日本は加盟30カ国のうちデータが比較可能な28カ国で最下位。03年に最下位、02年もワースト2と低迷が続く。今回は小中高校に限ると、対GDP比2・6%でワースト3、大学など高等教育では、同0・5%で最下位だった。
政府の支出全体に占める教育支出の割合は9・5%で、OECD平均の13・2%を大きく下回った。日本の教育支出は、私費割合が31・4%(OECD平均は14・5%)と高いのが特徴だが、公費と私費を足した教育支出の対GDP比も4・9%でOECD平均の5・8%と開きがある。
OECDは「他国では教育支出が急上昇しているが、日本は教育以外の分野を選んで投資している。将来に向け教育にどう戦略的に投資するかが日本の課題だ」と指摘した。
教育予算を巡っては、OECD平均並みにする数値目標を教育振興基本計画(7月閣議決定)に盛り込もうとした文部科学省に財務省が反発し、見送られた経緯がある。財務省は今回の結果についても「日本の子どもの割合はデータがある25カ国中最下位。1人当たりの教育予算は英米など主要国とほぼ変わらない」としている。【加藤隆寛】
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◇主なOECD加盟国対GDP比教育予算(%)
アイスランド 7.2
デンマーク 6.8
スウェーデン 6.2
フィンランド 5.9
フランス 5.6
イギリス 5.0
アメリカ 4.8
カナダ 4.7
オランダ 4.6
韓国 4.3
オーストラリア 4.3
イタリア 4.3
ドイツ 4.2
日本 3.4
※加盟国平均は5.0%
ところで、日本に衝撃を与え、「地に落ちた日本の公教育」「学力崩壊」とまで言わしめたPISA(OECD生徒の学習到達度調査)2003での日本の成績はどうだったか、覚えている人はいるだろうか。
答えは以下の通りである(いずれも40か国中)。
数学的リテラシー | 6位 | (28位) | (16位) | (19位) | (31位) |
読解力 | 14位 | (18位) | (17位) | (21位) | (29位) |
科学的リテラシー | 2位 | (22位) | (13位) | (18位) | (27位) |
問題解決能力 | 4位 | (29位) | (13位) | (16位) | (31位) |
なかなか立派なものではなか。
「日本の子どもの割合はデータがある25カ国中最下位。1人当たりの教育予算は英米など主要国とほぼ変わらない」
というその「欧米の主要国」はどうなっているかと言うと、赤く書いた日本の順位後ろにつけたカッコの中がそれである(前からアメリカ、フランス、ドイツ、イタリアの順。イギリスは統計に出てこない)。
さて、これだけ財政の逼迫した中で、教育予算だけを増やせとはもう言わない。言っても無駄だと分かった。しかし
1人当たりの教育予算は英米など主要国とほぼ変わらない
というなら、学力もまた英米並みに低下することを感受しなくてはならない。それが当然だろう。
しかし現在はまったくそうでない。
順位は多少落ちたとは言え、
日本の教育は現在も世界最高のコスト・パフォーマンスを保っているのだ。
学力がそうであるように、社会の安全と安定も米英を圧している。その一部は、確実に日本の教育によっている。
97万人の教師たちが、その意欲だけで支えているのだ。
にもかかわらず「学力崩壊」「安全神話の崩壊」と叩きに叩きまくって、マス・メディアは何をみすみす、今あるものを破壊しようとするのか?
大阪府では橋下知事が公務員給与を1割カットし、「クソ教委」と学校教育の中核をこき下ろし、全国学力学習状況調査の結果を開示しろと恫喝を重ねている。そういうやり方で、大阪府は大変なものを失おうとしている。
もしかしたら大阪を見れば、未来の日本が占えるのかも知れない。
2008.09.14
<学力テスト>知事主導に市町村波紋
成績公表巡り
[毎日新聞 9月13日]