人増員する」との数値目標記載を目指したが、財務省などの抵抗で実現しなかった。教育予算は「諸外国における状況を参考の一つとしつつ、確保していくことが必要」、教職員数は「定数の在り方などの条件整備について検討する」との表現に後退した。また、「私学助成を充実する」などの記載も目指したが、「私学助成その他の支援を行う」との記載にとどまった。
 渡海紀三朗文科相は閣議後の会見で「財政再建という国家的課題の中で長期計画を作るのがいかに難しいか改めて感じた」と語った。【加藤隆寛】



もう笑うしかない。

OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ、北米等の先進国によって、国際経済全般について協議する国際機関。加盟30カ国。別名「先進国クラブ」あるいは「金持ちクラブ」と呼ばれるが、メキシコ、ハンガリーといった「金持ち」と呼ぶには少々考えさせられる国も含む。

 その30か国中、
GDP(国内総生産)比の教育予算で、日本は第29位、つまり下から2番目なのだ(ちなみにワースト5は、ギリシャ、日本、トルコ、スロバキア、チェコ)。それをOECDの平均並みの5%にしようという計画が軽く蹴られる。

また、
「教職員定数を約2万5000人増員する」は率にして2.5%増の目論見だがそれも「定数の在り方などの条件整備について検討する」つまり、増員はしないと軽くいなしてしまう。

その上で、
5年間で「世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成」「いじめ、不登校、自殺などへの対応の推進」

では、金も人も出さずにどうそれを達成するのかというと、
「公教育の質を高め、信頼を確立する」
ことによるというのだ。

 今から60年以前にも似たようなことがあった。
 金もない資源もないエネルギーもない状態で、日本はGNP12倍のアメリカに戦いを挑んだのだ。
 ガダルカナルでも硫黄島でも、同じことが起こった。
「武器も兵員も送れぬ。しかし島を死守せよ!」

 ガダルカナルも硫黄島も共に2万人の日本兵が犠牲になったが、教育の戦場でこれから玉砕するのは教師だけではない。
 
大地は見渡す限り、子どもたちの骨で真っ白になるのだ。

 60数年経っても、日本は何も変わっていない。






 



2008.07.09

児童ら参加でコスト200分の1以下に
校庭芝生化で和歌山県教委


産経新聞 7月7日]


 子供たちの体力向上やヒートアイランド現象の抑制にも効果があるとして、全国の学校で校庭の全面芝生化が検討されるなか、和歌山県教委が低コストの芝生化手法を取り入れ、今年度から本格的に導入を始めた。児童や地域住民が芝生を植えることで、従来は1平方メートルあたり2万円前後の初期費用がかかるとされていたコストを100円以下に抑えられる。芝生を育てるという児童の学習面での効果も期待され、県教委は「和歌山方式」の手法を広めたいとしている。
 校庭の芝生化は、子供たちが運動する際の安全性が向上するために、休み時間に運動する児童が増えて、運動能力がアップするだけでなく、都市部を中心に深刻となっているヒートアイランドに対して、気温を下げる効果があるとされる半面、芝生を張るための費用やその後の育成に手間がかかるため、財政難の自治体が多い中ではなかなか進まないのが現状だ。
 和歌山県の場合は、最もコストがかかるという芝生を張る作業を児童や教職員、地域住民の協力で、作業代をゼロにする方法を試行することにした。今年度は8校に対して、1校あたり160万円の補助を実施。これまで各校での芝生植え作業がほぼ終了した。
 このうち有田川町立小川小学校は、約3000平方メートルの校庭の芝生化を計画し、6月初旬に児童98人と保護者、地域住民ら計約260人が1万2000株の芝生を植えた。6年の小畑夏海さん(11)は「世話してちゃんと育ってくれたらうれしい。転んでも痛くないので、早く芝の上で遊びたい」と話していた。順調に育てば秋ごろには全面が緑に覆われるようになるという。
同小では維持管理については、スプリンクラーの敷設工事を教員や保護者が実施し、水やりも交代で行うことにした。芝刈り機の購入費用なども含めて、補助金額内での芝生化を実現できる計算だ。
 地域の力を借りる和歌山方式の芝生化は、学校と地域の連携強化も期待されており、同校の内田敏夫校長(52)は「芝生の維持管理は学校だけでやってはだめ。子供と保護者、地域が一緒にやることが重要。『緑育』を通じて地域コミュニティーの活性化を図りたい」と話している。




学校に寄せられることで悪いことはひとつもない。
すべて正しい。それだけに始末が悪い。

校庭の芝生化は、
子供たちが運動する際の安全性が向上するために、休み時間に運動する児童が増えて、運動能力がアップする
都市部を中心に深刻となっているヒートアイランドに対して、気温を下げる効果があるとされる
芝生を張る作業を児童や教職員、地域住民の協力で、作業代をゼロにする
和歌山方式の芝生化は、学校と地域の連携強化も期待され
『緑育』を通じて地域コミュニティーの活性化を図りたい


どの面を見ても良いことだらけだ。したがって反対というものができない。しかし、管理の方はどうなるのだろう。
スプリンクラーの敷設工事を教員や保護者が実施し、水やりも交代で行うにしても一番厄介な除草と芝刈は誰がやるのか?

 子どもが転がることもできる芝生となれば当然除草剤は使えない。ゴルフ場が持っているようなカート型の芝刈り機を買ってもらえるとも思えない。
結局、芝生の上に這いつくばって雑草を取り、そのあとで芝を刈るという面倒な仕事は、職員と児童が引き受けざるを得ないだろう。

授業時数確保ということで週の時間が増やされ、行事も精選して運動会などもものすごく簡略化された。そうやって生み出した時間で今度は草取りと芝刈りをやるわけだ。

なにも芝生を目の敵にしているわけではない。
こんなふうに市教委、警察署や税務署といった官公署、商工会議所等地域の団体、個人等が次々と学校に「すばらしい物・こと・人」を送り込んできて、また学校の授業時数は減らされていく。

次は思い切って運動会や文化祭、修学旅行といったものを切り捨てなければ、学校の時間を支えきれなくなるかもしれない。






 



2008.07.26

バスジャック:少年の中学校の母親らにPTSD
相談倍増


毎日新聞 7月22日]


 愛知県で発生したバスジャック事件で、逮捕された山口県宇部市の少年(14)が通う中学校の生徒の母親たちにPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が表れていることがNPO法人「山口カウンセリング協会」の調べで分かった。母親らは車が行き交う音におびえたり、不眠症になるなどの症状を訴えているほか、「我が子とのかかわり方が分からない」などの相談も事件前から倍増しているという。
 同協会は宇部市を拠点に活動しているNPO法人で、うつや引きこもり、不登校などに悩む児童・生徒や親たちの心のケアを行っている。電話相談も受け付けているが、1日平均3、4件だった相談件数は16日の事件後、倍増しているという。
 同協会の園田俊司理事長によると、17〜21日の5日間に29人から相談があり、このうち27人が少年と同じ中学校に我が子を通わせている母親だった。うち5人は「車が行き来する音や救急車のサイレン、扉が閉まる音がするたびに震えが出て止まらない」「夜中に突然目が覚める」などのPTSDとみられる症状を訴えた。「子どもとどうかかわればいいのか分からない」「キレない子にするにはどうすればいいのか」などと尋ねる母親も多かった。
 母親以外の2人は少年と同学年の男女生徒で、同じ中学かどうかは分からないが、「車が行き交う音が怖い」「周りに(少年と)同じような生徒がいないか不安」などと話したという。
 園田理事長は事件について「両親や学校側が少年の心理・精神状態を見抜けなかったのではないか」と指摘。「再発防止には『よい子』という表の顔に隠された裏の心理・精神状態の把握が不可欠」として、学校単位での心理テストの早期実施を県教委や市教委に近く要請する。【脇山隆俊】




 現段階で臨床心理学というものがどの程度の力を持っているか、私は知らない。しかし10数年前、まだ学校へ来る見込みのあった生徒たちを「とにかく休ませることが肝心だ」とばかりに次々と家庭に引きこもらせた
心の専門家たちが、13万人の不登校児童生徒を生き生きと学校に通わせ、160万人の引きこもりを気持ちよく社会に出させることに成功したら、信じてもいいと思っている。すべてをうまく運べというのではない。せめて半数でも成功すれば、心理学を信じてもいい。

 園田理事長は事件について「両親や学校側が少年の心理・精神状態を見抜けなかったのではないか」と指摘。「再発防止には『よい子』という表の顔に隠された裏の心理・精神状態の把握が不可欠」として、学校単位での心理テストの早期実施を県教委や市教委に近く要請する。
 「把握」については了解した。しかし私たちが知りたいのは、次の一手なのだ。
『よい子』という表の顔に隠された裏の心理・精神状態の把握
ができた後何をすればよいのか。
 心理学は常にその部分を回避している。


 しかしそれにしても、この母親たちのヒステリックな恐怖はどうしたものか?
 少年犯罪は減りこそすれ決して増えてはいないのだ。
 心配しなくていいとは言わないが、
「車が行き来する音や救急車のサイレン、扉が閉まる音がするたびに震えが出て止まらない」
などというほどのこともない。

 結局これは心理の専門家が、自分たちの職域を広げようとするたくらみなのだろう。
 10年前、臨床心理士と呼ばれる人たちは600名足らずで、その大部分は医者と大学教授だった。
 現在は15000名あまりに増えたが、しかし常勤で働く場は少ない(学校カウンセラーも大半は非常勤。年収は200万円以下の人が多い)。

 ことさら危機感をあおる心理の専門家には、警戒した方がいいかもしれない。







 



2008.07.27

親の8割、公立小中学校に「満足」
本社・ベネッセ調査


朝日新聞 7月26日]


 公立の小中学校に満足している保護者は8割近くに達し、先生への評価も上昇――。朝日新聞社とベネッセ教育研究開発センターが共同実施した5千人を超える保護者への意識調査が25日まとまり、そんな結果が出た。4年前の前回、満足度の低かった都市部や高学歴の親で伸びが目立ち、公立学校への信頼回復の兆しがうかがえる。
 学校教育などに対する保護者の意識を問う調査は、文部科学省や日本PTA全国協議会も行っている。しかし、5千人を超える規模で、学歴や経済的なゆとりにまで踏み込んで尋ね、学校や教育政策への意見の変化を継続的に調査・分析したものはない。
 今回、子どもの通う学校に、「満足している」(「とても」「まあ」の計)と答えたのは77.2%。前回から継続して参加した計31校の小中学校で変化を見ると、満足度は72.8%から76.4%に上がった。
 前回満足していなかった層で上昇が目立つ。
 地域別では、前回、最も満足度の低かった「東京23区と県庁所在地」が75.2%で、12ポイントアップ。学校別では中学生の子をもつ家庭で9ポイント高まり、70.1%になった。
 学歴別では「父母とも非大卒」が2ポイント増に対し、両親の少なくとも一方が大卒だと5ポイント以上上昇。母親の就労別だと、最も低かった「専業主婦」が77.0%に増え、「パートやフリー」「常勤」と並んだ。
 学校の取り組みごとの満足度を見ると、最も伸びたのは「教育方針や指導状況を保護者に伝えること」(情報提供)で8ポイント高まった。
 このうち、小学校は「学芸会や音楽会などの文化活動」が7ポイント、「情報提供」が6ポイント増。中学校では「情報提供」「道徳や思いやりの心を教えること」「社会のマナーやルールを教えること」がいずれも10ポイント伸びた。
 教師や学校への評価も高くなった。
 「学校の先生は信頼できる」(「とても」「やや」の計)と感じる保護者は56.8%で9ポイント上がった。「先生たちの教育熱心さ」に満足しているのは64.0%と3ポイント増。「教科の学習指導」への満足度も72.6%と3ポイント増えた。
 一方、「学校は一人ひとりに応じた教育を行っていない」という答えは54.4%と8ポイント減。「先生の教える力が低下している」と感じる人も49.4%と4ポイント低くなった。
 こうした結果を、複数の専門家に読み解いてもらったところ、「情報公開や学力向上への取り組みを肯定的に評価する層が増えた」という分析の一方、「不満層の子どもの一部が私立や国立の中学に進学して調査対象から抜けた」ことや「学校への期待水準が下がった」ことが一因という見方もあった。(編集委員・氏岡真弓、片山健志)
     ◇
 〈調査方法〉 正式名称は「学校教育に対する保護者の意識調査」。今年3月、25都県の小学2、5年生、中学2年生の保護者計6901人に、公立の小学校21校、中学校19校計40校を通じて質問紙を配り、5399人から回答を得た(回収率78.2%)。初調査となる前回は03年末から04年1月に調べ、6288人から回答を得ている。


 数字を見て思うことは「まあ、こんなものだろう」ということである。
 小学生の保護者の満足度が79・5%から80・1%に伸びたことも「急上昇」というほどのことはないと思う。
 
実際に子どもを学校に送り込んでいる人は、マスコミや政府の人ほどには、学校に不満を持っていないのだ。これは実感とも一致する。

 しかしそれにしても、
 
「不満層の子どもの一部が私立や国立の中学に進学して調査対象から抜けた」
 とは、朝日新聞はなんてアホな専門家をやとっているのか?
 
 不満層の子どもの一部が私立や国立の中学に進学したとしても、そのおかげで不合格になった子どもの親たちも国利私立志向が強かったはずだ(だから国立私立を受けさた)。
 公立嫌いが入れ替わっても数字は変わらないと私は思う。そんなことにも気づかずに涼しい顔でコメントできる、「専門家」は、なんとも破廉恥なヤツに違いない。
 そしてそんなことにも気づかずに記事にする朝日の記者の教養も、知れたものである。






 



2008.07.31

中学で男性教諭刺される=卒業の18歳少年逮捕
−「恨みあった」と供述・愛知県警


時事通信 7月29日]


 29日午後1時半ごろ、愛知県知立市広見の市立知立中学で、教諭の神谷佳久さん(34)が校内に侵入してきた若い男に、ナイフで胸や背中などを刺された。駆け付けた県警安城署員が同1時45分、男を殺人未遂の現行犯で逮捕した。
 神谷さんは計6カ所を刺されるなどしており重傷だが、意識はあるという。
 男は知立市内に住む18歳のフリーターで、同中学を2005年3月に卒業。神谷さんについて「2年時の担任で恨みがあった。仕事がうまくいかないのは、怒られて対人恐怖症になったからだ」などと供述している。少年は中庭で座り込んでいたところを取り押さえられた。ナイフは近くに落ちていたという。 



 
友達もなく人生もうまく行かない若者が、責任を自分のものとできず、一人悶々と暮らしている。
 誰かに責任があることでこんなに苦しむなら、自分は被害者であり、
 その誰か、もしくはそれに代わるものが責任を取らなければならない。
 仕事がうまくいかないのは、怒られて対人恐怖症になったからだ
 だとしたらその「怒った男」が責任を取るべきだろう。
 事件はこうして起こった。


愛知・知立の中学教諭刺傷:少年供述「体形冷やかされた」 教諭へ逆恨み募らす?
 調べでは、重傷を負った同中学校教諭、神谷佳久さん(34)は、少年が中学2年だった年度途中で担任についた。少年は神谷さんから、同級生の前で細めの体形を野菜に例えて冷やかされたほか、たびたび厳しくしかられたと供述しているという。
 調べの中で、神谷さんの容体を気遣ったり、襲撃を反省するそぶりはなく、謝罪の言葉もないという。
 少年は05年3月に中学を卒業した後、進学した高校を中退して引きこもり状態になった。最近始めた警備員のアルバイトにも順応できなかったという。事件の2、3日前にナイフを購入したほか、事件当日には同中学校に電話して神谷さんの所在をあらかじめ確認するなど、計画的に襲撃に及んでいた。(毎日新聞 7月31日)

 

【愛知バスジャック】逮捕の男は山口県の中2 「親に怒られ嫌がらせ」 
 愛知県岡崎市の高速バスジャック事件で、逮捕された男は愛知県警の調べで、山口県宇部市内の市立中学2年の少年と判明した。動機について「親に怒られ嫌がらせでやった」などと供述しており、県警で詳しい動機を調べている。(産経新聞 7月16日)


親の子供扱いに立腹、八王子・通り魔事件の菅野容疑者が供述
 東京都八王子市の駅ビルで女性2人が殺傷された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された会社員菅野昭一容疑者(33)が、「親から子供扱いされて腹が立った」と供述していることがわかった。
 菅野容疑者は「大事件を起こして親を困らせようと思った」とも話していることから、警視庁では、両親の態度に強い不満があったとみて、犯行の引き金になった具体的なトラブルなどを調べている。(読売新聞 7月30日)


【八王子通り魔事件】母は「うちは教育テレビを見ているから」と不登校かばう
 見ず知らずの若い女性2人を無言で突き刺した菅野昭一容疑者は、内向的で引きこもるタイプだった。
(中略) 菅野容疑者は地元の小・中学校を卒業した。だれもが「おとなしい」「内向的」と口をそろえるが、別の素顔ものぞかせていた。知人は「休み時間に同級生にからかわれると怒って教室を飛び出し、次の日は登校しなかった」と明かす。
 こうした性格から友達はおらず、教室ではいつも1人だった。中学2年になると不登校に拍車がかかり、進学した高校は1日も行かずに退学。その後は職を転々とした。(産経新聞 7月24日)


平塚駅通り魔:「前日、父親刺そうとした」 事件との関係を追及 /神奈川
 平塚市のJR平塚駅で28日夜、通行人6人が切りつけられ負傷した事件で、傷害容疑で逮捕された茅ケ崎市浜竹のパート、桜井久枝容疑者(34)が県警の調べに対し「前日に家族とトラブルになり父親を包丁で刺そうとした」と供述したことが分かった。トラブルと事件との関係など詳しい動機を県警は追及している。
 調べでは、桜井容疑者は4姉妹の長女で父親や次女夫婦らと6人暮らし。事件前日、次女の長男の育児などを巡って父親と口論になり、持ち出した包丁を家族に取り上げられたといい、「昔から父親に物を投げつけられ、殺したいと思っていた」と話している。(毎日新聞 7月30日)


心に変化…「後悔してる」 秋葉原通り魔1カ月
《ネットで無視され孤独感》
 17人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件は8日、発生から1カ月を迎えた。職場や親への不満を募らせ、些細(ささい)なトラブルを引き金に犯行に走った加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。最近になってようやく、警視庁万世橋署捜査本部の調べに「後悔している」と話し始めたが、被害者への明確な謝罪はいまだにない。
(中略)
 加藤容疑者は5月以降に限っても、携帯サイトの掲示板に自らの心境や不満など3000件を超える書き込み、取り調べでも「書き込みはすべて本音です」と話しているという。

 だが、書き込みに対するネット利用者からの反応はほとんどなく、孤独感を募らせ、「ネットの人間に存在を気づかせたくて大きな事件を起こそうと思った」と供述。「初めてきちんと話を聞いてくれた」(加藤容疑者)のは、皮肉にも、逮捕後に取り調べに当たった捜査員だった。(産経ニュースイザ! 7月8日)


「彼女いない」「親に無理矢理…」目立つ責任転嫁の書き込み
 加藤容疑者らしい書き込みのある掲示板は、5月19日に開設され、事件前日の今月7日まで書き込みがあった。
 4日には「俺(おれ)が何か事件を起こしたら、みんな『まさかあいつが』って言うんだろ」と記述。さらに親への不満と挫折感を訴える書き込みが並ぶ。「親に無理やり勉強させられていたから勉強は完璧(かんぺき)」「中学生になった頃(ころ)には親の力が足りなくなって、捨てられた」「県内トップの進学校に入って、あとはずっとビリ 高校出てから8年、負けっ放しの人生」……。不本意な現在の境遇に至った責任を両親に転嫁している。
 仕事に関しては、「作業場行ったらツナギが無かった 辞めろってか」と人間関係の不満を記し、「別の派遣でどっかの工場に行ったって、半年もすればまたこうなるのは明らか」と、派遣社員という立場の雇用不安をつづっている。
 また、友人ができない理由として「不細工」と容姿のコンプレックスを挙げ、「彼女がいない それが全(すべ)ての元凶」と書いていた。(読売新聞 6月10日)


 結局、わが子を惨めな犯罪者にしないためには、コミュニケーション能力の高い、自立的な子どもを育てるしかない。
 そしてそれはとても簡単なことなのだ。

 
まず、挨拶ができること、人の目を見て話ができ、人の話を最後まで聞くことができること(コミュニケーション能力)、
 他人のせいにしない、特に親のせいにしないこと(精神的自立)、
そこからはじめることだ。