森 博嗣 31 | ||
アイソパラメトリック |
Isoparametric |
定価4,300円なり。僕がこれまでに買った「本」としては最も高価である。
本作は予約限定という形で流通したのだが、商業戦略上これは正解だったと言える。第一に、僕も含めて「限定」の二文字に日本人は弱い。とりあえず手に入れようかと、つい予約した次第。第二に、これは店頭では捌けないだろう。4,300円という価格に尻込みしない一般読者がどれほどいるのか?
オリジナルピンズがおまけに付いてくることからも明白だが、これは森博嗣フリーク向けのコレクターズアイテムだ。本作に収録のショートストーリーはすべてご本人のサイトにて公開済みのもの(本作収録により現在は公開されていない)。写真はすべてご本人の撮影とのことだが、まあ特に言うこともない。
過剰な期待を抱いていたわけではないが、決してお安くないのだからプラスアルファがあって然るべきである。正直に言ってオリジナルピンズはどうでもよかったし、僕はこれをプラスアルファとは認めない。ショートストーリーがすべて公開済みであることを知ったのは予約してからなのだ。まだ読んでいなかったものもあったけどさ。
じゃあ何で買ったんだよ? と言われそうだが、届いてみなきゃわからないんだからしょうがない。何かを期待したから酔狂に付き合おうという気になったんだろう。そういう僕も酔狂だな。日記をまとめたエッセイ集三冊には手を出さなかったのに。
以前、京極夏彦さん書き下ろしの「百鬼の扇」なる扇子がやはり講談社から予約限定販売されたが、これをなぜか店頭で発見したことがある。その扇子は現在僕の手元にある。そう、僕は酔狂なのだ。
ちなみに、店頭にも1,500部ほど流通したようだ。新宿の紀伊國屋書店に10部ほど平積みされていた。僕が予約していなかったら買っただろう。何たって酔狂ですから。