続けるということ(研究所の会報から)

 

                                           高橋敦子

 

 

 

  「つばき教育研究所」が開かれて十数年、たちました。今100人前後の子ども

たちが適所しています。この間、ずっと通い続けてきた方も、いらっしゃいます。私

も、ずっと続けてきた1人です。これまで子供の指導を通して多くの事を学びました。

 子どもは、いつも本当の姿を私たちの前に表している事。その行動や言動には

意味があるという事。指導者は常にそれらの意味を考えなければならない事。学習

内容や学習方法が理解できない時、あらゆる角度から考えれば必ず打開策がみつ

かるという事。指導者が、わかる事や学習する事は楽しい、おもしろいと感じなけれ

ば、その事を伝えられない事。また人とのコミュニケーションは楽しい、おもしろいと

感じなければ、やはりそれもまた伝えられない事。その中で私が一番に学んだこと

は、子供も私も、変わりうる存在であるという事でした。
 
 子どもが変わるという事をあげれば、教材を呈示した時の様子です。やりたい時、

教材が出るとやみくもに手を出す段階から、よく見てから、手を出す様になり、やり

たい教材が選択できる様になります。やりたくない時は、始めは拒否なのかよくわか

らない段階から、手をださない、横を向く、教材や指導者と目を合わさない、教材を

押し返す、はらいのける、はらいのけながら声を出す、離席する、教材を投げる。

あげくは押し問答になります。それから「1回ね。」 「まっ1回ならいいよ。」と折り合

いをつけたり。「これでどう。」 「これならわかるよ。」と、お互いに理解し合える様に

なります。課題ができた時の様子も変わってきます。課題が終了しても手をひかな

い段階から、手をひく、母親の方を向く、指導者の方を向く、指導者の顔を見て笑

う。そしてお互いに笑い合う様になります。この様に何人もの子どもたちの変わる

姿をみてきました。長い間接してきた子供の顔のひきしまったしっかりした表情に、

はっとすることが度々ありました。

 私自信も変わりました。子供の前で何もできない状態から始まり、教えられた通り

に教材を出す、引っ込める、型通りに誉めることができる段階をへて、少しずつ子

どもの行動がみえてくる様になりました。それからこの様な行動をするのは何故なの

か考えられる様になり、どこに呈示すれば良いのかいつどこでどんなことばかけを

すれば良いのか、いつ撤去をするのかがわかる様になり、課題の内容を考えられ

る様になりました。そして、子どもの課題に向かう姿勢に、心から賞賛できる様にな

りました。このような私自信の変化と成長の中で、最も変わったのは、人に向かう

姿勢、事柄に向かう姿勢、自分自身の生活.に向かう姿勢ではないかと思います。

これらに対して、真正面に向き合い、常に真摯でありたいと患う様になりました。

子どもの成長の過程に関わるということは、自分の生き方を常に問われることなの

だと、続けてきて、わかった様な気がします。私にとって、子どもから、親の方から、

仕事から学んだ事は、はかりしれな.いものがあります。

 今年の会報には、小学校から研究所に通い続け、作業所に通い始めた子どもの

親の方の感想文が載っています。節目節目で悩み考え解決してきた歴史がありま

した。

 続けるという事、それが変わる事になる様に、これからも努力していきたいと思い

ます。

 

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