森 博嗣 25

臨機応答・変問自在

森助教授VS理系大学生

2001/04/19

 小説ではない本を久しぶりに読んでみた。理由は著者が森博嗣さんだから。それ以外の何ものでもない。

 大学の教官としての森博嗣さんは、学生に質問を提出させ、それらに対する回答をプリントにして次回に配布するという講義のスタイルを、ずっと続けているそうである。本書は、三万件以上におよぶ膨大なQ&Aの中から、印象的なものをピックアップしてまとめたユニークな一冊だ。

 専門的な質問から、悩み相談らしきものまで実に多岐にわたっているが、回答はいずれも簡潔そのもの。ずばずば斬りまくる快刀乱麻ぶりには、普段ホームページの日記をご覧になっている方ならニヤリとさせられること請け合いだろう。

 一方、作家森博嗣を知らない読者はどう感じるか。新書という媒体から刊行した以上、対象はもちろん森ファンだけではない(森ファンを主要なターゲットにしているとは思うが…)。ご自身も述べている通り、かなりつっけんどんなのは確か。詭弁じゃないかと言いたくもなるかもしれない。

 通常、読者が新書を購入する動機はその分野に興味があるかどうかであり、著者が誰かではないだろう。本書は、そんな読者の知識欲を満たしてはくれない。何かを与えようなんていう意図は、おそらく最初から存在しない。

 それでは、実用書でもなければ啓蒙書でもない本書の刊行意義は何か。僕が思うに、純粋にビジネスだ。実際、本書は同時刊行された他の三冊の著者が気の毒になるほどの売上げを記録するに違いない。そのことを森さんに問うと、きっと次のような答えが返ってくるだろう…ビジネスじゃいけないのですか? と。

 というのは僕の勝手な推測だが、少なくとも僕は面白く読ませてもらったし、それで十分だ。なお、少数ながら誉めている質問もあることは付け加えておこう。



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