キース・アウト
(キースの逸脱)

2015年 1月

by   キース・T・沢木

サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。
政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。
落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。

ニュースは商品である。
どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。
ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。

かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。
甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの本物そっくりのまがい物のダイヤ
人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄
そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。


















2015.01.11

教職員実質900人増へ 専科指導、事務職員拡充 小1、2の35人学級維持


[産経新聞  1月10日]


 政府は10日、平成27年度の公立小中学校の教職員定数を実質的に900人増やすことを決めた。理科や英語などの専科指導を充実させる小学校や、低所得世帯が多い地域の小中学校に重点配置するほか、教員の負担を減らすために事務職員を拡充する。

 教職員定数は学級数などによって算定される。文部科学省によると、27年度の教職員定数は児童生徒の減少に伴う自然減で3千人減るのに加え、学校の統廃合などの影響でさらに千人減り、計4千人減。

 文科省は減少する4千人のうち、900人分を政策目的に応じて配分する「加配定数」で措置し、教育環境の充実を図る。最終的な定数は26年度より3100人減となり、財務省は自然減の3千人を除いた100人の純減としている。27年度の教職員定数は約69万4千人となる。

 財務省は昨年10月、35人学級は教育上の明確な効果がみられないとして、40人学級に戻すよう求めていたが、維持が決まった。



 実際の仕事の多寡とは無関係に決められるのが教員定数である。
 45人学級の時代に比べれば潤沢になったとはいえ、それを上回るペースで仕事は増えていく。そのことはまったく考慮されない。
 単純に言って、小学校では生活科・総合的な学習の時間・外国語活動――教科関係だけで三つも増えた。他に学校評価・教員評価・地域との融合、その他。もちろん子どもや保護者が難しくなったことも教員を追いつめている。

 3000人が自然減、1000人が統合などによって減るとなれば、それをそのまま残せば多少は違うかもしれないのに、しかし財務省は冷徹に切り取る。そして900人戻し、それが
「教職員実質900人増へ 専科指導、事務職員拡充」となって、あたかも身銭を切って教育に力を入れているように見せるのだ。

 義務教育の学校は全国でおよそ3万5千。900人の増員は一校あたり平均0.03人。ないよりマシとも言いにくい数だ。