東川篤哉 16


謎解きはディナーのあとで3


2012/12/18

 早いもので、東川篤哉さんの出世作となったこのシリーズも3作目。前作の時点でマンネリ感が漂っていたが、新刊が出れば条件反射で買ってしまう。

 第一話「犯人に毒を与えないでください」。毒殺の方法自体は何も目新しくはないが、偽装したために足が着いたというパターン。なるほどなあと思わなくもないが、立証するのは大変そうだな。しかし、被害者も金持ちなんだから他に手段はあるだろう…。

 第二話「この川で溺れないでください」。陸の上で発見された溺死体の謎。いつも伏線を読み流す僕は、当然その箇所も読み流し、影山の謎解き後に読み返したのだった。地の文にちゃんと伏線があったという、このシリーズには珍しいパターンか。

 第三話「怪盗からの挑戦状でございます」。現場が宝生家の屋敷という変則パターン。事情により警察を呼べず、私立探偵がやって来たのだが…ピエロ役であるのはお約束。一度も登場したことがない麗子の父の、人柄が垣間見える…。

 第四話「殺人には自転車をご利用ください」。そのアリバイを破るには、人間には不可能な速度で自転車を漕がなければならない。当然穴があるわけで。ただし、影山が謎解きした時点で、ヒントは被害者の発見状況だけなのだが…。

 第五話「彼女は何を奪われたのでございますか」。これもよくあるパターンのバリエーションだが、真相に迫るには女心の機微を読み取る必要がある。同じ立場の人ならピンとくるかもしれない。僕にはわからないのは当然だと言い訳しておこう。

 第六話「さよならはディナーのあとで」。さよなら? もしやシリーズは終わりかと思って読み始めると…。今は冬だが、作中では夏。これも女心に関係しているかな。夏にはよく見かけるけど、影山以外の男性は気づかないのではないか?

 さて、確かに「さよなら」だったが、シリーズを続ける上での支障は何もない。まだ続くのだろうか。このシリーズが、本格というマニアックなジャンルの入口として果たした功績は大きいけれど、個人的にはそろそろ潮時と思う…。



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