次々と話題を変えるのは不良息子の常套手段だ。
「じゃあお父さんはどうなの?」
「じゃあこっちはどうなの?」
「これこれこういった件についてはどー考えるの?」。
速射砲みたいに撃ちまくる息子の言葉にいちいち対応していたら、体がいくつあっても足りない。
子どもとの議論に勝てない最大のポイントがここにある。
「会話」はよくキャッチボールになぞらえられるが、この遊びのルールはいたって簡単である。
「投げる方はできるだけ捕れるように投げるから、捕る方もがんばって捕球しよう。はずしたボールははずした方が取りに行く」
それだけだ。
しかし、不良息子はそのボールを捕ろうとしない。
少し外れたボールを捕球する努力をしないばかりでなく、捕れるボールも必要に応じてわざとはずす。
はずしておいて取りにいかない。
そのくせ、新しいボールを次々と手にしては、とんでもないクソボールを投げてよこす。
これはキャッチッボールではない。
ノックだ。
要するに親が子どもにノックされてる。
ノックでする方がされる方より疲れるなんてことはありえない。
捕る必要のないボールを捕ろうとしてはいけない。
またこちらの投げたボールは必ず拾いに行かせねばならない。