舞城王太郎 06


九十九十九


2003/04/17

 …………………………と、このまま「…」を並べて終わらせたいところだが、それでは手抜きもいいところ。さて、何を書こうか。

 舞城王太郎は確実に読者を選ぶ作家の一人だ。だが、読者を選ぶという点において他の追随を許さない作家がいる。その名は清涼院流水。講談社ノベルスのJDC(日本探偵倶楽部)シリーズなどで一部ファンには大受けしているらしい。

 実は、清涼院氏の『コズミック』『ジョーカー』が文庫化された際に、僕はチャレンジしてみた。著作リストも作成しかけていた。前評判の悪さは承知の上。結果、挫折した。最後まで読み通すことはできなかった。著作リストは現在も僕のPCのハードディスクに眠っている。今後アップロードされることはないと断言しよう。

 本作は、JDCシリーズへのトリビュートとのこと。舞城王太郎&清涼院流水という出版界最凶のコラボレート作品。手強い相手であることは容易に察せられる。書店に行ってみる。厚い。うむ、手強い。読み始める。うむ、手強い。読み進める。………。

 文体は紛れもなく舞城王太郎のもの。だが、ハイテンションな舞城節をもってしても、勢いで読ませるには長すぎる。一言、無駄に長い。流水作品に僕が抱いた思いとまったく同じ。我ながら、よく最後まで読み通したものだと感心してしまう。

 参考文献としてJDCシリーズ全作が挙げられているが、全作どころか一作も読み通していない僕にはシリーズとの関わりはよくわからない。個人的には、この企画は舞城節の持つ良さを、エネルギーを、流水節が消してしまっているようにしか思えない。

 「苦しさを感じるなら、僕なんて愛さなくていいんだ」と帯には書かれている。苦しさを感じるなら、本作なんて読まなくていいんだ。あなたが流水作品を解する度量の広さを持ち合わせていないのなら、お薦めはいたしません。

 二人とも特異な才能の持ち主であることは認めよう。



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