東川篤哉 18 | ||
ライオンの棲む街 |
〜平塚おんな探偵の事件簿1〜 |
新シリーズだそうだが…今抱えているシリーズ、いくつあったっけ? 舞台は平塚市。平塚と聞いてぱっと思いつくのは七夕くらいか。湘南のようで湘南でない、苦し紛れに西湘と称されたりする(平塚市民の皆様すみません、本文にそう書いてあるので…)。
東京でのOL生活をやめて地元の平塚に戻ってきた川島美伽は、高校時代の友人・生野エルザに誘われ、探偵事務所を手伝うことになった。『ライオンの棲む街』というタイトルのライオンとは、何を隠そうエルザのことなのだった。さしずめ美伽は猛獣使い…。
…うーむ、他のシリーズ同様、カバーのイラストからしてキャラクターを前面に出しているのが明白である。何だか昔放送していた『ダーティーペア』を彷彿とさせる。それはさて置き、面白ければいいんですよ、面白ければ。ガチであることは期待しない。
第一話「女探偵は眠らない」。婚約者の浮気を疑い、調査を依頼してきた女性。ところがターゲットは死体で発見された。意外性は抜群だが、何と救いがない…。
第二話「彼女の爪痕のバラード」。ダイイング・メッセージの例は古今東西数あれど、意外に新しいパターンかもしれない。でも、推理できないだろこれ。
第三話「ひらつか七夕まつりの犯罪」。探偵として失態を犯した2人。だが、それは巧妙な罠だった。動機の面で同情はするけど、身から出た錆だよなあ。
第四話「不在証明(アリバイ)は鏡の中」。インチキ占い師を暴くべく、敵地に乗り込む。トリックらしいトリックはポイントが高い。馬鹿馬鹿しくていいじゃない。
第五話「女探偵の密室と友情」。はい、最後に密室物来ました。不死身のライオン・エルザ、絶体絶命かっ!!! と思ったら何とまあご苦労なことで…。
キャラ作りと掛け合いのうまさは相変わらず。刑事とタメ口を利くエルザ、恐るべし。さほど期待しないで読み始めたせいか(失礼)、ミステリーとしても意外性ありトリックあり、構成がしっかりしていて楽しめたと思う。2が出たらどうせ買うだろう。