誤答
@売春は法律違反だ。
A売春は人間の心をダメにする。
正答
@お前がオチンチンになる。
A夢のまた夢
解説
エンコー(援助交際:売春)が何故いけないかということを、本気で相手に納得させようとすると、これが案外難しい。
売春防止法を盾にとっても、この法律の適用が甘いことは皆様ご承知のこと。
公然ととは言わないまでも、世の風俗産業の一部で売春が行われていることは中学生だって知っている。
その中身を考えたって、とりあえず被害者のいない犯罪だからかなりやっかいで、エンコー女子高生の言いかたを借りれば、
あっちにお金があってこっちにお金がなくて、あっちもこっちも気持ちイクて、ラブホも儲かって、どーしてそれがいけんの?
ということになる。
それじゃあ法律から手を引いて、「自分」の問題に振り替え、
「売春は人間の心をすさませる」
といったところで、これも無理だ。
第一、実証的じゃあない。
「エンコーしたお蔭で心のすさんだ女子高生10人」と「しなかったお陰ですさまなかった女子高生10人」を並べて見せるわけにもいかんだろう。
やれたにしても翌日には、エンコーのお陰で「ブランド商品を取り揃え、モノのお陰で心豊かになった女子高生10人」を目の前に揃えられてしまうのがオチだ。
おまけに「この子、学年成績3番。でもエンコーやってるの」なんてのが連れてこられたら、「心をすさませる」説はあっという間に崩壊してしまう。
ここは1番、徹底的に現実論でやっていくしかない。
ポイントは「何故、父親であるあなたはエンコーがいけないと考えるのか」である。
そもそも本来のあなたは売春がいけないなんて少しも思っていない。
それどころか金があってチャンスがあって、バレる心配がなければ自分だってやってみたいと思っているに違いない(違っていたらゴメン)。
それにもかかわらずなぜ反対するかと言うと、一も二もなくそれは
売春しようとしているのが自分の娘
だからだ。
他所の娘さんの話なら、あなたはそこまでムキにはなるまい。
じゃあなぜ、売春をするのが自分の娘であるときに限って反対するかと言うと、それはあなたが、
1、そんな卑しいことを娘がしていると知られることが恥ずかしいと感じており、
2、ほとんどの場合、売春経験が人生に何のプラスにもならず、極めて不愉快な汚点となることを知っている。
からである。
そしてその感じ方は、絶対に間違っていない。
私たちが売春に対して眉を顰めるのは、それが家庭内の秘め事であるはずのものを「公開の取引き場」に引き出すからだ。
みんなしていながらみんなでトボケて知らぬフリをしているのに、それを白日のもとに曝すから、売春は忌避され、嫌われ、差別される。
その点では、白昼堂々とオチンチンを曝して歩く「変なオジサン」と何ら変わりない。
@お前がオチンチンになる。
はそういう意味である。
もうひとつ
「エンコー娘になれば差別されるぞ」と、そのことは娘に伝えておかなければいけない。
それも重要な点だ。
「後ろ指さされるぞ」
「みんなから白い目で見られるぞ」
「みんなから避けられるぞ」
「エンコーやめてからもいつまでも言われるぞ」
とかいったことである。
注意しておくが、ここではけっして、
「差別は是か非か」とか、
「差別を受けるのが女性だけであることをどう思うか」とか
「肉体労働者(?!)の権利と福利」とか、
「世間の評判がそんなに気になるのか」とかいった、きわめて難しい一般論に流されてはいけない。
もし、売春婦の差別撤廃に立ちあがるならそれは別問題だが、まずエンコーの担当者である限りは誰も本気で聞いてくれるはずない。
フツーの人がしないことをしてタンマリ儲けながら、その上フツーの人のように扱えなどというムシの良い話を聞く人などいるはずがない。
売春に対する差別は、この場合是か非かという問題ではなく、話し合いの前提なのだ。
売春婦という職業婦人に対する差別は確かに存在して、
しかしその差別撤廃運動はさっぱり盛り上がらず、
したがってあなたの娘の生きている限りは決してなくならず、
声高に叫べば叫ぶほど差別を呼びこむ、
そうしたものなのだと、骨の髄まで知らしめてやろう。
ついでに、そうした忌避され、嫌われ、差別される人生についても、伝えておく必要がある。
(どうせ相手は異星人かバカボンなのだ。言葉にできるものはなんでも言葉にしないと伝わらない。言葉にしても伝わらんかもしれんが)
まず、普通の企業への就職は難しいだろう。
しかし一流企業へ就職してしまえばかえって地獄だ。
バレないうちは、いつバレるかと毎日心臓をパクパクさせ、バレてしまえば大騒ぎ。
(一流企業のOLの売春経験が世間でどう扱われるかは「●電エリートOL殺人事件」を例に引くまでもない)
ブラック・ジャーナリズムはこのテの話をてぐすねを引いて待っている。
三年も経てばほとぼりも醒めるが、その頃になるとまたそぞろ特集「あの人は、今・・・」。
30年後は特集「平成風俗史」てな具合で、死んでもつきまとう、それがマスコミだ。
もちろんフツーの結婚なんてとてもできない。
ちょっと目をつむっているだけで一晩に〇万円も稼ぐ生活を送った後で、実質的月収十数万円のサラリーマンの妻など耐えられる筈がない。
もしそれに耐えたとしても、いつバレるかと、ハラハラし通しの人生に幸せなどあるはずもない。
さてフツーがダメなら「特別」というテもあって、まだ若いお前なら、それでもどこかにチャンスが転がっていないとも限らない。
しかし運良く拾った輝かしい結婚や未来というものはもっとしんどい。
玉の輿に乗ったら阿鼻地獄、
タレントにスカウトされでもしたら叫喚地獄・・・・・・。
その地位が輝かしければ輝かしいほど、そこから追い落とされる恐怖は高くなり、目立てば目立つほど昔のお客に気づかれる公算は高くなる。
そんな恐怖にお前は耐えていけるだろうか・・・・・・・。
それが、
A夢のまた夢
の意味だ。
参考
もしかしたらあなたの娘はこう言うかもしれない。
「 一晩限りのお客が、私の顔など覚えているはずがないジャン」
・・・・・・人間を甘く見てはいけない。
私のかつての同僚は1500人近くの生徒全員の顔・氏名・学年・組・所属の部活・兄弟関係のすべてを言うことができたし、別の友人は町で偶然すれ違った男性の顔から25年前の顔立ちを掘り出して、一ヶ月だけ一緒だったかつての同級だと言い当てることができる。また別の友人は、一度でも言葉を交わした相手は一生忘れないと豪語し、しかもそれを実証するような例を山ほど抱えている
のだ。
そう言ってやれ。
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