いじめだ、万引きだ、喫煙だ、でも………
オレやってないもん。





誤答
@本当にやってないんだな。
A父さん信じてるぞ。



正答
@お前を疑うなんて許せん!
Aオレがお前の無実を証明してやる。



解説
世に冤罪事件が評判になるたびに「警察の強引な捜査」が問題になるが、冤罪を恐れるばかりに、ヤワな捜査をやっておかげて殺人犯が社会をはびこるのも困りものだと思う。
「強引な捜査はするな、だけど犯人は挙げろ」と、しごく最もだがやたら難しい注文ばかりされる警察には心よりの同情を禁じえない。

こどもがイジメをした、万引きをした、喫煙をしたといった話があったとき、息子に「してないんだな」と聞き「していません」と答えられて、それをまともに学校にもっていったら大恥をかく。
「親がそういう態度だから子どもがああなる」と、(表立っては言わないが)陰でケチョンケチョンに言われる。
一人前の大人として、そんな大恥はかくわけにはいかない。
さて、そこでどうするか、だ。



親が「してないんだな」と聞き息子が「してない」と答える。最初はそれでいい。ここがスタートラインだ。あとは
事実の再現と現場検証、という警察の常套手段に頼るしかない。

とにかく徹底して事実を聞く。
その際のポイントは
「あったことが、ありありと映像のように頭に浮かぶ」である。
まず最初に、何があったか。誰と誰がどんな会話をして、どう動いたか。それから何がどうなって、どれがああなったのか、こちらの頭にすべての映像が浮かぶまで、繰り返し行う。
一段落したらもう一度やりなおす
「さあ、おさらいをしよう」(そうだ、アノ刑事ドラマでやっているお決まりの文句だ)。

常識に照らし合わせて納得できないときは
「分からん!! お父さんはまったく分からん!」と叫び、もう一度詳しい説明を求める。
とにかくイメージが固まるまで果てしなく話し続ける。
それを繰り返していると一連の物語ができあがる。そして
その物語全部がウソだということもあるのだ。


一通りできあがったら物語を抱えて学校に行こう!
どんなにすばらしいストーリーだったとしても、所詮それは息子の一方的な話でしかない。
教師や相手の生徒が何を知っているかは分からない。調書の内容は確認をとらなければならない。


教師との対応は一応下手に出ておく。間違えても高飛車には出ない。
なにしろ提出書類は、息子が無実の罪を着せられているとの正義の証明にもなれば、
とんでもないウソつきだという証拠にもなりかねない。後者のことを考えて、ここはひとまずおとなしくしておく。
それにここから先は教師の協力なしには何もできないのだ。

調査の信憑性は教師を通して証明してもらうしかない。
(ここで大切なのは期日を指定してやってもらうことだ。放っておくと教師はサボる。とにかく連中は忙しいのだ。目の前の仕事しかやらん。だったらこちらの仕事を目の前に置きつづけるしかない)。

そして教師の調査結果がこちらの結果と合えばよろしい。

「やっぱお前を信じて良かった」
と喜び合えばいい。
そうなればお父さんはボクのためにここまでやってくれるのか、と信頼が飛躍的に高まるのは受けあいだ。

もし息子がとんでもないウソをついていたとしたら………怒るにはあたらない。
ウソをついたら親父はここまでやる、と身にしみて分かったはずだ。同じことを3回も繰り返せば、4回目はありえない。



参考

世間では教師が指導すれば子どもはしゃべると信じている人がいる。
しゃべらないのは教師が子どもの信頼を得ていないからだというが、懲罰を受けると分かっているのにやすやすとしゃべる子なんているわけがない。
簡単にしゃべるとしたら、「こいつ何を言っても罰なんかできっこない」と
教師の無能に心より信頼を寄せている場合だけである。

「本当にやってないんだな」で「済みません。実はやりました」と答えるようなら世の中天国だ。
「子どもはウソをつかない」などと本気で言う人もあるが、そんなことはない。
弱い立場の者は、自分を守るためなら必ずウソをつく。

世の中、
ウソをつかないですむのは独裁者くらいなものだ。