岡嶋二人 28

熱い砂

パリ〜ダカール11000キロ

2001/12/06

 岡嶋二人さんの読後感想を掲載するのは実に久しぶりである。

 岡嶋二人名義としては最後に刊行された本作は、小説ではなくノンフィクションだ。内容はタイトル通り、お二人がパリ〜ダカールラリーに同行取材した記録である。現・井上夢人さん単独で「週刊ポスト」誌上に連載され、単行本としてまとまったのは岡嶋二人の解散後であった。取材時期は解散前だったため、岡嶋二人名義になったのだろう。

 本作を取り上げた理由は、別にパリダカに興味があったからではない。何と太っ腹なことに、全編を「e-NOVELS」にて無料ダウンロードできるからだ。しかも、PDF化に当たって講談社文庫版のモノクロ写真をすべてカラー写真に戻したという。ありがたやありがたや。

 さて内容だが、熱心なラリーファンが読んでも肩透かしを食らうかもしれない。ラリーそのものよりは、一行が立ち寄ったアフリカ各地の風景に重点を置いて書かれているからだ。それというのも、お二人が乗車したプレスカーとは名ばかりの車とドライバーに大きな原因があるのだが…まったく主催者側の神経を疑いたくなる。詳しくはご覧あれ。

 災い転じて福となすとでも言うべきか、車に興味がない方にも楽しめる内容になっている。実際に目にしなければわからない、アフリカの素顔。多くの日本人のイメージとはかけ離れた、砂漠の豊かな表情。屈託のない現地の人々とその暮らしぶりは、文明社会の歪みを突きつける。時間に追われ、清潔さに血道を上げる我々の生活って何なんだろう。なるほど、パリダカはロマンだ。しかし、同時に贅沢な道楽でもある。

 もちろん、パリダカの過酷さにも触れている。ある日本人ドライバーが遭遇した事故には、フリーフォールも真っ青だ…。しかし、最も印象深いのはY新聞の某記者の態度。社長以下、全社員の体質がこうなのかと疑いたくなる。ああ、腹立つ。絶対に読まないぞ、僕は。実名で載ってしまったこの人、その後やいかに。

 来年はもっと岡嶋作品の読後感想を増やしたいものである。面目ない。



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