染めてないのに、
髪が赤くなった(金髪になった・紫になった)・・・





誤答
@困ったなぁ
Aしばらく様子を見よう。



正答
@ラッキー!


解説
もはや一般社会において茶髪はメジャーだとか、生徒の個性だとか自由だとかいう話はしたくない。

ここで頭に置いておきたいことは、全国のほとんどの中学校と多くの高校では茶髪を禁止しているということだけだ(禁止の理由については「ケース・バイ・キース」参照)。

したがってあなたの子が茶髪にして学校に通うようになれば、当然教師と対立する。
膨大な量の時間とエネルギーが対教師抗争に使われる。

そしてそんな抗争を見て応援に駆けつける生徒も出てくる。
先輩が来る。
校外の支援者も近づいてくる。

逆に同級生の中から、抗争に巻き込まれることを恐れ、避けて引いていく生徒が出る。

どんなタイプの子が遠ざかり、どういう子が近づいてくるか、あなたには容易に想像がつくはずだ。

「茶髪にする」ということはそういう意味である。
まさに「旗色をはっきりさせること」であり、こちら側からあちら側にシフトする、
不良としてデビューするという宣言なのだ。

したがって、これは全面戦争を覚悟してでも対決すべきテーマである。




さて、茶髪が流行り始めて十数年、この間、私たちが聞かされてきた言い訳は次のようなものである。
妹がコーラをこぼして、それを頭からかぶってしまった。
スイミングスクールで泳いでいるうちに脱色された。
まる一日畑仕事を手伝っていたら、日に焼けて髪の色があせた。
お母さんが使っている毛染めをシャンプーと間違えて使ってしまった。
沖縄のシャンプーを買ってそれで洗ったら茶髪になった。
「塩もみ育毛法」で赤くなった。
しかし、誓って言うが、
コーラを一回かぶったくらいで脱色する髪はないし、繰り返し姉の頭にコーラをこぼすマメな妹もいない。

生徒が全員茶髪になってるスイミング・スクールというものもないし、野良仕事で茶髪になるようなら江戸時代の人口の8割は茶髪だったはずだ。

頭に一度ぶっ掛けただけで髪の毛を真っ赤にしてしまうような強力な毛染め剤もなく、沖縄のシャンプーに罪はない。塩で髪が赤くなるなら、海辺は古代から茶髪族で占領されているだろう。


しかし、
だが、
もしかしたら万が一、ということもある。
ここは一番、徹底的に信じるところから始めよう。

だから、
ラッキー
と言うのだ。



「なに〜ィ、シャンプーで髪が赤くなっちまっただとォ〜。
 コイツァついてるぜ。
 うまくすりゃあ何百万円も取れるぞ、最低でも商品の詰め合わせだ。
 先ず抗議の電話を入れろ。
 弁護士と相談だ。
 ホラ、こっちへおいで、写真とっておこう。
 今日の日付の見える新聞持って・・・。
 そのシャンプー買った店はどこだ?
  (そのスイミングはどこだ? その毛染め買った店はどこだ? ・・・等々)
 領収書はあるか?
 今すぐ行くか?
 明日の予定はどうなってる?」

と、できるだけ真剣にまくし立てる。
親が本気でない、と読まれたらお仕舞いであるから思い切り真剣にやる。
どうしても信じないようなら実際に店まで行って抗議してみる。

そこまで行くと大抵は「すみません。ウソをつきました」と白状することになる。

そうだ。
「すいません」と言わせることが大切なのである。
この時点で「茶髪、是か非か」という問題は回避され、「ウソはいいか悪いか」という問題に摩り替えられる。
もちろんウソは悪い。
そしてこちらの勝ちだ。
参考
大人の社会で許されていることはすべて子どもにも許さなければならないとしたら、中学生の娘の部屋に毎晩男が尋ねて来てベッドを軋ませることにも耐えなければならない(それができるか?)。宿題もしなくていい、そもそも学校にだって行かなくていい、何でもありだ。
親がそうだからといって、子に許されないことは山ほどある。