倉知 淳 05

幻獣遁走曲

猫丸先輩のアルバイト探偵ノート

2005/11/07

 サブタイトル通り、さすらいのフリーター猫丸先輩が今日も行く。シリーズ中、最も神出鬼没ではないだろうか。そこらの求人誌にゃこんな募集はありませんよ?

 ある時はキャットフード会社主催の愛猫家イベントの会場整理。その名のごとく、気ままな猫たちの心を読み解くのだ。でも実はトラブルを楽しんでるでしょ? それにしてもだ、血統書付きの猫ってどこがいいのかね? 猫は国産の雑種に限る。

 ある時は新薬の実験モニター。そりゃあ臨床試験は必要だよね。しかし、噂が噂を呼んで…。猫丸先輩が製薬業界の闇を暴き出すっ! なんてことは全然ない。どこまでも人が悪い猫丸先輩。明らかに楽しんでるでしょ? この人に効く薬があるのかな。

 ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員。舌噛みそうだな…。馬鹿にしちゃいけないのであァる。証拠がここに…や、やられたのであァる! 微笑ましさを感じる一方、鬼軍曹の今後が心配であァる…。水曜スペシャルみたいな乗りを楽しんでるでしょ? 

 ある時は戦隊ヒーローショーの怪人役。こういう局面でこそプロ意識が問われるのだと思う。彼らは紛れもないプロだ。猫丸先輩もある意味プロ。やっぱり楽しんでるでしょ。最近では、この手のイベントは子供よりお母さんの方が熱心らしいですけども…。

 ある時は松茸狩りの案内人。秘密のスポットには、庶民の食卓にゃ上らない高嶺の花があっちにもこっちにも! でも欲に目が眩んじゃいけません。可愛らしいじゃないですか。ところで、一行は無事に下山できたのだろうか? こんな状況さえも楽しんでいるでしょ?

 猫丸先輩の辞書に、「退屈」という言葉はないのだろう。雨が降ろうが槍が降ろうが、積極的に楽しんで楽しんで楽しみぬくのだ。そうすりゃ読者もハッピーハッピー。解説で光原百合さんも述べているように、猫丸先輩の益々の活躍をお祈りいたします。



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