記事タイトル:外伝〜壁掛けの絵〜 


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お名前: 管理人syu   
今更、外伝〜壁掛けの絵〜に対する感想ですが、
まさに、大団円と形容するにふさわしいHAPPY ENDですね。
タイトルに外伝とついていますが、思い出のオンボロアパート 〜壁掛けの絵〜の
物語は、この話をして、完結といえるものだと思います。
全ての登場人物のその後を、あますことなく描き上げているのは素晴らしいです。
本当に素敵な物語をありがとう…と言う気持ちでいっぱいになりました。

物語はひとまず(?)完結しましたが、まだまだ物語の中の登場人物達の時間は流れて
いて、今後の彼らの生活ぶりが頭に浮かぶようです。

この掲示板の中で、生まれた異色の連載でしたが、このまま埋もれさせるのは
もったいないので、塔間さんの提案のように、僕のHPのコンテンツの1コーナーに
まとめたいと思います。もう少し、お時間を頂くと思いますが、よろしくお願いします。
[2000/06/11 21:00:21]

お名前: 塔間潤    URL
今更感想ですが…だいぶ遅いですね(^^;)

登場人物のその後ですね。
作品をしめくくる“エピローグ”といった感じでいいと思います。
それにしても…まさか主人公がKIYOSHIと結婚していて、しか
も子供までつくっていたとは…(・o・)!
あと、大家さんは本編中に登場しなかったので、一瞬誰なのかと考え
てしまいましたが、名前でわかりましたよ(^-^)
私が付けたんですよね〜そういえば♪
他の人たちの“その後”もいい雰囲気出ていました。
だけどこの作品は、掲示板に書かれている事もあって、訪問者の方が
最初から読むのは難しいですよね。
3000Hitのお祝いということもあるし、これは是非、今までの
ストーリーをまとめたコンテンツを設置して、もっとたくさんの人に
見てもらう事を考えてもいいのではないでしょうか?
ガンガゼさんに挿絵を依頼できるといいんですけどね。
もう一度みなさんで相談されてはどうでしょう?
[2000/05/30 04:40:41]

お名前: 管理人 syu   
…。
シャルトさん。
久々の壁掛けの絵 外伝 じっくりと読ませていただきました。
なかなかの分量なのと、いろいろな思いが交錯していて、ゆっくりと
噛み締めて味わわせてもらいました。

Syu’s Toy Box 3000HITプレゼントということで
ありがとうございます。
つい、先日もHOMEHOME1000HITを踏んだ記念で素敵なCGを
もらったばかり(掲載にあたりご連絡できず申し訳ありません)。
シャルトさんには、何かお返しをしないといけないと思うのですが、
どういうもので返したら良いのか模索中です。

他にも、積もり積もった(?)話をしたいのですが、まだまだ僕は、完全復調して
いないので(でもシャルトさん達の励ましでだいぶ元気になれました)、今日は
ここまでとさせていただきます。

PS
肝心の外伝の感想は、明日以降、再び書かせて頂きます…。
すいません...。
[2000/05/25 23:46:14]

お名前: シャルト    URL
今回は疲れました。
一気に書き上げたとはいえ、ずいぶんな量ですし、
毎度ここに書かせて貰っているのが申し訳ないぐらいです。
それで今回は題名の通り、外伝なのですが、
物語に登場した人々のその後も含んでいます。
まぁ、結構みんな幸せそうですけどね。

今回はSyu’s Toy Boxの3000HITプレゼントです。
遅れまして申し訳ありませんが、おめでとうございます。
それでは、失礼いたします。
[2000/05/25 01:51:21]

お名前: シャルト   
「信吾ー、どこー?」
女の呼ぶ声、オレは一息ついて、
「ここだー、いつものところだー。」
大声でオレのいる場所を、女に知らせる。
トントンと、階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
「あ、いたいた。ねぇー、まだ出かけないのー?」
女はオレに後ろから抱きつきそう言った。
「信吾、またその絵見てたの?好きねぇー。」
女は微笑みながら言う、
「ああ、この絵は特別だからな・・・。」
「ふーん・・・。ねぇ、そんな絵はいいから、はやく行こうよー。」
オレは、ああと言って部屋から出ようとする。
女はもう先に下に降りて待っている。
オレはもう一度、部屋の中をぐるりと見渡した。
オレは、なぜだかおかしくなり、小さく笑って部屋の電気を消した。
「これからどこに行く?」
「えーとねー、私は・・・・・。」


「社長、これからどうしますー?」
「ん?これからか・・・・。どうしような。」
ワシは元秘書と共に、軽トラに乗っている。
先日会社が不渡りを出し、この有様だ。
夜逃げは初めての経験だが、こうもうまくいくとは思ってもいなかった。
まぁ、手元にある金も限られているし、
これから元秘書の妻と一緒にやっていくのだから、
早い内に就職先を見つけん事にはな・・・・。
「そうだなー、海外と言いたいところだが、そんな金もないし、
ほとぼりが冷めるまで、東北にでも隠れるか。」
ワシは妻に言う、
「そうね、私もあなたの子供がいるから、家族で一緒に暮らしましょう。」
妻は笑顔でワシにそう言った。
「子供がおるのか?ワシの子供か?」
あわてふためくワシを見て、妻はクスッと笑い、
「あなた以外に誰がいるの?」
「それもそうだな。」
ワシも笑顔で返した。
ワシにも子供が出来たんだ。
これからは守るものが多くなって大変だが、二人とも守りがいのあるものだ。
「住むところが決まったら、この絵をくれた人に手紙を書こうね。」
妻はそう言って、布に包まれた絵を手荷物の中から取り出した。
「ああそうだな。」
ワシも、その絵の作者たちには礼が言いたかった。
ワシと、今の妻の距離を一気に縮めてくれた人だから・・・・


「けんいちー、どこいくんだー。」
「ちょっと、出かけるだけだー。心配すなー。」
俺は大声で親父に返事をした。
やっぱり田舎の方が落ち着く、
前にいたアパートも決して悪いところじゃなかったが、
実家に帰ってきて良かったと思う。
俺は家から少しだけ離れた倉庫に向かった。
ここは家族にも秘密の場所だ。
ガラッと、扉を開く。
扉の開く風で、ほこりが宙を舞う。
中はかなり暗い、俺は部屋の真ん中にぶら下がっている大型の懐中電灯の電源を入れた。
少しだけ明るくなる、まだ明るいとは言えないが、無いよりかはましだ。
その部屋には、一枚の絵がある。
俺はそこに絵があるのを確認すると、また家へと帰った。


私は病室にいた。
もう長くないのはわかっている。
この年まで生きられたのだそれで十分だ。
私の病室に、見舞いに来るものはいなかった。
ずいぶん前に夫には先立たれた。
私の子供も今はどこにいるやら、家を飛び出して以来、
連絡は一回もしてこなかった。
「そう言えば、稲さん。稲さんのお孫さんは来んのかね?」
病院に入って以来の友達が言った。
「もう、私にはおらんよ。ずっと前に、家を出て以来連絡がないから・・・。」
「この絵を描いた人は?」
そう言って、友達は私のベッドのすぐ横にある絵を指した。
「その人は違うよ。ただの知り合いだ。」
私は寝たままの状態で、友達に言った、そのとき、
「清川さーん。清川稲さーん。面会の方がお見えになりましたけど。」
看護婦の呼ぶ声が私の耳に届いた。
看護婦の後から、スリッパの音が聞こえる。
病室を区切る、カーテンの前で足音が止まった。
カーテンがシャッと音を立てて開けられた。
そこには見覚えのある女の人の顔があった。
その女の人は、お世辞にも若いとは言えない年だった。
「母さん!母さん!」
その人は私のことを母さんと呼んだ・・・まさか。
「お前は、久恵かい?久恵なのかい?」
「そうよ、母さん。55年も前に家を出た、あなたの娘の久恵よ。わかる?
こっちが孫の喜久代、喜久代の子供の宏康よ。」
「ああ、久恵。久恵・・・・。」
私は目から出る涙を止められなかった。


「ねぇ、KIYOSHI。今度はいつ頃帰ってくるの?」
わたしは料理を作りながら、彼に訊いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ、次に帰ってくるときは、マーライオンの絵も描いてきてね。」
わたしは笑顔で彼に言う。
彼は少し困った顔をしたが、すぐに笑顔でオーケーを出してくれた。
「ねぇ、ママ。シンガポールってとおいの?ぼくのようちえんよりとおいの?」
わたしと彼の息子は、素朴な質問をしてくる。
わたしと彼は、顔を見合わせて笑った。
息子は何がなんだか分からない様子だったが、すぐにわたしたちと一緒に笑った。
「あ、ちょっとまってて。」
息子は突然、幼稚園の鞄から何かを取り出そうと探し出した。
すると、一枚の絵が出てきた。
「このまえね。ようちえんでね。おえかきしたんだ。
ぞうさんかいたんだけど、うまいでしょ。」
「あらあら、ずいぶん鼻の長い象さんね。」
わたしは料理を運びながら笑顔で息子に言った。
「うん、だってね。ほんとうは、もっともっとながかったんだけどね。
すごかったんだよ。おはなからびゅーっておみずがでたりね。
おおきなおとなぞうさんと、ちいさなこどもぞうさんがいたんだけどね、
こどもぞうさんは、ぼくよりもっともっとおおきかったんだよ。」
息子は身振り手振りで、象の大きさを伝えようとする。
わたしとKIYOSHIは、それを笑顔で見ていた。
次の日の朝、わたしは彼を家の前まで見送った。
それ以上行くと、引き留めてしまいそうだったから。
わたしは息子を幼稚園のバスに乗せて、一休みする。
部屋をぐるりと見渡すと、今は多くの絵がある。
いろいろな国、いろいろな人々、いろいろな動物・・・・
彼が回ったところの情景が目を閉じると浮かんでくる。

今は彼が帰ってきてくれる。
必ずこの場所に・・・・
[2000/05/25 01:55:53]

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