霧舎 巧 『密室本』05 | ||
四月は霧の00密室 |
私立霧舎学園ミステリ白書 |
こ、この装丁は…。タイトルは…。き、霧舎巧に何が起きた?
霧舎さん曰く、ライバルは『金田一少年の事件簿』だそうである。まあ、僕自身も週刊少年マガジンを買っていた頃は読んでいたし、あの作品が推理物というジャンルに対する需要を喚起した功績は認める。だが、島田荘司氏が不快感を表明するなど、ネタのぱくりにも定評があった作品であった。
僕の記憶が確かならば…霧舎巧というペンネームの名付け親は島田荘司氏ではなかったか? 師匠は何も言わなかったのだろうか。
『金田一少年』の舞台は確か不動高校とかいうところだったが、本作の舞台はその名も私立「霧舎」学園。タイトルの「00」は「ラブラブ」と読む。Web上で扱うには何ともややこしいタイトルである。内容はまあ…各自ご想像くださいませ。
漫画でしかミステリーを知らない読者に、手に取ってもらえる作家になりたい、という志には拍手を送りたい。目が肥えたうるさい読者も厄介だが、熱しやすく冷めやすい若年層はもっと厄介だ。『金田一少年』の連載が終わったのは飽きられたからに他ならない。しかし、読者の新規開拓なしにはこのジャンルの未来はない。
シリーズ化を予定しているそうだが、この長さを考えればつかみとしてはこんなもんか。まだ断を下せる段階ではないが、昔気まぐれに読んだ『金田一少年』のノベライズ版の方が面白かったぞ。『金田一少年』を目指すなら読者への挑戦状は是非とも欲しいところ。「じっちゃんの名に賭けて」「謎はすべて解けた」などの決め台詞も必須だ。キャラクターの個性はおいおい育っていくのか。
正直、次回作以降も読むかは迷うところである…。