森 博嗣 01 | ||
すべてがFになる |
THE PERFECT INSIDER |
本作の文庫化を期に、森博嗣さんの作品を読んでみることにした。「犀川&萌絵」シリーズのハイセンスな装丁は、書店に行く度に目を引いていたのだ。記念すべき第1回メフィスト賞受賞作でもあるし、大いに期待してページをめくった。
N大学工学部建築学科助教授、犀川創平。犀川の恩師である西之園恭輔博士の一人娘、西之園萌絵。犀川、萌絵たちの一行は、孤島に建つ真賀田研究所を訪れる。研究所の地下室で少女時代から隔離された生活を送る、天才プログラマ真賀田四季博士。彼女の部屋で、不可解な密室殺人事件が起きる。
全編に漂うサイバーな雰囲気に呑まれたまま、本作を読了したのだが…。
うーん、アンフェアとまでは言わないが、こういうトリックは実はあまり好きじゃなかったりする。僕の感覚が古臭いと言われればそれまでだが、こういうのを許したら何でもありじゃなかろうか?
また、真犯人ほどの類い稀な頭脳があったら、?????時間≒?年もの時間をかけずに実行する方法があったのではないか。タイトルの『すべてがFになる』の意味するところは、なるほどと思ったけど。かなりネタばれだな、これ。申し訳ない。
僕が森作品に本格的にはまったのは次作以降からなのだが、文庫版の瀬名秀明さんの解説は素晴らしい。森さん同様に研究者としての顔を持つ、瀬名さんならではの着眼点。一応、大学の研究室に身を置いていた僕には、強く訴えるものがあった。この解説を読んで、少しは理解が深まった…かな?
それにしても、Windowsに牛耳られたコンピュータの世界である。真賀田四季博士の手によるシステム、レッドマジックを是非使ってみたいものだ。僕に使いこなせるかという問題はさて置き…。