森 雅裕 24―1


いつまでも折にふれて


2001/12/30

 本作は、当初私家版として刊行された。要するに自費出版である。発行部数が200部にも満たなかったという本作が、これまた未刊行の続編を加えて『森雅裕幻コレクション』第4弾として刊行された。感想は分けて掲載する。

 ヴォーカルの錺泉深(かざりいずみ)、キーボードの生沢公貴(いくさわきみたか)、ベースの星射広康(ほしいひろやす)、ドラムの満倉耕芸(みちくらこうすけ)、ギターの待田史音(まちだふみと)から成る超人気バンド、"HERGA"。マスコミへの露出を徹底して避け、ライブも一切行わない彼らが、初のライブを行うことになったが…。

 ヴォーカルの泉深を始め、難読名が揃っているのはともかく…ある実在バンドがモデルなのは明白だ。かつて「野猿」「のざる」と読んで恥をさらした僕でもこれはわかるぞ。ライブをしないことで定評があったそのバンド(なのか?)は、さて何でしょう?

 他にも、実在のバンドやレーベルのもじりと思われる名前がちらほら。時期的に私家版で刊行されたのはやむなしか。何しろ彼らの全盛期だったのだし。

 今時こんなストイックな連中はいないだろうし、もはやこんな戦略は通用しない。良し悪しは別として、プロモーションはあらゆるアーティストの義務である。いい曲を書けば売れるなんて綺麗事だ。ああ、わかってるとも。だが、しかしだ。一年前のヒット曲も思い出せない昨今の音楽界、寂しすぎないか?

 徹底した"HERGA"の秘密主義は、彼らを神格化すると同時にマイナスの憶測を呼ぶ。メンバーに降りかかるある事実。群がるマスコミども。てめえらに何がわかる? 様々な困難を乗り越え、彼らは初ライブに漕ぎ付ける。こんな骨のある奴らがいたっていいだろう。いてほしい。時代が許してはくれないか…。

 まったく臭い話だ。だけど僕は好きだ。どうして「彼」が死ななければならなかったのかが唯一の不満だが。何はともあれ、森雅裕さんに、刊行を求めて投書したファンに、KKベストセラーズに拍手。以下、『さらば6弦の天使』へ。



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