大津市の中学2年の男子生徒をいじめたとされる同級生3人のうち1人が今年5月、担任の女性教諭の小指 に重傷を負わせたとされる問題で、学校が滋賀県警に被害届を提出する方針を固めたことが19日、学校関係者への取材で分かった。今月開いた緊急職員会議で 校長が決定したという。
担任教諭は5月30日、集会中に帰宅しようとしたこの同級生を注意した際、同級生が暴れて左手小指の骨にひびが入るなど5カ所を負傷した。学校側は教育的配慮から被害届の提出を見送ったが、県教委、越直美大津市長らが対応を批判。県警から被害届の提出を求められていた。市教委も9月に入って提出方針を決めた。
学校関係者によると、緊急職員会議では担任の女性教諭を含むほとんどの教員が反対したが、校長は「市教委に指導されたので出さざるを得ない」と説明。提出方針を決定したという。
学校関係者は「最近は担任と同級生の関係が良好だったが、被害届を出せば信頼関係を失う。現場を無視した決定だ」と話した。【石川勝義】
教員というのは因業な職業である。左手小指の骨にひびが入るなど5カ所を負傷をさせられたにも関らず、まだその子の指導をしたいのだ。
最近は担任と同級生の関係が良好だったが、被害届を出せば信頼関係を失う。
どこまでも子どもを守りたい、いじめの被害者であろうが加害者であろうが、生徒が生徒である限り守り通さねばならない、そう信じている。
そう言えば必ず「被害者は守らなかったのに」という言い方がされるが、そうではない。守れなかったのだ。そのことはいずれ警察の捜査の中で明らかになるだろう。今後出て来るだろうたくさんのルポルタージュの中でも、被害者が追い込まれ教師が見過ごさざるを得なかった事情が明らかにされるはずだ。
今わかっていることは学校も被害者女教師も3か月の間、暴行の事実を市教委に伝えていなかったことだ。報告しなかったからには労災にもならず、治療費も自腹で切っていたということになる。
そうまでしても子どもを守りたい、きちんとした教育をしたい、そう願うのが教師なのである。それは珍しいことではない。
そしてそれが“当たり前”であるということが日本の教師の偉大さを物語っている。
そうではないか?
私立の高校で授業の一部を人材派遣会社の教師に任せるケースが広がるなか、埼玉県の私立高校が業務の指示を巡って労働者派遣法に違反したとして、東京労働局から是正の指導を受けていたことが分かりました。
行政指導を受けたのは、埼玉県の「正智深谷高校」と、この高校と契約を結んでいた東京の人材派遣会社です。
関係者によりますと、この高校は、ことし3月までの2年間、社会科の一部の授業を人材派遣会社の教師に任せる委託契約を結んでいました。
委託契約では、学校側は教師に対し業務上の指示はできませんが、実際は授業の進め方について直接、指示していたということで、東京労働局は今月、労働者派遣法に違反するとして、学校と人材派遣会社に是正を求める指導を行いました。
この高校は「法律をよく理解していなかった」としたうえで、労働局の調査を受けて先月、ほかの13人の派遣教師との委託契約を見直したということです。
全国の私立学校の教員で作る「全国私立学校教職員組合連合」は、少子化などの影響で、全国の私立高校の間では、授業の一部を人材派遣会社の教師に任せるケー スが広がっているとしたうえで、「直接指示できない委託契約は学校の現場ではそぐわない。不安定な雇用が広がれば、教師は不安を抱えながら授業を行うこと になるので、教育の質にも影響しかねず、早急に実態を明らかにしたい」と話しています。
少々説明がいる。
労働者派遣法は派遣労働者を守るための法律である。派遣労働者は派遣会社との間で労働契約を結ぶのだが実際の職場は別会社にある。そのため派遣先で契約にない無理な業務指示を受ける可能性が出てくる。労働者は立場上それを断りきれない。そのため派遣法は派遣先企業が労働者に業務指示することを禁じているのだ。
派遣先企業が契約外の何らかの理由で新たな業務指示をする必要が生まれた場合は、派遣会社を通じてその変更を行わなければならない。
学校においてこれが問題になるのはALT(ネイティブの英語をしゃべる英語科の補助指導員、普通はアメリカ人やカナダ人など)についてである。学校の授業の場合派遣法の規定により、授業前に英語科教員とALTは打ち合わせができないことになっている。そこで業務指示が出てしまうからだ。また授業中のやり取りもできない。
ALTの出る場面は、丸ごとそのALTに任せなければならないのだ(もちろん派遣法に基づく派遣会社からきているALTの場合であって、市町村に雇われている等の場合は違う)。
直接指示できない委託契約は学校の現場ではそぐわない。
確かにその通りである。しかし学校に潤沢な資金がなければそうするしかないだろう。
ところで学校には市町村が雇ったわけでもないのに、市町村立の学校に勤めている職員がいっぱいいる。私たちだ。
私たちは都道府県で採用され都道府県から給与の支給を受けている。その上で市町村立の学校に、いわば派遣されているのである。したがって派遣法の理念から言えば都道府県からの業務指示のみに従っていればいいようなものだが、そうはならない。両者の指示に従わなくてはならないのだ。
教職多忙化の原因の一つは、そんなところにもある。
公立中学校の部活動で、運動部の休日の指導をスポーツコーチの派遣企業に委託する試みが東京都内で始まった。部の保護者会が企業と直接契約を結び、生徒1人あたり1回500円を払う。休日出勤の負担から顧問のなり手が不足する中、顧問なしでも土日に練習できるようにする。
この試みを始めたのは、杉並区立和田中学校(代田昭久校長)。和田中は「部活イノベーション」と呼び、形式的には学校の教育活動と切り離している。
和田中では4年前から保護者や住民でつくる「地域本部」が進学塾と契約し、有料授業の「夜スペシャル」(夜スペ)を続けている。今回の試みは、その「部活版」といえそうだ。
学校教育のかたちは地方ごとにかなり異なる。
東京都では休日出勤の負担から顧問のなり手が不足するという状況があって「部活イノベーション」のような試みがおこなわれる。
私のところは教員の負担軽減のため県教委が「土日いずれか一方を部活禁止とする」としたところ、さらに練習をさせたい保護者が組織をつくり、ボランティアのコーチを探して休日の練習をやってもらうようにした。これが「学校社会体育」である。一か所でそれが始まると他の学校も追従せざるを得ない。始めた学校はほぼ例外なく強くなれるからだ。どの親も自分の子がみじめに負けるのを見たくはない。
かくして部活は学校の鎖から解き放たれた。校長の責任で行われるものではないから、時間も場所も練習相手も無制限で決められる。極端なことを言えば、都会の強豪校と丸一日練習ということも可能となった。さらに週日も学校の部活が終わった後、学校社会体育のコーチが顧問と交代して、9時でも10時でも練習を続けていいということになった。もはやルール無用である。
ただし問題は残った。それは人材の潤沢な都市部ならまだしも、私のところのようなド田舎では適当なボランティア・コーチなど容易に見つからなかったということである。野球くらいならいる、しかしバスケットボールの専門家もバレーボールの専門家も吹奏楽のプロもいるといったようなところはそうはないのだ。
そこで親たちは本来の部活顧問に目をむける。これだと指導の一貫性・継続性においても何の問題もない。むしろ好都合だ。部活顧問の方も、保護者との人間関係上これを断ることができない。
こうしてもともと「教員の負担軽減」が目的だった「土日いずれかの部活禁止」は、顧問を際限なく使役させる結果となってしまった。
スポーツ・コーチの派遣企業などという便利な組織があり、その都度500円を払ってくれる保護者がいる和田中は本当に特別な例である。私のところには月額2000円〜4000円といった参加料さえ支払えない子もいる。「貧乏人の子は部活で選手になれなくてもいい」と言わんばかりの「部活イノベーション」、ウチではとてもできたものではない。
さいたま市の市立中学に通う3年の女子生徒が8月下旬、マンションから飛び降り自殺をしていたことがわかった。生徒は友人関係で悩んでいたといい、学校は背景にいじめがなかったか、同級生らに話を聞くなどして慎重に調べている。
市教委や学校などによると、女子生徒は8月24日午前、自宅近くのマンションから飛び降りたという。生徒は1学期、友人関係がこじれ、無視されるようなことに悩んでいたという。学校もこれを把握し、仲を取り持とうとしたが生徒に固辞された。自殺前に複数の同級生の名前を挙げたメールを母親に送っていたといい、遺族は学校で何があったか調べてほしいと要望しているという。
学校側は遺族側の意向を受けて公表を控えたと説明。「金品を巻き上げられたり、暴力をふるわれたりしていた事実はない」としている。
この記事のポイントは
友人関係がこじれ、無視されるようなことに悩んでいた
と
自殺前に複数の同級生の名前を挙げたメールを母親に送っていた
である。
これだけ条件がそろっていながら、朝日新聞はなぜ「中3女子が飛び降り自殺 さいたま、いじめが原因か?」と書かなかったのか、それが私には解せない。これまでの報道ではほぼ確実にそう書かれていたケースである。
もしかしたらいじめよりはるかに明確な自殺原因が明らかになっているのかもしれない。あるいはそうした遺書が残っていたからかもしれない。
しかしそうではなく、学校は背景にいじめがなかったか、同級生らに話を聞くなどして慎重に調べている、その調査の最中だから安易に「いじめ」という言葉を使わないようにしよう、そういう配慮なら大いに歓迎したい。
大津の事件でもそうだったが、「いじめ」という言葉が出たとたんに“加害者”の親は一気に硬化する。その言葉ために子どもが社会的から抹殺されると感じれば事情聴取の拒否から転校・転居までありとあらゆる手段を使う。それが親心というものだ。
また「いじめ自殺」という言葉が記事に載っただけで、ネチズンの調査が一斉に入り、顔写真や家族関係住所など、“加害者”の情報のすべては一斉にネット上に曝される。
もちろん裁判の結果“いじめはなかった”“いじめと自殺の因果関係は明らかでない”となると最初に取り上げたサイトの個人情報は削除されるが、それが何の意味のないことはネットに詳しくない私ですら知っている。
もし今回の扱いが朝日新聞の配慮なら、それは素晴らしいことだ。ぜひとも続けていただきたい。
担任教諭は5月30日、集会中に帰宅しようとしたこの同級生を注意した際、同級生が暴れて左手小指の骨にひびが入るなど5カ所を負傷した。学校側は教育的配慮から被害届の提出を見送ったが、県教委、越直美大津市長らが対応を批判。県警から被害届の提出を求められていた。市教委も9月に入って提出方針を決めた。
学校関係者によると、緊急職員会議では担任の女性教諭を含むほとんどの教員が反対したが、校長は「市教委に指導されたので出さざるを得ない」と説明。提出方針を決定したという。
学校関係者は「最近は担任と同級生の関係が良好だったが、被害届を出せば信頼関係を失う。現場を無視した決定だ」と話した。【石川勝義】
教員というのは因業な職業である。左手小指の骨にひびが入るなど5カ所を負傷をさせられたにも関らず、まだその子の指導をしたいのだ。
最近は担任と同級生の関係が良好だったが、被害届を出せば信頼関係を失う。
どこまでも子どもを守りたい、いじめの被害者であろうが加害者であろうが、生徒が生徒である限り守り通さねばならない、そう信じている。
そう言えば必ず「被害者は守らなかったのに」という言い方がされるが、そうではない。守れなかったのだ。そのことはいずれ警察の捜査の中で明らかになるだろう。今後出て来るだろうたくさんのルポルタージュの中でも、被害者が追い込まれ教師が見過ごさざるを得なかった事情が明らかにされるはずだ。
今わかっていることは学校も被害者女教師も3か月の間、暴行の事実を市教委に伝えていなかったことだ。報告しなかったからには労災にもならず、治療費も自腹で切っていたということになる。
そうまでしても子どもを守りたい、きちんとした教育をしたい、そう願うのが教師なのである。それは珍しいことではない。
そしてそれが“当たり前”であるということが日本の教師の偉大さを物語っている。
そうではないか?
私立の高校で授業の一部を人材派遣会社の教師に任せるケースが広がるなか、埼玉県の私立高校が業務の指示を巡って労働者派遣法に違反したとして、東京労働局から是正の指導を受けていたことが分かりました。
行政指導を受けたのは、埼玉県の「正智深谷高校」と、この高校と契約を結んでいた東京の人材派遣会社です。
関係者によりますと、この高校は、ことし3月までの2年間、社会科の一部の授業を人材派遣会社の教師に任せる委託契約を結んでいました。
委託契約では、学校側は教師に対し業務上の指示はできませんが、実際は授業の進め方について直接、指示していたということで、東京労働局は今月、労働者派遣法に違反するとして、学校と人材派遣会社に是正を求める指導を行いました。
この高校は「法律をよく理解していなかった」としたうえで、労働局の調査を受けて先月、ほかの13人の派遣教師との委託契約を見直したということです。
全国の私立学校の教員で作る「全国私立学校教職員組合連合」は、少子化などの影響で、全国の私立高校の間では、授業の一部を人材派遣会社の教師に任せるケー スが広がっているとしたうえで、「直接指示できない委託契約は学校の現場ではそぐわない。不安定な雇用が広がれば、教師は不安を抱えながら授業を行うこと になるので、教育の質にも影響しかねず、早急に実態を明らかにしたい」と話しています。
少々説明がいる。
労働者派遣法は派遣労働者を守るための法律である。派遣労働者は派遣会社との間で労働契約を結ぶのだが実際の職場は別会社にある。そのため派遣先で契約にない無理な業務指示を受ける可能性が出てくる。労働者は立場上それを断りきれない。そのため派遣法は派遣先企業が労働者に業務指示することを禁じているのだ。
派遣先企業が契約外の何らかの理由で新たな業務指示をする必要が生まれた場合は、派遣会社を通じてその変更を行わなければならない。
学校においてこれが問題になるのはALT(ネイティブの英語をしゃべる英語科の補助指導員、普通はアメリカ人やカナダ人など)についてである。学校の授業の場合派遣法の規定により、授業前に英語科教員とALTは打ち合わせができないことになっている。そこで業務指示が出てしまうからだ。また授業中のやり取りもできない。
ALTの出る場面は、丸ごとそのALTに任せなければならないのだ(もちろん派遣法に基づく派遣会社からきているALTの場合であって、市町村に雇われている等の場合は違う)。
直接指示できない委託契約は学校の現場ではそぐわない。
確かにその通りである。しかし学校に潤沢な資金がなければそうするしかないだろう。
ところで学校には市町村が雇ったわけでもないのに、市町村立の学校に勤めている職員がいっぱいいる。私たちだ。
私たちは都道府県で採用され都道府県から給与の支給を受けている。その上で市町村立の学校に、いわば派遣されているのである。したがって派遣法の理念から言えば都道府県からの業務指示のみに従っていればいいようなものだが、そうはならない。両者の指示に従わなくてはならないのだ。
教職多忙化の原因の一つは、そんなところにもある。
公立中学校の部活動で、運動部の休日の指導をスポーツコーチの派遣企業に委託する試みが東京都内で始まった。部の保護者会が企業と直接契約を結び、生徒1人あたり1回500円を払う。休日出勤の負担から顧問のなり手が不足する中、顧問なしでも土日に練習できるようにする。
この試みを始めたのは、杉並区立和田中学校(代田昭久校長)。和田中は「部活イノベーション」と呼び、形式的には学校の教育活動と切り離している。
和田中では4年前から保護者や住民でつくる「地域本部」が進学塾と契約し、有料授業の「夜スペシャル」(夜スペ)を続けている。今回の試みは、その「部活版」といえそうだ。
学校教育のかたちは地方ごとにかなり異なる。
東京都では休日出勤の負担から顧問のなり手が不足するという状況があって「部活イノベーション」のような試みがおこなわれる。
私のところは教員の負担軽減のため県教委が「土日いずれか一方を部活禁止とする」としたところ、さらに練習をさせたい保護者が組織をつくり、ボランティアのコーチを探して休日の練習をやってもらうようにした。これが「学校社会体育」である。一か所でそれが始まると他の学校も追従せざるを得ない。始めた学校はほぼ例外なく強くなれるからだ。どの親も自分の子がみじめに負けるのを見たくはない。
かくして部活は学校の鎖から解き放たれた。校長の責任で行われるものではないから、時間も場所も練習相手も無制限で決められる。極端なことを言えば、都会の強豪校と丸一日練習ということも可能となった。さらに週日も学校の部活が終わった後、学校社会体育のコーチが顧問と交代して、9時でも10時でも練習を続けていいということになった。もはやルール無用である。
ただし問題は残った。それは人材の潤沢な都市部ならまだしも、私のところのようなド田舎では適当なボランティア・コーチなど容易に見つからなかったということである。野球くらいならいる、しかしバスケットボールの専門家もバレーボールの専門家も吹奏楽のプロもいるといったようなところはそうはないのだ。
そこで親たちは本来の部活顧問に目をむける。これだと指導の一貫性・継続性においても何の問題もない。むしろ好都合だ。部活顧問の方も、保護者との人間関係上これを断ることができない。
こうしてもともと「教員の負担軽減」が目的だった「土日いずれかの部活禁止」は、顧問を際限なく使役させる結果となってしまった。
スポーツ・コーチの派遣企業などという便利な組織があり、その都度500円を払ってくれる保護者がいる和田中は本当に特別な例である。私のところには月額2000円〜4000円といった参加料さえ支払えない子もいる。「貧乏人の子は部活で選手になれなくてもいい」と言わんばかりの「部活イノベーション」、ウチではとてもできたものではない。
さいたま市の市立中学に通う3年の女子生徒が8月下旬、マンションから飛び降り自殺をしていたことがわかった。生徒は友人関係で悩んでいたといい、学校は背景にいじめがなかったか、同級生らに話を聞くなどして慎重に調べている。
市教委や学校などによると、女子生徒は8月24日午前、自宅近くのマンションから飛び降りたという。生徒は1学期、友人関係がこじれ、無視されるようなことに悩んでいたという。学校もこれを把握し、仲を取り持とうとしたが生徒に固辞された。自殺前に複数の同級生の名前を挙げたメールを母親に送っていたといい、遺族は学校で何があったか調べてほしいと要望しているという。
学校側は遺族側の意向を受けて公表を控えたと説明。「金品を巻き上げられたり、暴力をふるわれたりしていた事実はない」としている。
この記事のポイントは
友人関係がこじれ、無視されるようなことに悩んでいた
と
自殺前に複数の同級生の名前を挙げたメールを母親に送っていた
である。
これだけ条件がそろっていながら、朝日新聞はなぜ「中3女子が飛び降り自殺 さいたま、いじめが原因か?」と書かなかったのか、それが私には解せない。これまでの報道ではほぼ確実にそう書かれていたケースである。
もしかしたらいじめよりはるかに明確な自殺原因が明らかになっているのかもしれない。あるいはそうした遺書が残っていたからかもしれない。
しかしそうではなく、学校は背景にいじめがなかったか、同級生らに話を聞くなどして慎重に調べている、その調査の最中だから安易に「いじめ」という言葉を使わないようにしよう、そういう配慮なら大いに歓迎したい。
大津の事件でもそうだったが、「いじめ」という言葉が出たとたんに“加害者”の親は一気に硬化する。その言葉ために子どもが社会的から抹殺されると感じれば事情聴取の拒否から転校・転居までありとあらゆる手段を使う。それが親心というものだ。
また「いじめ自殺」という言葉が記事に載っただけで、ネチズンの調査が一斉に入り、顔写真や家族関係住所など、“加害者”の情報のすべては一斉にネット上に曝される。
もちろん裁判の結果“いじめはなかった”“いじめと自殺の因果関係は明らかでない”となると最初に取り上げたサイトの個人情報は削除されるが、それが何の意味のないことはネットに詳しくない私ですら知っている。
もし今回の扱いが朝日新聞の配慮なら、それは素晴らしいことだ。ぜひとも続けていただきたい。