宮部みゆき 43


ドリームバスター3


2006/03/22

 3年ぶりとなるシリーズ第3弾だが、全3編中最初の2編は前作の内容をかなり引き継いでいる。時間があるなら前作を再読すべきかもしれない。

 最初の「赤いドレスの女」は、マエストロやシェンが登場しないやや変則的な内容である。シリーズ番外編とでも言うべきか。前作でD・P(ドリーミング・パーソン)としてシェンたちD・Bと出会い、「癖」を克服した彼女。でも、人付き合いが苦手なのは相変わらず。そんな彼女に、あれ以降発現したらしい能力とは。D・Pを救ったのはD・Pだったというお話。シェンたちに再会するとは、彼女がトラブルに見舞われるということ。それは幸せなのか。

 前作で手が出せなかったD・Pを救えるか、「モズミの決算」。幼いD・Pの置かれた状況はさらに悪化していた。彼の場≠ノシェンたちが飛ぶことによる負担に、耐えられなくなってきていたのだ。待機を余儀なくされる中、ある「事故」からシェンが思いついた手段とは。

 どちらかというと新女性キャラのカーリン初登場編という意味合いが強いかな。それでも痛々しいほど伝わってくる。幼いD・Pの苦しみ。シェンの苦悩。マエストロの言うことは極めて正論だ。決して最良ではないが、これが「あいつ」なりの解決か。

 本作の半分を占める「時間鉱山Part1」。って、Part1かよ! 帯によれば、シリーズの重要な転換点らしいのだが。ある社会問題をネタにしたオープニングにどきっとする。D・Bたちの間で囁かれる噂。シェンの友人が消息を絶った「時間鉱山」とは?

 ドレクスラー博士の説明を聞いても頭がこんがらがったままなのだが…こういう「時間」ネタは初めてだな。一つわかることは、時間鉱山はシェンたちの世界と地球との接点であるらしいこと。ここに地球人がいるということの意味は…。どうもシェンは少年に情が入るらしい。いよいよ時間鉱山の最深部へ踏み込もうというところで…ここまでかよ!

 願わくは、記憶が鮮明なうちに続きを読ませていただきたいものである。そういえば、もう一人の消えた友人はどうなっているんだ。To be continued...



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