宮部みゆき 61

ここはボツコニアン3

二軍三国志

2013/08/18

 割とハイペースで続編が刊行されるこのシリーズ。前作のラストで、ピピとピノの2人がたどり着いたのは…サブタイトル通り、「二軍三国志」の世界なのであった。

 どういうことかというと、曹操、孫権、劉備、孔明など、三国志通ではない僕でも聞いたことがあるような有名人物は、誰もいない。ゲームの題材としても好んで取り上げられる彼らが、ボツネタの世界にいる道理がないのである。

 宮部みゆきの 3分でわかる! 「三国志」が本作の冒頭に掲載されているが、3分じゃわからんて。この章は、かなりの三国志マニアでなければ楽しめないのが辛いところ。ここに居残っているのは一般の知名度が低い人物ばかりなのだから。

 映画『レッドクリフ』は観たので、赤壁の戦いという歴史上の出来事は一応知っている。赤壁の戦いのパロディなら何とかわかるかと思ったら…。突然の妙な乱入により、もうしっちゃかめっちゃか。もはや三国志の設定は何の関係もないし。

 すみません、宮部さん、これ書いていて楽しかったですか??? 読者は戸惑うだけです。やけくそで読み通しました。やっぱりここは「ボツコニアン」ですわ…。

 章が変わり、今度はホラーゲームの世界へ。ホラーゲームは経験がないが、『バイオハザード』などの有名タイトルくらいは聞いたことがある。ん? なぜか三国志のキャラクターがついてくる?? ま、あまり期待もしていないし…。

 そして、また中途半端なところで次巻に続く。前作を読んで、乗ってきたかと一時は思っただけに、実はまったく乗れていなかったのだった。何巻まで続くんですかね、宮部先生…。このシリーズで、一ファンとして忠誠心が試されている気がする。



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