金城一紀 02


レヴォリューションNo.3


2001/10/05

 昔も今も、ヤンキー漫画の人気は不思議と根強い。代表的な週刊の漫画誌には大抵連載されている。特に、某マガジンや某チャンピオンでは連載が絶えることがない。さて、なぜなんだろう?

 実際のところ、煙草をふかして喧嘩に明け暮れる彼らを主人公にした漫画は、僕が読んでも面白いのである。美化するつもりは毛頭ないが、きっと彼らの自由な生き様に対して憧憬を感じているのだろう。

 前置きが長くなったが、本作『レヴォリューションNo.3』を読んで、そんなことをふと思ったのだった。金城一紀さんの待望の新刊は、一見すると文芸書とは思えない。しかもソフトカバーとはやられた。しかし、豪華な装丁なんて本作には似合わない。

 有名進学校が集中する新宿区に陸の孤島のごとく存在する、典型的オチコボレ男子校。そこには愉快な仲間たちがいた。その名も高き、『ザ・ゾンビーズ』の三つの冒険譚の始まり始まり。仲間がいれば〜ああうつむかないで〜走っていける〜この東京砂漠〜♪ てなもんだ。失礼…。

 全3編中では、小説現代新人賞受賞作である表題作が出色の出来栄え。臭い。あまりにも臭いぞ。「君たち、世界を変えてみたくはないか?」だとさ。しかし、く〜泣かせてくれるぜこのラストは。俺も見たかったぞ、その「色」を。

 もちろん他の2編もいい。「ラン、ボーイズ、ラン」なんてタイトルからしていいね。走れ走れ。書き下ろしの「異教徒たちの踊り」。踊れ踊れ。勘違いしたエリートどもはほっとけ。ちっとも感想になっていない…。

 若さというのは、少々失敗したって叱られたって笑い流せる特権だ。こんな恰好のネタになる十代を過ごしてみたかった…とは言いたくない。たとえ平凡だろうと、二度と戻らぬ僕の十代は、僕の大切な財産だと思いたい。そのまま突っ走れ、金城一紀!



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