森 博嗣 14

黒猫の三角

Delta in the Darkness

2000/07/24

 森ミステリィの華麗なる新展開―ということで、「犀川&萌絵」シリーズに続く新シリーズの開幕である。

 結論から言うと、いきなり反則技に出てきた。何が反則なのかはここでは書けないので、興味のある方は読んでいただきたい。森作品を本格だと思って読むのがそもそも間違いなんだろうけど、それにしても…。

 阿漕荘なるアパートに住む、奇妙な住人たち。医学部生の小鳥遊練無(たかなしねりな)、彼の友人の大学生香具山紫子、探偵にして便利屋の保呂草潤平。そして、近くに住む自称科学者の瀬在丸紅子。以上が主要なシリーズキャラクタである。個性の強さだけは保証しよう。

 ここ数年、那古野市である規則に従った殺人事件が起きていた。3年前に11歳の女の子が、2年前に22歳の女性が、1年前に33歳の女性が、それぞれ同じ日に殺害された。そして今年…44歳の女性に殺害予告状が届けられた。探偵の保呂草は、この女性、小田原静江から予告当日のボディーガードを依頼される。

 何を書いても支障がありそうだが…タイトルが洒落なら、真犯人の殺害動機も洒落である。洒落で殺される被害者はたまったもんじゃないのだが、森さんだからまあいいかと思えないこともない。タイトルの洒落は、文系の方にはわからないかも。殺害動機の洒落につまらない突っ込みを入れておくと、最後の字は一つ多いんじゃない?

 本作は、全体が新シリーズのプロローグであると言っておこう。前シリーズ同様、10作くらいまで続けるのかな。森作品に好意的ではない方は、最初から読まない方がいいかも…。



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