携帯(電話)を買ってほしい





誤答
@みんなが持っているならしかたないな。
A万が一の時のためなら必要かな。
B妙なところにつなげるんじゃないぞ。
C勉強、しっかりやるんだぞ。



正答
@オレはバカじゃない。

解説
みんながやっていてもダメなものはダメ、というのがこのサイトの基本的態度だ。
教育は多数決ではない。
@は理由にはならない。

「万が一のために」というが万が一の危険回避のために「万が十」か「万が百」くらいの危険を引き受けるのは
指先の傷の痛みが耐えられずに腕を切り落とすようなものだ。
親子の対話のために買ってやったって、雨だから迎えに来いと便利に使われるのが落ち。携帯のない時代の子どもはそれなりに生きてたのだから、今の子だってできるはずである。だからAもダメ。

「妙なところにつなげるなよ」といったって、それをどう止めればいいんだ?
確認方法のない約束は無意味。したがってBも誤答。

携帯を買っておいて「勉強しろよ」は、馬にニンジンをやって食べるなと言うのと同じだ。
また、確実なもの(携帯の購入費)を投げ出して、不確実なもの(勉強する)と交換するというのは、ギャンブルである。
教育をギャンブルにしてはいけない。Cもそれ故アホな答えと言える。



しかし親として、携帯を買うか買わないかで毎日争い、息子の脹れっ面と付き合うのは気分のいいことではない。「もしかしたら約束どおり勉強をする可能性がないわけでもない・・・」と心が動きかけるのもわからないではない。

だが、待て!
昔、これと同じ体験をしたことはなかったか?

そうだ、テレビゲームだ。
あの時だって「みんな持ってる」だの「友達がいなくなっちゃう」だの「不良になっちゃう」だの毎日攻め立てられ、「一生懸命勉強するから」などと甘い言葉を囁かれ、ついに根負けして買ってやった、その結果はどうだった?

親子の争いはなくなったか?
平和な家庭が生まれたか?
心配事はぐっと減っただろうか?

その経過を表にしてみると以下の通りとなる。
テレビゲーム
購入前 買ってくれ戦争
購入後 視力の低下
学力の低下
睡眠時間の減少
外遊びの減少
時間制限戦争
ソフト買ってくれ戦争
なんのことはない。
買ったばかりにむしろ問題は増えているじゃないか。そして買った場合の方が遥かに深刻だ。

同じことを携帯でやってみる。
 携 帯 
購入前 買ってくれ戦争
購入後 学習時間の低下
学力の低下

高額な通信費の支払い
(もしくは子が支払いのためにアルバイトに明け暮れる時間のムダ、そこでつくられる不明の人間関係)

出会い系サイト制限戦争
アダルトサイト制限戦争
学校への持ち込み禁止戦争

不良グループへの接近への心配
誰と付き合っているかまったく分からなくなる不安
etc
etc
ホラこの通り。
携帯を買い与えることは「勉強するな」「不良と交われ」と積極的に進めているようなものじゃないか。

同じ親子喧嘩なら「買ってくれ」「いや買わない」でやっていた方がよほど平和だし経済的でもある。

買ってくれなければ、勉強しない、学校へ行かない、不良になってやる、というふざけたガキは、買ってやったって勉強しない、学校へ行かない、不良になるときはなる。
いや携帯のある分、買った場合にこそ危険は大きいのだ。

ここはどうしても、「買わない」方向でがんばる。

テレビゲームの経験で学んだことを生かさないほど、
「オレはバカじゃない」
のだ。

参考
こんな危険なものを進んで子どもに買い与える親の気持ちが分からん。
しかし将来の危機よりも目の前の戦争回避の方が大好きなあなたのために、ひとつだけ知恵をつけてあげよう(温情だ)。

それは購入の際、
携帯電話の名義をあなた自身にしておくことだ。間違っても子の名義にしてはいけない。
我が子と言えど契約上は他人だ。親がどんなに望んでも他人名義の電話の通信相手、通信時間、アダルトサイトへのアクセス記録などは絶対に教えてくれない。
しかし
自分名義なら堂々と「料金明細内訳書」の請求ができる
それが親らしいやりくちである。