万城目 学 01


鴨川ホルモー


2007/04/25

 評判は昨年からずっと気になっていた。聞き慣れない作家名(新人だから当たり前だが)に聞き慣れない出版社。何より奇妙なのはタイトル。鴨川ホ・ル・モ・ー???

 京都の年中行事といえば、祇園祭に時代祭に葵祭に大文字の送り火というところが有名だが、千年の長きにわたり連綿と受け継がれている競技をご存知だろうか。今ここに、京都大学青竜会第五百代目として集められた一回生10名。

 ちょうど五百代目というのが実にいんちき臭いが、京大青竜会は二年に一度代替わりするしきたりなのだという。そして、同様の組織が他にも存在する。京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックス。命名の由来はいちいち書かぬが花。

 「ホルモー」とは実在の四大学による対抗戦なのだ。祇園祭宵山の真っ最中、四条烏丸交差点で「宵山協定」が交わされるシーンに唖然とする。深夜の吉田神社で執り行われる「吉田代替りの儀」にさらに唖然とする。他大学の儀式はどうなんだろう…。

 敢えて一言で述べるなら、本作は「青春小説」だ。誰もが経験したであろう、サークル内の恋模様。工学部が男女比を大幅に下げていた我が母校では、争いは熾烈であった。そういう側面だけを切り出せば極めてありきたりな内容である。

 しかし、そこに「ホルモー」が絡むとかつてない青春群像に昇華するのだからあら不思議。大傑作とまでは思わないが、読み終えると愉快で愉快でしかたない。京都という土地が、こんな話を思いつかせたのだろうか。これは映像化するしかないぞ。

 著者の万城目学さんは京都大学出身。実在の大学名に加え、京都の地名が色々出てくる。京都に土地鑑があるとより楽しめるが、土地鑑がなくても楽しめる。そして京都を歩きたくなるだろう。京都が舞台だから、こんな話が許せてしまうのだ。

 そして伝統は受け継がれていくのであった。覚悟を決めなよ安倍。



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