キース・アウト
(キースの逸脱)

2008年8月

by   キース・T・沢木

サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。
政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。
落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。

ニュースは商品である。
どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。
ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。

かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。
甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの本物そっくりのまがい物のダイヤ
人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄
そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。
















 



2008.08.06

小学校教諭を停職処分=児童たたき、不登校に
−兵庫


時事通信 8月6日]


 小学4年の女子児童(9つ)に体罰を加え、長時間怒鳴り続け、精神的ショックで登校できなくしたとして、兵庫県教育委員会は5日、姫路市立小学校の男性教諭(31)を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。児童は食欲不振や下痢などを訴えて急性ストレス反応と診断され、別の市立校に転校した。
 県教委によると、教諭は5月30日、カレーが給食で出た際、環境教育の一環として、節水のために器をスプーンできれいにしてから返すように指示。児童が従わなかったため、「何か言うことないんか」などと怒鳴りつけて両手でほおを2回たたき、机や荷物を廊下に出した。
 さらに、下を向いて泣き続ける児童を1時間半近く怒鳴り続けたり、廊下に放置したりした。 




 短い記事だが、何度も繰り返し読んだ。すでに処分が出ているのだから事実関係については争う余地がないのだろう。しかしそれにしても
「何か言うことないんか」などと怒鳴りつけて両手でほおを2回たたき、机や荷物を廊下に出した。
 さらに、下を向いて泣き続ける児童を1時間半近く怒鳴り続けたり、廊下に放置したりした

という凄まじさ何なのだろう。

 たかが
節水のために器をスプーンできれいにしてから返す程度のことに従わなかった児童にも感心しないが、殴った上に机や荷物を廊下に出すほどのこともないと思う。

 おまけに泣き続ける児童を1時間半近く怒鳴り続けたりとなると、これはもう県教委のレベルの話ではない。警察か病院の判断すべきだ。実際、

私など5分と怒鳴っていられない。怒りも、声も、投げつける言葉も、5分もあれば尽きてしまうのだ。それを1時間半も続けるのだから、これはまず病気を疑うべきだろう。さらに虐待の問題として刑事事件にすべきだ

と思う。

 願わくばこの事件、追跡取材してもらいたいものである。このままだと「やっぱり学校は異常で、教師も教育委員会も狂っている」で終わってしまう。
 何が原因で事件が起き、なぜこの程度の処分で済まされたのか、再検証が必要である。






 



2008.08.08

不登校2年連続増 文科省調査、
中学生は34人に1人


朝日新聞 8月7日]


 1年間で学校を30日以上欠席した「不登校」の小中学生が07年度は計12万9254人で、2年連続で増加したことが7日、文部科学省が発表した学校基本調査(速報)でわかった。特に中学生は34人に1人にあたり、全体に占める割合は06年度に続き、過去最高を更新した。
 不登校の小中学生は05年度まで4年連続で減少し、割合もほぼ横ばいで推.移していたが、06年度から増加に転じた。文科省は、いじめが06年秋に社会問題化したこともあり、「嫌がるものを無理に行かせることはない」と考える保護者が増えたことなどが増加の理由とみている。
 調査対象は国公私立の小中学生1075万6987人。このうち、病気などの理由がなく、年間30日以上欠席したのは小学生2万3926人(0.34%)、中学生10万5328人(2.91%)。学年を追うに連れて人数は増え、男女別でみると小5までは男子が多く、小6からは女子が多かった。
 不登校のきっかけとなった原因について複数回答で聞いたところ、「いじめ」は3.5%で、初めて項目に加えた昨年度から0.3ポイントの微増。具体的理由で多かったのは「いじめを除く友人関係」の18.4%、「親子関係」の11.1%、「学業の不振」の9.6%だった。
 不登校の児童・生徒のうち、学校側の指導などで登校できるようになったのは、小学生の32.6%、中学生の30.1%だった。多くの学校が「特に効果があった」と答えた取り組みは、家庭訪問で指導▽登校を促すために電話をかけたり迎えに行ったり▽保護者の協力を求めて家族関係や家庭生活を改善――だった。
 都道府県別では、子ども千人あたりの不登校が最多だったのが山梨で15.1人。最も少ないのは秋田、愛媛両県で8.9人だった。山梨は人数も前年より約1割増えた。07年度は全中学校にスクールカウンセラーを配置しただけに「急増した理由が見あたらない。不登校の原因は様々で特効薬はない」(県教委)。
 NPO法人「フリースペースたまりば」(川崎市)の西野博之理事長は「減ったように見えたのは教育委員会からの無言のプレッシャーのためだろう」と言う。病気だと不登校に数えないですむため、精神科を受診させる学校もあるという。
 心理カウンセラーの内田良子さんは、国の政策が「働きかけ」重視にかじを切り、各地で学校に戻す対策が強まったことが逆効果になっていると話す。保健室登校が増えるのは、渋る子を復帰させるからだとみる。「安心して休む権利や、学校の外で学び成長していくことを保障しないといけない」
 不登校生を対象にした東京シューレ葛飾中学校の奥地圭子校長も、学校復帰を目指す国の姿勢を根本から見直すべきだと訴える。「学校一本ではなくフリースクールやホーム・エデュケーション(家庭を基盤にした教育)など多様な教育の場を増やす必要がある」と語っている。



 不登校の問題に関して、社会と学校の方向は完全に逆を向くようになった。学校は、
「特に効果があった」と答えた取り組みは、
家庭訪問で指導▽
登校を促すために電話をかけたり迎えに行ったり▽
保護者の協力を求めて家族関係や家庭生活を改善
――だった。

と言い、登校刺激を加えることが学校復帰への道であると自信を深める。
 一方「識者」たちは、
「安心して休む権利や、学校の外で学び成長していくことを保障しないといけない」
「学校一本ではなくフリースクールやホーム・エデュケーション(家庭を基盤にした教育)など多様な教育の場を増やす必要がある」

という。
 保護者の方も
「嫌がるものを無理に行かせることはない」と考える
両者は向いている方向がまったく違うのだ。

 さて、こうした「学校に行かせること」に批判的なコメントを集めるところをみると、朝日新聞もまた、子どもの「安心して休む権利や、学校の外で学び成長していくことを保障しないといけない」と考えているのだろう。

 結論から言えば、
私は、子どもたちが学校の外で学び、成長していくことも良いことだと思っている。何も学校がすべてではない、学校以外の場で教科や人間関係を学び健康な体を作っていけばいい、それも人間の権利なのだと思う。ところでしかし、今、私たちは学校以外に、教科や人間関係を学ぶ場を、どれくらい持っているのだろう?

私たちが、子どもに「なんとしても学校に来てもらいたい」思う理由はそこである。
学校に来なくてもいいが、どこかで学んでもらわなければならない。学校に行きません家にいますでは困るのだ。
 学校と同じようにさまざまなタイプの子どもたちが集まり、泣いたり笑ったり喧嘩したりしながら人間関係を学び、教科を学ぶ、そうした学びの場が、子どもたちには絶対に必要なのだ。
 
そうした場が十分に用意されていないにもかかわらず、「学校に行かなくてもいい、安心して休む権利を!」というのはおそろしい罠でしかない。






 



2008.08.08

禁煙補助薬「ニコチンパッチ」
石垣市が小学生にも無料処方


CASTニュース 8月7日]


 沖縄県石垣市は、市内の小、中、高校生の喫煙者に対し、禁煙補助薬の「ニコチンパッチ」を無料で処方する取り組みを2008年8月6日から始めた。子供達をニコチン依存症から救出、未成年の喫煙者を減らす目的だが、小学生にまで「ニコチンパッチ」を提供することに対し、「本来は親の躾の問題」などと疑問視する声も出ている。

■若者はニコチン依存症なりやすく早めの処置が必要

 この取り組みは、石垣市健康福祉センターと八重山福祉保健所が、奈良女子大学の高橋裕子教授の協力を得て実施したもの。市内の小、中、高校生の喫煙者は、2つのいずれかの施設で禁煙のためのカウンセリングを受ければ「ニコチンパッチ」が無料で支給される。親や教師の付き添いが基本だが、一人で訪れてもプライバシー保護のため学校や家庭には知らせない。同市の資料によれば、03年に調査した高校生の喫煙率は男子生徒が31.1%。女子生徒は13.6%。小、中学生で喫煙問題が起こったのは、07年度は個人、集団を含め小学生が3件、中学生が59件だった。

 石垣市健康福祉センターの知念修所長はJ-CASTニュースの取材に対し、小学4年生頃から興味本位でタバコを吸ってしまう子供がいるが、若年層はニコチン依存症になりやすいために早めの処置が必要だ、と説明する。また、八重山は「世界禁煙デー」が始まった88年から喫煙問題に取り組んでいて、市の施設や空港内などで全面禁煙を実施。現在は敷地内での禁煙も広げている。観光地として今以上に親しんでもらうことも目的で、

  「未成年者のタバコを吸う習慣をなくせば、大人になってからの喫煙者数も減らせる。健康的な生活と、観光地としての親和性が高められる」

と話している。

■「親は子供からタバコを取り上げ、24時間監視すべきだ」

 小学生にも「ニコチンパッチ」を配布するというのは何か違和感があるが、教育現場はどう思っているのだろうか。石垣市教育委員会の小中学校担当者は、

「新聞に書かれているのは知っているが、教育委員会に(石垣市健康福祉センターから)正式な文章が来ていないため、何もコメントできない」

と話すだけだった。

 月刊誌「正論」(08年9月号)に「たばこのみを狙い撃つ『空気』への大いなる違和感」を寄稿したジャーナリストで産経新聞客員編集委員の花岡信昭さんはJ-CASTニュースに対し、特に小学生への「ニコチンパッチ」支給は「ばからしい事」と一喝した。

「『ニコチンパッチ』に頼らなくても、親は子供からタバコを取り上げ、24時間監視するような態度を示さねばならない。本来は親の躾の問題で、それだけ日本の親が崩壊しているかのような印象を受ける出来事だ」


 私は具体的に手を打ち、じっくり待つのが好きだ。
 何もせずに成り行きに任せたり、正論をぶってできもしないことに期待するのは好みではない。
 
 未成年者の喫煙がゼロにならない、ニコチン中毒になった児童生徒が何度でも繰り返し喫煙をする、そうであるなら、
施設で禁煙のためのカウンセリングを受ければ「ニコチンパッチ」が無料で支給される。親や教師の付き添いが基本だが、一人で訪れてもプライバシー保護のため学校や家庭には知らせない。
は当然取り組むべき有効な手段だと思う。

 もちろん

『ニコチンパッチ』に頼らなくても、親は子供からタバコを取り上げ、24時間監視するような態度を示さねばならない。

 それは筋だが、現実にはばかげている。
親が取り上げられるものなら、その子は最初からタバコなど吸っていない。少なくともタバコが手放せなくなるレベルまで、吸い続けたりしていないはずだ。
まったくコントロールできないか、そもそもコントロールする気がないから子どもはタバコを吸い続けているのだ。

 未成年喫煙禁止法第3条 (未成年者の喫煙を知りつつも制止しなかった親権者やその代わりの監督者は、刑事罰である科料に処せられる。)を楯に、喫煙児童生徒の保護者を片端「科料(1000円以上、1万円以下の財産の徴収)」に科せというなら別だが、指導力のない保護者に期待をかけて、何もせず見守っているのはバカのすることである。

本来は親の躾の問題で、それだけ日本の親が崩壊しているかのような印象を受ける
一部の保護者は、機能としてすでに完全に崩壊している。そんなことも想像できない「識者」のコメントを引用し、石垣市の非常に具体的で有効な取り組みに冷や水をかけて、J-CASTは何を果たそうというのか?






 



2008.08.08

高校校長が生徒を「殺人鬼」


スポーツ報知 8月8日]


 神奈川県立上溝南高校(相模原市)の古谷真弓校長が、7月18日の終業式で、男子生徒が7月に校舎4階の窓から誤ってサッカーボールを落としたことについて「人を殺しかねない。殺人鬼になる」などと発言していたことが7日、分かった。

 同校によると、校長は「生徒を殺人鬼呼ばわりしたと誤解されるような発言で申し訳ない。ボールが人を傷つける道具になるという意味で『殺人器』と言った」と釈明した。今月15日に教職員らに説明し、9月1日の始業式で全校生徒に謝罪するという。

 男子生徒たちがボールで遊んでいて、誤って4階の窓からボールが落下した。けが人はなかった。校長は終業式で、ボールの落下について、生活態度などを改めるべき「1学期の七不思議」の一つとして触れた。

 終業式後、生徒が担任に「自分のことが取り上げられたのかなあ」と話したため、担任が校長に抗議した。その後、校長が生徒に謝罪する意図を伝えたところ、生徒が「平気です」と話したため、謝罪はしていないという。

 「1学期の七不思議」のほかの項目は、〈1〉トイレに小石があったこと〈2〉トイレにたばこの吸い殻があったこと〈3〉手洗い場にトイレットペーパーが山積みになっていたこと〈4〉教室の壁に落書きがあったこと〈5〉来賓用トイレの電気がつけっぱなしだったこと〈6〉部室前がゴミで汚くなっていること、だったという。
最終更新:8月8日8時1分



 黙れば事実隠しだと言い、語れば重箱の隅をつつくようなことで非難される。

サッカーボールを落としたことについて「人を殺しかねない。殺人鬼になる」
が、どれほどの問題か。
 例え不注意にせよ、高いところから物を落とせば人殺しになりかねない、注意しよう、のどこがいけないのか。

 私には
ボールが人を傷つける道具になるという意味で『殺人器』と言ったことの方がよほど姑息で、校長の見識が疑われる内容と思われる。

 言葉がこれほど重要視され、ガラス細工のように大切にされる時代はかつてなかった。しかし今はそういう時代なのだ。
 
 教師は細心の注意を払って、どんなに柔でデリケートな心でも傷つかないよう、言葉を選ばなければならない。子どもはもっと、もっと、もっと弱く優しく育てていかねばならないからだ。傷つけないことに自信がないなら、黙らなくてはならない。

 
言葉を失うことによって人間関係が築けなくなることを恐れるよりも、子どもの心にかすり傷をつけることの方をこそ恐れるべきだ。
 
 この記事はそんなふうに教えてくれる。いやな時代が来たものである。
 
 
 




 



2008.08.14

給食費未納:池田の小学校・保護者の滞納分、校長ら立て替え


毎日新聞 8月13日]


 ◇市教委は未納対策を検討
 池田市の小学校で保護者が滞納している給食費を、校長らが立て替えていたことが12日、明らかになった。立て替え額が数十万円に上っていたり、一時的に修学旅行の積立金などを流用していたケースもあり、市教委は未納対策の検討を始めた。
 市が今月、各小学校の給食費の未納状況を調査。11校中8校で未納があった。07年度の未納額は65万4550円で、同年度までの累積未納額は168万4803円に上った。
 給食費は各校が毎月、市立学校給食センターに全児童分を納める。未納分は校長らが立て替えたり、修学旅行の積立金などから流用していた。流用分は年度末に校長や担任、事務職員が自腹を切ったり、職員親ぼく会費から穴埋めしていた。
 また今回の調査で、学級で使う模造紙やのりなどの学級費▽各学年ごとに必要な資料などの教材費▽修学旅行などの積立金――でも未納があったことが判明。給食費も含めた合計累積未納額は297万4796円だった。
 市教委は各会計間の流用禁止や給食センターへの納付を実際に徴収できた額にするほか、悪質な滞納者に法的措置を取れるよう対策を検討している。【衛藤達生】




 給食費の未納が問題化されて久しいが、状況がよくなったという話はいっこうに聞かない。
 誓約書を取ったり保証人を立てさせたりとさまざまな手段が行われたが、簡単に解決する問題ではない。世の中に給食費を払っていない人がいると知ったことで、「だったらウチがだけが(本当は”だけ”ではないのだが)払うのはバカらしい」と新たな未納者が出てきたりしている。

 貧しい家庭には就学援助(経済的理由により就学が困難であると認められる学齢児童生徒の保護者に対し、国及び地方公共団体が就学に要する諸経費を援助する制度)の申請を出してもらい、その援助費から給食費を出してもらうという手もあるのだが、中には年収が十分すぎて援助の対象にならない人もいる。結局不足分を誰かが負わなければならないのだが、担任や校長・副校長が被るのは最低のやりである
。修学旅行の積立金などから流用となるとさらに問題は大きい。その金は返ってこない可能性が高いからだ。

 さてところで、給食費の未納問題が話題になると必ず出てくるのが、
「だったらその子の給食を止めればいいじゃん」
という考え方である。しかしそうした意見を聞くたびに、私は世間の人々の理解のなさを悲しく思う。いや、理解がないのではなく、単に想像力が及ばないだけのことなのかもしれない。

 考えてみればいい。
 給食費未納の家庭があり、どう頼んでも払ってくれない、その時学校は給食を止められるだろうか?
 給食を止めてその時間、該当の子に「キミの家は給食費を払っていないから、今日の給食はないんだよ」と言えるかどうか?
 
 担任は絶対に言えない。そう言い放って自分だけ給食を食べることなど、担任には絶対にできない。教員が善人だからというのではない。だれがその席にいても、普通の人間ならそんなことはできない。

 そうなったらきっと、普通の人なら、その子の給食が滞ることがないように手配するだろう。スープやご飯なら平等に分けるだろう。牛乳やデザートだったら、学校中を駆け回って、欠席によるあまりがないか探す。それでもなかったら、担任が自分の分を差し出すに違いない。
 つまり
未納によって給食を止めれば、食べられなくなるのは担任教師
なのだ。親に責任はあっても子に罪はないのだからと。

 給食費を払おうとしない保護者は、そのことを知っているから払わないのだ。
「止められるものなら止めてみろ」というのはそういう意味である。

 給食費を払わなければ自動的に財産が差し押さえられるような法整備が、一刻も早く進むことを心から望む。







 



2008.08.16

「生徒に足払い」「のこぎりで机壊す」…学校管理員2人処分


産経新聞 8月15日]


 神戸市教委は15日、生徒を壁に押しつけてけがをさせたり、学校の備品をのこぎりで壊したりしたとして、中学校と特別支援学校に勤務する男性管理員(公務員)2人を同日付で、減給半日の懲戒処分にしたと発表した。

 市教委によると、灘区内の中学に勤める管理員(50)は今年5月29日、3年生の男子生徒2人が無断で管理員室に入ろうとしたことに腹を立て、ほおをたたいた。さらに近くで様子を見ていた3年生の男子生徒(14)の態度に立腹。えり首をつかんで壁に押し当てたうえ、足を払って倒し、首などに全治10日間のけがを負わせた。

 けがをした生徒は検査で翌日学校を休んだが、被害届などは出されていない。管理員はその場で生徒全員に謝罪し、翌日から通常通り勤務している。

 また特別支援学校に勤務する管理員(60)は5月29日、酒に酔って同僚の机やイス、ロッカーを、のこぎりやのみを使って壊した。「同僚になめられていると感じた」などと話しているという。感情障害と診断され、現在は自宅療養中。



 やはり人の部屋に勝手に入ってはいかんだろう、
 普通の人はそう思うが、学校にこうした倫理はない。子どもたちには何でも許されているのだ。
 
 社会では、

 人の部屋に無断ではいろうとすれば、
腹を立て、ほおをたたいたくらいされても当然だ。

 近くで見ていたヤツの態度が悪ければ、これも
えり首をつかんで壁に押し当てたうえ、足を払って倒し、首などに全治10日間のけがをさせるくらい、いかにもありがちである。
 
 学校用務員は職員の中でもっとも教員社会に毒されていない人だから、常にに社会常識を当て嵌めようとしたがる。しかし、それが通用するほど学校は甘くない。

 「社会の常識は学校の非常識」
 処分されたくなければ世間の常識を学校に導入してはいけないのだ。

 しかしそうした状況を加味した上で、その上で問いたい。
 この用務員が処分されることは、その子の教育にとって良いことだったのだろうか?

*ついでに、
 普通、感情障害と診断されるような人の微罪は、新聞記事にならない。しかしそれが学校職員となると特別である。つまりマスコミも、学校に社会常識を持ち込むことに反対なのだ。






 



2008.08.30

学力テスト 生活習慣と相関関係


産経新聞 8月30日]


 29日公表された全国学力テスト。知識を活用する力に欠け、上位と下位の二極分化が進む子供たちの学力の課題にどう対応するか。専門家らは、学校に対しては「考えさせる活動」を重視した指導のほか、テレビやゲームなどに囲まれる子供たちに家庭での生活習慣の改善、国に対してはデータの詳細な分析がさらに必要だとしている。
 学力テストと合わせて行われた生活習慣などのアンケートの分析では、平日にテレビやビデオを4時間以上見る児童の正答率が国語Aで61・4%に対し、1時間より少ない児童は同69・0%だった。
 また朝食を毎日食べる児童は、全く食べない児童に比べ、すべての科目で正答率が21〜18ポイント上回った。「読書好き」「家族と学校での出来事について話をしている」という児童ほど正答率が高いなど、家庭での生活習慣との相関関係が表れた。
 文部科学省では生活習慣と学力との関係について深く分析を進める考えだ。
 沢田利夫・東京理科大教授(数学教育研究所長)は課題が浮かんだ結果を「ゆとり教育の終着点」と指摘。文科省や学校は学力の二極分化の事実を認め、子供に考えさせる活動をする授業を徹底すべきだという。
 ただ算数・数学が好きだという子供の割合は増加しており、日ごろの教員の指導の重要性を指摘している。
 耳塚寛明・お茶の水女子大教授(教育社会学)は、今回得られた大量のデータが「宝の持ち腐れになる」として分析を行う常設組織や改善のための予算確保を求めた。地方自治体が検証したり新たな指導を行うための経費は昨年度の約4億円から今年度は1億円に削減されている。耳塚教授はまた、今のテスト方法の是非や今後も継続するかなどの検討が必要だとしている。

 全国学力学習状況調査も二年目を向かえ、だいぶ慣れてきたとともに早くもマンネリ化してきた気もする。自民党の一部からは、毎年実施することに対する疑問の声も上がっているというから、一時のブームとしてこのまま終わってしまうのかも知れない。
耳塚教授は
「宝の持ち腐れになる」と言うが、研究者にとっては宝でも、一般人にとってはどうでもいいことであり、毎年70億円も使ってやるほどのものではないだろう。

今回の結果、
知識を活用する力に欠け、と応用力の不足が認識されても、結局政府の掛け声は「学力の重要な要素である基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成及び学習意欲の向上」新しい幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の公示について〔文部科学大臣談話〕)と総花的で、分析結果はまったく生かされない。

 また、
 沢田利夫・東京理科大教授(数学教育研究所長)は課題が浮かんだ結果を「ゆとり教育の終着点」と指摘。文科省や学校は学力の二極分化の事実を認め、子供に考えさせる活動をする授業を徹底すべきだという。
 いかにも筋の通った言い方だが、
現在の指導要領で「子供に考えさせる活動をする授業」と言えば「総合的な学習の時間」がもっとも専門的な分野なのだ。それを「ゆとり教育の終焉」とか言って時数を減らし、その上で「子供に考えさせる活動をする授業を徹底すべき」と言うのは、脚力が弱っているから腕立て伏せを繰り返せというのと同じように愚かなことだ。

 今回の指導要領改訂では「道徳教育の充実」を掲げているが、そもそも道徳教育(=より良き人間関係の教育)は子どもに社会的活動をさせる中で身につけさせるしかない。生徒会活動や各種行事はそのためにあるのに、学力向上を目指してそれら特別活動は犠牲にされていく。

テレビやゲームなどに囲まれる子供たちに家庭での生活習慣の改善、
が必要だと指摘しても家庭には一切メスを入れず、
日ごろの教員の指導の重要性を指摘している。
と、ひたすら教員の力ですべてを解決しようとする。何とも馬鹿な話である。