キース・アウト
(キースの逸脱)

2016年11月

by   キース・T・沢木

サルは木から落ちてもサルだが、選挙に落ちた議員は議員ではない。
政治的な理想や政治的野心を持つ者は、したがってどのような手段を使っても当選しておかなければならない。
落ちてしまえば、理想も何もあったものではない。

ニュースは商品である。
どんなすばらしい思想や理念も、人々の目に届かなければ何の意味もない。
ましてメディアが大衆に受け入れられない情報を流し続ければ、伝達の手段そのものを失ってしまう。

かくして商店が人々の喜ぶものだけを店先に並べるように、 メディアはさまざまな商品を並べ始めた。
甘いもの・優しいもの・受け入れやすいもの本物そっくりのまがい物のダイヤ
人々の妬みや個人的な怒りを一身に集めてくれる生贄
そこに問題が生まれれば、今度はそれをまた売ればいいだけのことだ。


















2016.11.14

マンション住人同士「あいさつ禁止」 神戸新聞投書が大波紋

[J-キャストニュース 11月9日]


「マンション内ではあいさつをしないように決めてください」――。神戸新聞の読者投稿欄『イイミミ』に寄せられた、住民同士の「あいさつ」をめぐる投書がインターネット上で賛否両論の波紋を広げている。

投書を寄せたのは、神戸市内のマンションで管理組合の理事を務めている男性(56)。住民総会で「マンション内でのあいさつ禁止」が決まったことについて、「理解に苦しんでいます」と訴えている。ネットの反応は、大半がこうしたルールに疑問を投げかけるものだが、中には「理解できる」という意見も出ていて、マンションの住人関係の難しさを垣間見せている。

「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えている」
 話題の投書は2016年11月4日付の神戸新聞夕刊に、『理解に苦しんでいます』というタイトルで掲載された。
 投書によれば、住民同士で「あいさつをやめましょう」とのルールが生まれたのは、小学生の子供を持つ親が発した一言がきっかけだった。その親は、マンションの住民が集まる総会の中で、
「(子供に)知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めてください」
と提案したという。その上で、子供には声をかけられた相手が住民かどうかを判断できないことから、「教育上困ります」とも話していたそうだ。
 この提案に、総会に出席していた年配の住民も賛同。あいさつをしても相手から返事がなく「気分が悪かった」として、「お互いにやめましょう」と意見が一致し、最終的に「あいさつ禁止」のルールが明文化されることになったという。

「単純に寂しい」「これは仕方ない」
 一連の顛末について、投稿者は「世の中変わったな、と理解に苦しんでいます」と投書を結んでいる。
 この投書は、あるネットユーザーが紙面を撮影した画像をツイッターに投稿したことをきっかけに拡散され、大きな注目を集めることになった。ツイッターやネット掲示板には、
「あいさつできるか否かでトラブル減ると思うんだけど」
「将来的にも困るし、逆に誰が近所の人なのかわからない方が困る」
「挨拶しないことがどう防犯に繋がるのか分からないけど、挨拶しないことによって失うものはたくさんある」
などと「あいさつ禁止」のルールに反対する意見が続出。そのほか、「単純に寂しいわ」「日本も変わってしまったなぁ」と投稿者の心情に同調する声も目立った。
 その一方で、
「近所とかかわりのない生活したい人だっている」
「(マンションは)他人の集合体だからこの警戒も理解はできる」
「これは仕方ない。あいさつを教える機会は親戚づきあいや学校など、ある程度安全な環境で設ければいい」
など、あいさつを避けたい住民の心情に理解を示す声も、多数派ではないものの、一定程度の割合で存在する。

「毎回挨拶する」マンション住民は2割
 実際、今回のように「あいさつ禁止」のルールを決めたマンションは他にあるのだろうか。マンション管理に関する電話相談が年に8000件以上寄せられるという「マンション管理センター」の広報担当者は11月8日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「マンションの住民があいさつを禁止するルールを決めたという話は、これまでに聞いたことがありません」
と話していた。
 京阪電鉄不動産が2012年に実施したマンション住民へのアンケート調査によれば、「近所の方とすれ違う時に挨拶を交わしますか」という質問に、「毎回挨拶をする」と答えた人は22.0%。残りの内訳は「たまに挨拶する」(50.0%)、「ほとんど挨拶しない」(16.7%)、「全く挨拶しない」(11.3%)で、8割近くの住民があいさつに消極的だという結果だった。

 
 
 これ、ホントの話なのだろうか? まさか大昔の「口裂け女」「なんちゃっておじさん」の類ではないだろうな?
 
「もしかしたら都市伝説」みたいな話にまともなコメントをするのもばかげているかもしれないが、
「(子供に)知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めてください」
などというアホな発言に、
あいさつをしても相手から返事がなく「気分が悪かった」として、「お互いにやめましょう」と意見が一致し
もばからしく、この問題を取り上げたマスメディアも有効な反論ができないのがアホくさい。
 
そもそもこれはかつてのニューヨーク・スラムの話なのか? ISに占領されたアラブの町の話なのか? 

「これは仕方ない。あいさつを教える機会は親戚づきあいや学校など、ある程度安全な環境で設ければいい」

 って
、都会のマンションはどこまで危険なんだ! 家庭や地域でやらないことを学校に押し付けられても困る。
 

 
だいたいこの日本で、あいさつしたばかりに親しくなって誘拐された子どもが何人いるんだ? 「こんにちは」と言ったから連れ去られたなどといった話、私は全く聞いたことがない。
 その代わり、
人とのコミュニケーションが取れないばかりに社会に出られない人間が何十万人もいて、ろくに挨拶もできないと顰蹙を買っている若手社員が何十万人もいる事実は知っている。そして見て来た。
 初対面の人にどう話しかけたらいいのか分からずにおどおどしている人間も何人も見てきた。子どもをそんな大人にしてはいけないのだ。
 
知らない人にあいさつされたら逃げるように
 ふざけんじゃないよ。あいさつされるたびにギャーギャー言って逃げ回っているお宅の息子はほとんどバカだ。
 
幼児児童の殺害や暴力・虐待だったら知らない人より知っている配偶者、同居人、もしかしたらアンタ自身のほうがはるかに危険だ。そのことは毎日ニュースを見ているだけでわかる。
 危険なのは親なのに、だからと言って「親に声をかけられたら走って逃げなさい」とは、さすがのアンタも言わないだろう。

 子どもは道で出会った人とはできるだけ挨拶をしなければならない。そうやってコミュニケーションの力をつけなくてはいけない。そして気持ちいい人間関係を結ぶ能力を身に着けるとともに、自分を守ってくれるセーフティ・ネットを広げなければならない。それは人間から逃げ回っていたのではつけられない力だ。
 
 どうせ危険な人とそうでない人との区別なんかつけられはしない(それができるなら毎日報道される特殊詐欺に引っかかる人なんかいない)。しかし日本にいる限り、それでも大丈夫なのだ。犯罪に会う可能性なんてほとんどない。
 
60年以上生きてきた私が生涯に会った犯罪は2回。一度は深夜の車上荒らし、もう一度はすり被害だがそれもローマの地下鉄でのことだ。 財布の入ったバッグで席取りをしてトイレに行ける国で、
 
知らない人にあいさつされたら逃げるように
 など笑止千万。
 しかもあいさつしないことをマンションの規約に盛り込んでもらおうなど、自立性のかけらも感じられない。こんな人に、
「教育上困ります」
などと教育を語られても、こちらこそ困ります。







2016.11.22

「AIの性能を上げている場合ではない」
──東ロボくん開発者が危機感を募らせる、AIに勝てない中高生の読解力


ITmediaニュース 11月21日]


 東大合格を断念したAI「東ロボくん」。2016年は理系数学で偏差値76.2を記録したが、問題文の意味を理解しないAIに8割近い高校生はなぜ勝てなかったのか。NIIの新井教授が語った。

 「東ロボくんの性能を上げるよりも、中高生の読解力向上が直近の課題」――国立情報学研究所(NII)が14日に開催した人工知能(AI)開発プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の2016年成果報告会で、中心メンバーの新井紀子教授が警鐘を鳴らした。
 NIIの調査によれば、中学生よりも(文脈を理解できない)AIのほうが文章を読めているという事例があるという。「正直言って、東ロボくん(AI)の性能を上げるよりも中高生の読解力を向上させるほうが国民としては直近の課題だ」(新井教授)。


8割の高校生がAIに敗れた理由
 同プロジェクトが発表した2016年の結果によれば、東大の2次試験を想定した論述式模試「東大入試プレ」(代々木ゼミナール)の理系数学で、東ロボくんが偏差値76.2という高スコアをマーク。その他の科目も安定して偏差値50以上を取れるようになったという。

 しかし、同プロジェクトは「選択と集中」を理由に東大合格を断念。NIIは「AIは意味を深く理解しなくてはいけない問題が苦手。論理的に解こうとしたときの限界がある」(新井教授)といった理由から、今後はAIが得意なことを伸ばして産業応用への道を目指すと発表している。

 新井教授が問題視するのは「AIが問題文の意味を理解していないにもかかわらず、どうして8割もの高校生がAIに敗れてしまったのか」という点だ。
 1つの考え方として「AIが得意とする計算や暗記が人間は苦手」というものがあるが、新井教授は「中高生も、AIと同様に教科書や問題文が読めていないのでは」という懸念をもとに、全国1万5000人の中高校生を対象として「日本語の文を読んで意味が理解できているか」という調査を2015年から開始した。
 例えば「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている」という例文から「オセアニアに広がっているのは(   )である」という文の空欄にあてはまるものを選ぶ問題がある。
 文章をしっかり読めば、答えがキリスト教であることは明白だ。しかし、全国約1000人の中高生のうち、約3割が正答を選べなかったという。他にも問題文に回答が書いてあるような同様の問題で、文章を正しく読み取れない生徒が一定の割合で存在しているという。

 これらの問題は、文を理解する必要があるためAIも同様に解くことが難しいものだ。その一方で、AIが得意とする「計算」や「暗記」といった問題は、中高生も比較的正答率が高くなるという。つまり、中高生とAIの得意分野と苦手分野が重なってしまっていることになる。

AIが苦手なことは、中高生も苦手
 新井教授はこの結果に対してショックを受けたという。「計算の正確さと暗記の正しさで人間がAIに負けることは何も問題はなく、人間はAIを使って生産性を上げていけばいい。しかし、(AIが苦手な読解力を伸ばさずに)AIが得意とする分野で人間が対抗しても勝てないだろう」(新井教授)。
 AIが進歩して社会に浸透していくなかで、人間は人間らしい読解力や意味理解を深めることで差別化していく必要がある。このままでは社会に格差や分断が広がるのではと新井教授は危機感を募らせる。これに伴い、NIIは文章を正確に読み取る力を測る「リーディングスキルテスト」(RST)を開発・提供すると7月に発表している。
 「例えば原子力発電所の業務マニュアル。教科書より難しいことがマニュアルや仕様書、指示書には書いてあり、読めない人が作業をしたらリスクがある。これは資本・民主主義の危機ではないだろうか」(新井教授)。
東ロボくんが実際に書いた解答用紙。動画はこちら



 これほどいかがわしい文章に出会うことはめったにない。
「論述式模試「東大入試プレ」(代々木ゼミナール)の理系数学で、東ロボくんが偏差値76.2という高スコアをマーク」
「AIは意味を深く理解しなくてはいけない問題が苦手。論理的に解こうとしたときの限界がある」

 この二つを並べてすんなり状況が理解できる人がいるだろうか。

 偏差値というのは受験者が正規分布する場合、40から60の間に約68.3%、30から70の間に約95.4%、20から80の間に約99.73%が含まれるようにつくられたものだ。したがって
東ロボくんの偏差値76.2というのは信じられないほど高い値と言える。全受験生のほぼ2〜3%しか取れない好成績なのだ。
 ちなみに各種大学ランキングで常に最上位にいるのは東大理V、慶大医学部などだが、それでも偏差値は72〜73である。数学に関して言えば東ロボくんの入れない大学はない。
 
 しかも記事になっている模試は「論述式」で、写真で見る限り日本語の文章で答えを書いている。
意味を深く理解しなくてはいけない問題が苦手論理的に解こうとしたときの限界がある東ロボくんがなぜそんな高得点が取れたのか? 数学は論理の塊だと思うが――。
 
 さらに不可解なことがある。
 
新井教授が問題視するのは「AIが問題文の意味を理解していないにもかかわらず、どうして8割もの高校生がAIに敗れてしまったのか」という点だ。
 もちろんこれは理系数学の偏差値76.2を念頭に置いたものだろうが、先ほども言った通り、東ロボくんに勝てなかった模試受験生は8割ではない。9割7分だ。
 しかも先ほどまでは
意味を深く理解しなくてはいけない問題が苦手だった東ロボくんはさらに一歩下がって問題文の意味を理解していないレベルまでダメになってしまっている。
 

 話がどんどん分かりにくくなってきたので、これを運動能力に置き換えてみよう。
 つまりこうだ。
 
陸上競技100m走で、東ロボくんは上位3%の好成績を挙げた。
 東ロボ君は瞬発力を発揮することが苦手。短距離を走ろうとしたときの限界がある。
 東ロボくんが走れないにもかかわらず、どうして97%もの人たちが敗れてしまったのか。

 ホラ、全く変だ。
 
 もしかしたら東ロボくんの「瞬発力を発揮することが苦手」「走れない」は、文の前に「ボルトなどオリンピックのファイナリストのように」といった特別な修飾の付く話なのかもしれない。
 
 さらに新井教授の迷走は続く。
「計算の正確さと暗記の正しさで人間がAIに負けることは何も問題はなく、人間はAIを使って生産性を上げていけばいい」
 そりゃそうだ。だから遺伝子解析などはスーパーコンピュータにやってもらったりしている。
「しかし、AIが得意とする分野で人間が対抗しても勝てないだろう」
――え? だれがAIが得意とする分野でコンピュータに対抗しようとしてるって? 手計算で遺伝子解析をやろうとしているヤツはいないだろう。

 そしてついに話の核心に至る。
「例えば原子力発電所の業務マニュアル。教科書より難しいことがマニュアルや仕様書、指示書には書いてあり、読めない人が作業をしたらリスクがある。これは資本・民主主義の危機ではないだろうか」(新井教授)。

 結局そういうことだ。
 教育改革に関する話の多くが「日本をけん引するスーパーエリートを育てるためには」という本来は文頭に置くべき言葉を隠して語られる。
(日本をけん引するスーパーエリートを育てるためには)小学校の低学年から英語を学んでおく必要がある。
(日本をけん引するスーパーエリートを育てるためには)高校卒業時に英語で簡単な討論ができるように教育しておく必要がある。
(日本をけん引するスーパーエリートを育てるためには)小学生のうちからプログラミングの基礎技能を培っておく必要がある。
(日本をけん引するスーパーエリートを育てるためには)単なる知識ではなく、事象から真理を紡ぎ出す力をつけておかなければならない。
(日本をけん引するスーパーエリートを育てるためには)先生の言うことをハイハイと聞いてそのままやっているようではだめだ。

 
 新井先生、大丈夫だ。
 原子力発電所の業務マニュアルを読んで作業に移す仕事をしているのはごく特殊な人間だ。たいていの作業員は作業内容の説明を受け、指示に従ってきちんとやっているに過ぎない。
 私を含めて、世界中の97%くらいの人はそのように仕事をし、暮らしている。
 航空機の操縦マニュアルや危機対応マニュアルを読んで仕事に移すのは、免許を持ったパイロットと決まっている。
 病院で内視鏡のマニュアルを確認し、手順書を追って仕事をしているのは外科医の中でも内視鏡手術の専門家だけだ。
 
 私たちがやるべきは、専門外の人が勝手にマニュアルを読んで仕事をしないように見張ったり危機管理システムをつくったりすることであって、みんなが原子力や航空機や内視鏡手術の専門医になるだけの読解力をつけることではない。
 
 おっと失礼。
 
新井教授も記者も「みんな」の話をしているわけじゃなかった。トップ・エリートの育成の問題だった。
 うっかりしているとついつい普通の中高生の話だと思ってしまうところが、私のような平凡な読者の悪い癖だ。







2016.11.23

引きこもり仕組み、一端解明へ
京大教授らマウスの脳内変化確認


[京都新聞 11月23日]


 群れから隔離され不安めいた行動をするようになったマウスの脳内の変化を、京都大医学研究科の成宮周教授と長崎大医歯薬学総合研究科の出口雄一准教授らが突き止めた。人間の引きこもりに関するメカニズムの解明につながるという。米科学誌セル・リポーツに23日、発表する。

 内閣府は、家族以外とほとんど交流を持たない15〜39歳の「引きこもり」の人は、全国で54万1千人いると推計。引きこもり生活を終えたいと思っている人の支援が課題となっている。

 グループは縦30センチ、横20センチのケージで6週間、マウス1匹だけを飼育することで「社会隔離ストレス」を与え、引きこもりに似た状況を再現した。するとマウスは壁から離れないなど、不安を感じているような行動を取るようになった。

 マウスの脳内を解析すると、側坐核(そくざかく)という部位の神経細胞の末端にタンパク質「mDia」が蓄積し、収縮した形に変わっていた。この時、神経細胞の末端から次の神経細胞に刺激が伝わる効率は低下しており、不安そうな行動との関連を示した。

 出口准教授は「新たな抗不安薬の開発に期待できる。引きこもりから脱却する時の一助にもなるかもしれない」とする。


 引きこもり(もしくは不登校)に入り込む理由とそれを続ける理由は別かもしれない、そこに注意を向ける必要がある――私は常々そう言ってきた。
 これまでの指導の過程で、本人が申し立てる理由を一つひとつ丁寧に潰し、さらに現れて来る新たな“理由”にもきちんと対処して、もう何も残らないところまで詰めても決して学校へ出てこないような子がいる、そのときの生徒の気持ちは何となくわかるのだ。
 今更、学校になんか行けない。
 行ってみんなに尋ねられても何と答えららいいのか分からない、勉強が全く分からなくなっているのかもしれない、人間関係に入り込む隙間が残っていないのかもしれない、具体的に、どんな顔で、どんな会話の仕方で、誰と話せばいいのかもわからない、だから今更学校になんか行けない――そういう子がいるのだ。
 
 
 側坐核(そくざかく)という部位の神経細胞の末端にタンパク質「mDia」が蓄積し、収縮した形に変わっていた。この時、神経細胞の末端から次の神経細胞に刺激が伝わる効率は低下しており、不安そうな行動との関連を示した。
 マウスの脳内で起こっていることと全く同じことが起こって社会に出られなくなっている人いる――私には分からないがその可能性もあるのかもしれない。
 そしてまた、さらに別の理由で社会に出られないままの人もいるに違いない。
 
 大切なことは、
 不登校の一部にはそうした薬物療法の効く人がいるかもしれないということ、
 それはごく一部であったにしても研究する価値があると、
 「登校拒否は病気じゃない」と十把一絡げにするのではなく、様々な可能性に多様にあたるということ
 情緒的ではなく、科学的に扱えそうな部分は科学に頼ること、
 そういうことだ。

 
 これがすべてとは思はないが、優れた方向と思う。