テーマ:『16文が行く』と『個性豊かなリングガイたち』を比較して


 馬場さんは幾つも著書を残しているのであるが、『16文が行く』(昭和58年初版、平成11年改定初版)
『個性豊かなリングガイたち』(昭和62年初版)は馬場さん自身が関わってきたレスラーについて、一人一人
項を取って書かれている。初版の年代に月日の差がないので、内容が重複している部分も多いが、やはり趣が
多少違う。そこを語ってみたい。

 『16文が行く』は、力道山先生(はしがき)に始まり、ルーテーズやバディーロジャースなどのアメリカ修行時代
に印象に残ったレスラー、サンマルチノ、ファンクス、レイスなどの同世代のレスラー、鶴田、天龍、ハンセン、ブ
ロディーなどの馬場さんにとって新世代レスラー(当時)にいたるまで、語っている。また、本の性格が、「馬場さん
の感触書いている」ので、いい事だけでなく、このレスラーは…だから一流になれなかったということも書いてある
し、NWAがまだ強い頃なので、鶴田など有望株に関しては、NWAチャンピオンになり、長期政権を築くにはこ
れからいかにするべきか、という視点から書かれている。また、猪木の一連の馬場、全日本プロ批判に関しても
対抗姿勢を示している。

 一方『個性豊かなリングガイたち』は、これは「交友暦」についての本なので、新世代レスラーについては、昭
和50年代後半によく戦ったハンセン、ブロディー以外は話しの中に挿入される程度である。したがって、強いレ
スラーでも交友が少なかったり、(レイスやファンクスなどど比べると)馬場さん評価があまり高くないマスカラス
兄弟、ロビンソン、ゴッチ、シン(彼らは『16文が行く』でかなり手厳しく書かれている)などは扱われてない。また、
基本的に外人が多く、一つの項を取っている日本人は力道山だけである(但し、日系レスラーはある)。また、
交友暦なので『16文が行く』と比べると随分タッチが優しい。言い方を変えれば、同書の馬場さんにとっての良い
内容の部分を詳しく書きなおしていると言った感じだ。だが、マードックやシン(シンは『個性豊かなリングガイたち』
では、関連話のみ)みたいに『16文が行く』では結構厳しく書かれていたのも『個性豊かなリングガイたち』ではか
なり表現が変わり、両者では読後の受ける印象が違うのも面白い
(2000年1月10日)



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