バンドをやる。





誤答
@お前にできるはずがない。
Aどうやって食ってくツモリだ?
Bサスペンダーの方がよくはないか? バンドはゆるむぞ。(ひねり間違いの例)



正答
@スマン。俺は音痴だ。
Aごめん。予定がなかった。
Bピアノ教室に通おう。

C受験勉強しよう。



解説

ものごとを子どもに許すかどうかが問題になるのは、
こちらがやって欲しくないと思っている場合だけだ。

しかし子どもが何か言い出してその
結果が読めない場合は、とりあえず反対しておいた方がいい

ものわかりのいい顔をしておいて、後で、音量がデカ過ぎる、夜中にギターを弾くな、友だちとの練習は日曜日だけにしろ、髪を紫にして逆立てるところまで許した覚えはないなどと、次々と言わなければならないのウットウしいことだし、子どもにも気の毒だ。
とりあえず反対しておいて、後でゆっくり考えればいい。


「バンドをやる」の意味は、単に音楽演奏をしたいということではない。

「スゲェかっこうをして、ステージでカッコよく演奏して、女の子にキャーキャー騒がれた上で、チャンスがあれば芸能界にデビューして、更にチャンスがあればスターになる」
というむしのいい内容を含む。

また、そんなことをわざわざ言ってくるのは、これも単に挨拶に来たのではない。
「これからギターなどさまざま出費がかさむから、そこ
ところよろしく」という意味である。
したがって
ここは一度は反対しておかなければならない



思えばわれわれが子どもだったころの芸能界はひどかった。
天地〇〇や浅田〇〇〇など、聞くに堪えないものだったが顔さえ良ければそれでもスターだった。
ところが現在は違う。芸能界は今や、天才・秀才と二世と早期教育の天下なのだ。

@芸術的センスのない親(普通はそうだ)の元に生まれたのがキミの不幸だ。
ステージの上で「恥じ」かくぞ。いやいやその前に友だちに見放されるぞ、惨めだぞ……。
そういう思いを込めて
「スマン。俺は音痴だ」と呟く。その上で、若い頃、音楽で苦労した思い出を延々と語り明かそう。
「それがオレとどういう関係にあるんだ!」と叫んだら、静かにこう語る。
「お前は音痴の息子だということだ」



A親が芸能人ではないフツーの家の子が芸能界を目指すためには、早期教育しかない。

 沖縄アクターズスクールの安室奈美恵 、MAX、SPEEDやジャニーズ事務所の子どもたち・・・・・・Xジャパンのヨシキは3歳の頃からクラシックの英才教育を受け、一時は芸大受験も目指していたというサラブレッドだ(マスコミの言うことだからどこまでホントか分からないが)。
今も2〜3歳のころから芸能学校に通ってビシバシ訓練を積んでる子はウジャウジャいる。
今ごろから彼らと対抗するなどムチャだ。
「スマン、予定がなかった」はそう言う意味。



B計10時間ほどもあれこれ話をして、両者疲れ果て、しかしそれでも意志が固くどうしてもやりたいというなら、応援するしかないだろう(親子の「話し合い」および「話し合いモドキ」は、常に疲れ果てるまでやるものだ)。
二世でなく早期教育も行ってこなかったとなると、あとは天才・秀才の道しかない。
ピアノ教室に通わせてやるっきゃない。「ピアノ教室に通おう!」。

「ちょっと待って話しが違う」と言い出したら「お前は本気なんだろ?」と追い討ちをかける(本気じゃないとは絶対に答えない)。
「だったらここからやらなくちゃダメだ。バンドやるヤツなんか世の中に腐るほどいる。
その中で目立とうと思ったら、基礎からみっちりやるしかないのだ。
お前が本気である以上オレも本気でやる。お父さんもがんばるぞ!」と派手にブチあげて見せるのだ。

で、本当にやってしまったら?……大丈夫、大丈夫。
根性がないのが不良少年の最大の特徴。続けられっこない。
それに間違って続けられても、ピアノの習得はあらゆるお稽古事の中でもっとも時間のかかるものだ。
間に合いっこない。
レッスン料はムダになるが、息子を間違った道に進ませないための投資と思えば安いものである。


C「かわいそうだが、お前にはロックスターになれる何の力もつけてやらなかった。だが今からできることもある。それは優秀な連中にお前を引き合わせてやることだ」


東京藝術大学大学院修士課程卒業(!)の坂本龍一を始めとして、今日のロックアーティストの高学歴には目を見張るものがある。
特に第一線で長く続けている連中は、妙にいい学校を出ている例が多い。
サザン・オールスターズは青山学院、聖鬼魔Uが早稲田、松任谷由美は立教女学院。
山下達郎は明治、細野晴臣は立教、竹内まりやは慶応。Be'zの稲葉、加藤雅也が横浜国大
最近では嵐の櫻井翔が慶應義塾大学経済学部卒業。
元オフ・コースの小田和正などは東北大学工学部建築学科卒業、早稲田大学大学院理工学研究科修了といったすごさだ。


そりゃそうだ。
ヒットするに足る曲をつくりアレンジし、数十時間もかかるリハーサルや調整を経てやっと一曲つくり上げるといった地味で粘り強い取り組みは、
厳しい受験勉強に耐えられるようなヤツにしかできない
だとしたら、息子も
一流高校→一流大学の道を進ませてやるしかない。

「受験勉強を徹底的にしよう!」



参考


上記の対応のひとつひとつに意味があるわけではない。要は息子を疲れさせること、シラけさせること、そしてこのままオヤジの言うことに乗っていたらどこへ運ばれていくか分からないと、恐怖させることである。