遠藤武文 03


パワードスーツ


2011/08/20

 わずか2作にして地雷作家の道を歩みつつある(失礼)遠藤武文さんの新刊である。過去2作とはカラーをがらりと変えてきたが…こぢんまりとしてしまったこと。

 近未来の日本では、老人福祉が大幅に見直されようとしていた。後期高齢者が異なる疾病で年間3回以上通院した場合、医療費、年金等の支給を停止する、スリーノックダウン制が実施される。って、ボクシングかよ。いきなりふざけている。現在の日本でも老人福祉は破綻しかかっているのだから、社会的テーマと言えなくもないけどさ。

 絶望感漂う地方都市で、老人の失踪事件が連続して発生していた。そこへ最先端機器「パワードスーツ」を売り込みに来た主人公。ところが、殺人現場にパワードスーツのグローブが残されていた。それは彼が持ってきたものに間違いなかった…。

 うーむ、何だかそそられるようなそそられないような設定だが、色物っぽさは石持浅海作品のようであるし、無駄にディテールに凝るところは蒼井上鷹作品のようでもある。しかし、哀しいかな両者の境地には到底達していない。

 遠藤武文さんの作品としては、比較的そつなくまとまっているのだが…でもね、この方から荒唐無稽さ(ただし本人は大真面目)を取ってしまったら何が残るのかと思うのである。やっていることは極めてオーソドックスで、果たしてパワードスーツなどという小道具が必要なのか? 警察署をぶっ壊すとか、部分的には荒唐無稽なんだけど…。

 ミステリーの部分が弱ければ、高齢化社会がテーマである必然性も弱い。単にネタにしたいのか、何か問題提起をしたいのか、中途半端な印象を受ける。そもそも、前面に出したかったのはパワードスーツなのか、高齢化社会なのか。

 僕を含む一部の好事家に訴える以外に、遠藤武文さんが作家として生きる道はないだろう。壊れるなら徹底して壊れないと。その結果、僕がずっとつき合うかどうかは保証しかねるが…。とりあえず、次回作は読んでみる。次回作が出れば。



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