麻耶雄嵩 11 | ||
神様ゲーム |
かつて子どもだったあなたと少年少女のための―講談社ミステリーランドシリーズだが、中には少年少女のためにならない作品も含まれる。その筆頭とも言うべき作品が、年末のランキングでも上位に食い込んだ本作、『神様ゲーム』である。
僕にとって最初の麻耶雄嵩作品である本作だが、後味の悪さについては各所で耳にしていた。どれほど後味が悪いのか、いやがうえにも期待が高まったわけだが…。
小学四年生の芳雄の住む神降市で、連続した猫殺害事件が発生。同じ町内に住む同級生で結成した浜田探偵団が犯人探しに乗り出す。そんなある日、転校してきた鈴木太郎君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。
芳雄の誕生日にロウソクが一本消えなかったり、好きな特撮ヒーローものに出てくるロボットの名前がネクロフィリアロボだったりジェノサイドロボだったりする辺りに、そこはかとない悪趣味さが漂う序盤。こんなもん子どもに読ませて「ねえねえネクロフィリアってなあに?」と問われたら返答に窮するってば。猫殺害の法則性に妙に感心してしまったよ。
探偵団が本部として使っている廃屋で死体が発見される。まあ、ジュブナイルの体裁をまとった大人の本ですから。現場は本格の定番である密室状況。芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼む。その結果…こんな手垢にまみれた演出を、よりによって小学校でやってしまうセンスにはある意味脱帽だ。そして神様が明かすさらなる真実とは。
このご時世、〇〇〇していたなんて洒落じゃ済まされないが、編集者はこれでよしとしたのか、待ったをかけたから「この程度」になったのか。神様だけにあっさりと言ってくれる。ああ、そして最後は…へ??? 嫌な想像の材料を残す幕切れ。考えたくないのにあれこれ考えさせられる、それが本作に仕掛けられた真の罠…なのかな。
巻末の著者紹介文によれば、罵詈雑言と絶賛を同時に浴びたというデビュー作『翼ある闇』と、理解不能さの余り非難の声さえも封じ込めたという『夏と冬の奏鳴曲』を、とっても読みたくなってきたぞお。こんな僕の感覚って変ですか?